文:オートバイ編集部、太田安治
カワサキ「ZXR400」特徴・回顧録(太田安治)
1980年代中盤以降、ホンダ、ヤマハ、スズキがレプリカモデルを続々と登場させていたのを横目に、GPZ400R、GPX400Rというスポーツツアラー的なモデルを展開していたのがカワサキ。1988年のZX-4でレプリカ路線に最後発として参入した翌1989年には、熟成期に入っていた他社のレプリカ達を一気に飛び越える戦闘力を備え、ワークスレーサーと同じ車名が与えられたZXR400を投入した。
市販車初の倒立フォークを装着した車体、フレッシュエアをエアクリーナーに送るK-CAS採用のエンジンはサーキット走行に全振りした特性。さらにSP仕様はクロスミッションにハイカム、FCRキャブレターの一人乗り専用モデルで、街乗りなどまったく考えていない構成に、カワサキらしい潔ささえ感じた。群雄割拠の400レプリカ戦国時代、最後に天下を獲ったのがZXR400だった。
カワサキ「ZXR400」各部装備・ディテール解説
カワサキ「ZXR400」関連の歴代モデル 1989年~1999年
ZXR400R(1989)
全日本F3にワークス参戦したZXR-4のピュアレプリカとして登場。アルミe-BOXフレームやK-CASなど妥協のない造りが魅力。
ZXR400R(1990)
バルブタイミングを変更、スイングアームも「KIS-ARM」となった。写真はクロスミッション採用のシングルシーター「R」。
ZXR400R(1991)
フルモデルチェンジ。異形ヘッドライトの滑らかなスタイリングを採用、フレームはアルミプレス材の新設計となった。写真はR。
ZXR400(1992)
グラフィックを当時流行したブラッシュタイプに変更。出力の自主規制上限変更に伴い、パワーは53PSになった。
ZXR400 LIMITED EDITION(1993)
鈴鹿8耐をZXR-7が制したのを記念した350台限定モデル。レーサー同様のカラーを採用し、スポンサーロゴステッカーも同梱された。
ZXR400(1999)
最終モデル。グラフィックのない、単色のライムグリーンを採用、SP仕様であるシングルシーターの「R」も用意された。
カワサキ「ZXR400」主なスペック
※諸元は1989年モデル
全長×全幅×全高 | 2025×705×1125mm |
ホイールベース | 1395mm |
最低地上高 | 120mm |
シート高 | 765mm |
車両重量 | 188kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 398cc |
ボア×ストローク | 57×39mm |
圧縮比 | 12.1 |
最高出力 | 59PS/12000rpm |
最大トルク | 4.0kg-m/10000rpm |
燃料供給方式 | CVK32キャブレター |
燃料タンク容量 | 16L |
変速機形式 | 6速リターン |
タイヤサイズ(前・後) | 120/60R17・160/60R17 |
ブレーキ形式(前・後) | Φ300mmダブルディスク・Φ240mmシングルディスク |