文:齋藤ハルコ/写真:松川 忍
アパレル業界からバイク業界へ経験値ゼロで飛び込みました
2016年に新生ベネリとして再スタートを切ったイタリアの名門ブランドは、2021年からプロトが正規輸入元となって、日本市場に再上陸を果たした。そんなベネリのアンテナショップ『ベネリ東京練馬』の店長を任されたのが、アベイセカラ葵さんだ。
ベネリ東京練馬の運営会社であり、販売車両のメンテナンスや修理を請け負うバイクショップ『ライトニング』の社長を父に持つ葵さん。幼い頃からバイクに慣れ親しんできたのかと思いきや、じつは現職に就くまで、二輪免許を持っていなかったのだという。
「以前はアパレル関係の仕事をしていました。中学生の頃、父の後ろに乗せてもらったりはしたけど、自分が乗ることは考えてなくて。でも父からベネリ東京練馬をやらないかって話をもらった時に、やってみたいなと、わりと直感で受けてしまいました(笑)」
すぐに普通二輪免許を取得した後、2021年3月のベネリ東京練馬プレオープンまでは研修期間として、ライトニングのスタッフとして働いた。ブランドごとにターゲット層が絞られるアパレル業界と異なり、バイク業界のお客様は年齢も職業も性別も多種多様。オープン当初はお客様との会話の糸口をどう掴めば良いかもわからず、苦労したという。そしてその頃から現在まで、接客時に心がけていることは〝知ったかぶりをしない〟ことだ。
「お客様の方がはるかにベネリについてご存知のことが多いので、正直に、バイク初心者ですとお伝えした方が受け入れてくださるんですね。技術的な質問には、つねにライトニングに電話で確認してお答えしてました。始める前はわからないことだらけで、逆にプレッシャーとかもなかったんですよ(笑)。少しずつ知識が増えていった1年目がいちばんツラかったです。お客様の質問にすぐ答えられないから、一日何度もライトニングに電話してたし、お客様に申し訳なさすぎて、閉店後にひとりで泣くこともありました」
しかし落ち込みはしたものの、仕事への意欲は衰えなかった。
「初めてバイクに乗った時の感動がすごかったんですよ。気温や風の感じ方がクルマとは全然違って、こんなに楽しいんだ! って思いました。ベネリに対しても勝手に『外国車は扱いづらいんじゃないか』って不安だったのですが、初めてレオンチーノ250とTNT125に乗った時に、『初心者の私もこんなに乗りやすいバイクがあるんだ!』とびっくりして。
そうして徐々に知識や経験が増えるたびに、お客様のバイクの話やツーリング話を聞くのがさらに楽しくなりました。それにお客様は皆さん、とても嬉しそうにベネリの話をしてくださるので、いつも私まで嬉しくなってしまうんですよ」ベネリファンは優しい方が多い気がします、と葵さん。今後は技術的な知識も学び、お客様ともっと深い話ができるようになりたいと目標を掲げる。
「ベネリの取り扱い店は増えていますが、電動スクーターも含め、ベネリの全モデルを試乗できることがうちの強みだと思います。ベネリに乗るお客様は、デザインにもこだわるオシャレな方が多いので、アパレルや用品の扱いも増やしていきたいですね。私自身、ライダーとして全然独り立ちできていないのですが(笑)、店長としてベネリの知識をどんどん深め、成長することで、ベネリの魅力をもっとたくさんの皆さまにお伝えしていきたいです」
Benelli 東京練馬
東京都練馬区北町3丁目1-10 TEL.03-6915-7380
[営業時間]11:00〜18:00[定休日]月・火曜日
ベネリモーターサイクルの全車種が試乗できるアンテナショップ!
伝統とモダンが融合する美しいデザインと機敏性に溢れた走りを両立した、注目モデルをリリースしているBenelliの全ラインナップが試乗も可能で、電動スクーターや電動バイクも取り扱扱う。川越街道沿いでアクセスも抜群。
文:齋藤ハルコ/写真:松川 忍