文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸/モデル:木川田ステラ
スズキ「GSX-R125 ABS」インプレ(太田安治)
パワーを駆使して走るライトウエイトの醍醐味
近年では125ccクラスでもスポーツモデルの注目度が高まりはじめている。イージーで実用的というスクーターの利点は判っていても、本格的なオートバイのルックスやマニュアルミッションの操作に魅力を感じるライダーが再び増加に転じているのだろう。
そんな中スズキがラインアップする、クラスでも数少ない本格スーパースポーツがGSX-R125。このクラスでは貴重な前後17インチホイール装着のフルサイズスポーツとして人気を博している。
125ccモデルとして設計されている車体はコンパクトでスリム。足着き性が良くて押し歩きも軽いので、ビギナーや小柄なライダーでも不安なく扱える。GSX-Rシリーズらしく、低めのセパレートハンドルを装備するが、グリップ位置が体に近いので上体の前傾度はさほど深くはないし、前寄りに座れば肩や腕への負担が減ってロングランも苦にならない。
ストリートコミューター的な使い方も可能だが、乗りやすいだけの退屈なオートバイではない。水冷DOHC4バルブ単気筒という凝ったメカニズムのエンジンは回転上昇が実に軽やかで、6速ミッションとの相性が抜群。7000回転から盛り上がるパワーは1万2000回転までの広いレンジでスロットルワークに忠実に反応し、レッドゾーン近辺でも、単気筒エンジンに多い重ったるさはなし。
臨機応変なギア選択と的確なスロットル/クラッチワークで15PSをフルに引き出す走りは、有り余るパワーをなだめながら使う大排気量車とは違った面白さ、爽快さがある。2022年に排出ガス規制に対応して、排気系などが変わり、最高出力、最大トルクの発生回転数が500回転ほど高くなったが、基本的なパワーフィールは従来通り。魅力は全く色褪せていない。
ハンドリングも軽快なだけではない。低めのハンドルによってフロント荷重が増え、手応えが自然。寝かし込んだ瞬間の旋回力と深いバンク角での接地感が高まり、タイヤのグリップ限界が掴みやすい。攻め込むとサスペンションの減衰力不足からピッチングモーションが大きく出て落ち着きが薄れるが、市街地での乗り心地を考えれば現実的なセッティングといえる。
このオートバイを使って若いライダーにサーキットでライディングスキルを磨いて欲しいと思う。前後サスを硬めにセットしてグリップの高いタイヤを履かせれば、スポーツライディング入門用としては最高の一台に変身するからだ。
スズキ「GSX-R125 ABS」カラーバリエーション
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