文:オートバイ編集部、太田安治
ホンダ「CBR400RR」特徴
最先端の技術と素材で誕生した初めての「RR」
400ccクラスのレーサーレプリカたちはいずれも当時のTT-F3クラスで活躍したワークスレーサーで培った技術をもとに誕生していたが、このCBR400RRは母体となるワークスマシンが存在しない。
同時期にVFR400Rというスーパーマシンがあったにも関わらず、RRが誕生し、発展していったのは、直4レプリカを求める市場の声を無視できなかったこともそうだが、ホンダにとって直4エンジンの存在意義が非常に大きかったからにほかならない。
カムギアトレーンや直打式バルブ、アルミフレーム、アルミスイングアームなど、当時の最先端テクノロジーを惜しみなく投入、贅を尽くして誕生したCBR史上初の「RR」は、VFRや他社のライバルを相手に互角以上の性能を発揮。F3レースでもプライベーターに愛用され、その名を轟かせた。
ホンダ「CBR400RR」回顧録(太田安治)
伝説の名車として扱われているCBX400F、その後継車としてスポーツイメージを強めたCBR400Fは、鉄フレームに空冷エンジンを搭載したネイキッド。だがプロダクションレースブームの盛り上がりを受けて登場したCBR400Rはアルミフレームに水冷エンジン、フルカウルという当時としては前衛的な構成で、さらに「RR」になった段階で完全なレーサーレプリカとして仕上がった。
当時、僕が監督をしていたチームではCBRとVFRのHRCレースキット車をF3レースで走らせていて、両車のベンチ計測パワーとラップタイムは互角。でも乗るとCBRのほうが攻め込みやすく、エンジンフィーリングも官能的で、乗っていて充実感があった。当時のホンダは「V型4気筒」が主役だったけれど、僕もライダーもメカニックも「直列4気筒のCBR推し」だったな。
ホンダ「CBR400RR」注目ポイント
ホンダ「CBR400RR」関連の歴代モデル 1986年~1993年
CBR400R(1986)
カムギアトレーン採用のエンジンをアルミツインチューブフレームに搭載。空力特性を重視したフルカバードボディが特徴。
CBR400R(1987)
カラーリングを変更。サイドに大きくあしらわれた「ハリケーン」のペットネームは、初代のCBR400RRにも引き継がれた。
CBR400RR(1988)
ストレート吸気採用の59PSエンジンを目の字断面の新設計アルミツインチューブフレームに搭載。スタイリングはレーシーになった。
CBR400RR(1989)
3度のカラー変更を受けながら初代400RRは1989年まで販売された。最終型は爽やかなホワイトとブルーのコンビネーション。
CBR400RR(1990)
剛性バランスを最適化したLCGツインチューブフレーム、ガルアームを新採用。エンジンもコンパクト化を狙って新設計。
CBR400RR(1993)
1992年からはCBR900RRイメージのブラッシュ模様を採用。最終型の1993年には「ファイアーブレ—ド」のロゴもあしらわれた。
ホンダ「CBR400RR」主なスペック
※1988年モデルの諸元
全長×全幅×全高 | 2020×690×1110mm |
ホイールベース | 1370mm |
最低地上高 | 120mm |
シート高 | 765mm |
車両重量 | 179kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 399cc |
ボア×ストローク | 55.0×42.0mm |
圧縮比 | 11.3 |
最高出力 | 59PS/12500rpm |
最大トルク | 4.0kg-m/10000rpm |
燃料供給方式 | VG04キャブレター |
燃料タンク容量 | 15L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25゜15′ |
トレール量 | 95mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/60R17・150/60R18 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |
文:オートバイ編集部、太田安治