まとめ:オートバイ編集部/写真:南 孝幸
Q.6 トレッドパターンはどのように開発するのか?
A.最終チェックは評価ライダーが乗って決める
接地面の排水、駆動力、制動力を路面に伝える役目を担うトレッドパターン。これらの力をうまく路面に伝えるためには接地圧や接地形状なども重要なのだが、パターン形状、つまり溝の幅や長さ、角度なども同じくらい重要なのだ。このトレッドパターン形状が数mm変わるだけでタイヤ特性は大きく変化するので、ブリヂストンでは実際に走行している時と同じ接地面を見ることができる独自技術「アルティメットアイ」を導入している。
これにより公道を走っているときと同じような挙動をシミュレーションできるようになった。しかし最後は人の感覚が必要なので評価ライダーが確認する。評価ライダーはグルーブの長さが1mm変わるだけでも挙動の変化が感じられるほど鋭い感覚を持っているので、その場でグルーブを削りながら煮詰めていくこともあるそうだ。こういう細かいテストを重ねていくことで最終的なパターンが決定する。
パターンによる排水性の比較 T31とT32(右)のウエット走行時の違い
Q.7 新品タイヤの慣らしは必要?
A.初めの100kmは無理な運転をしないで!
タイヤのモデルによって特性や性能はかなり異なってくるので、新しいタイヤに交換したときはそれに慣れる必要がある。よってはじめのうちは急制動や急発進、無理なコーナリングなどの運転は避けて、100kmまでは安全に留意して走行しよう。
Short break❷ 開発者は断面図の美しさも重視する
タイヤは基本的にカーカス、トレッド、サイドウォール、ビード、ビードワイヤー、べルト / ブレーカー、インナーライナータイヤによって構成されている。しかし、同じサイズでもハイグリップタイヤとツーリングタイヤ、GTスペックとでは内部構造がまるで異なる。
開発者はそれぞれのカテゴリーで最大限の実力を発揮するタイヤを作るのは当然だが、実はタイヤを切断したときの断面図の美しさにも拘っているそうだ。これって意外だよね。
Q.8 スポーツ走行後、タイヤが青くなるのはなぜ?
A.タイヤが青くなっても性能は変わらない
スポーツ走行をした後にタイヤが青っぽく変色するのは、ゴムに配合されているオイルや薬品が熱によって表面に浮き出たことが原因。この青みは走るとなくなり、これによってグリップ性能の低下が生じることもない。だから安心してスポーツ走行を楽しもう。
Q.9 長期間乗らない時はどのように保管すればいいの?
A.紫外線・オゾン・油等はタイヤの大敵
タイヤは直射日光や湿気などに弱いので、涼しくて暗い場所に保管するのが望ましい。長期間乗らない場合は、規定の空気圧で定期的にバイクを動かすことでフラットスポットを作らないことも大切。タイヤを外した状態で保管する場合は、薬品が出てくることもあるので直接床に置かずに何かを敷いて、その上に置くのが望ましい。
Q.10 純正装着タイヤは同じなの?
A.一見同じようにみえるが同じではない!
市販されているタイヤと新車装着されているタイヤは、たとえ銘柄は同じでも中身は同じではないことがある。これはコストダウンが目的ではなく、装着するバイクの性能を最大限に引き出すために、その車両専用のチューニングが施されているからだ。
Short break❸ タイヤ空気圧は車両メーカーが決めるって知ってた?
チェーンカバーやスイングアームなどに指定空気圧が記載されたシールが貼ってあるよね。あの数値はタイヤを開発しているタイヤメーカーが決めていると思ってない? でも実際はその逆で、車両メーカーが空気圧を指定するそうだ。タイヤメーカーは車両メーカーから指定された空気圧で、オートバイが最高のパフォーマンスを発揮できるように開発している。意外だよね!