文:横田和彦、オートバイ編集部/写真:赤松 孝
カワサキ「Z250」インプレ(横田和彦)
俊敏なフットワークはZシリーズの真骨頂
現在のカワサキを支える2大ブランドは「ニンジャ」と「Z」。なかでもZはZ900/650RSという名車の流れを組んだレトロテイストのモデルと、スーパースポーツをベースにネイキッド化した、いわゆるストリートファイター系モデルがあり、それぞれに人気を博している。今回試乗したZ250は、フルカウルスポーツのニンジャ250と共通の車体構成を持つスポーツネイキッドだ。
LEDヘッドライト内蔵のコンパクトなライトカウルやシャープなシュラウドを備えたスタイルは、スポーティさと「凄み」が融合したもの。低い位置にセットされたライトカウルから跳ね上がったテールカウルまで続く前下がりのシルエットが、ネイキッドらしからぬ鋭い走りを連想させる。
2023年モデルは、最新の排ガス規制に適合させた結果、スペック上は最高出力と最大トルクがわずかに下がっている。その点を少し気にしつつ走り出したが、熟成が進んだ水冷・並列2気筒エンジンのレスポンスは良好で、先代モデルとの違いは感じない。そのまま市街地を走るが、不思議とパワーダウン感はなく、むしろアクセルワークに対応してキビキビと反応してくれる印象だ。
聞けば二次減速比が加速重視のセットになっているという。そうなると最高速はやや落ちることになるが、Z250のメインステージは速度域が高くないストリート。加減速時にレスポンスよく動いてくれるこちらの方がキャラクターにあっているように感じた。
アップライトなポジションはアクセルを開けやすく、車体コントロールもやりやすい。そのためリラックスした走りはもちろん、低中速域からエンジンパワーやブレーキを積極的に使ったアクティブな走りをしようとしたときも怖さが少ない。またライダーの上体が起きていることによる重心位置の違いも、ニンジャ250とは異なった軽快なハンドリングになる理由である。
ニンジャ250とZ250を比べた場合、狙っているポイントが異なるので単純にどちらが良いとは言えないが、少なくともストリートではZ250のほうが自分の思い通りに走らせやすいと感じた。
気軽に乗り出せ、毎日の使用から週末のツーリング、さらにサーキットでのスポーツ走行まで幅広く対応するオールラウンドモデル。1台で色々なコトをやってみたいと考えているライダーにお薦めしたい。
カワサキ「Z250」カラーバリエーション
2023年モデルは「キャンディライムグリーン×メタリックスパークブラック」1色の設定となる。