文:オートバイ編集部/写真:南 孝幸、カワサキモータースジャパン
カワサキ「Ninja ZX-4R」開発者インタビュー
Ninja ZX-25R開発の時には視野にあった400cc化
ZX-25Rと同様のスタイリングと、25Rをベースとした車体を採用するZX-4Rだが、どうやら25Rを開発している段階で、400cc化は考えられていたようだ。開発リーダーの成岡さんに聞いてみた。
「ZX-25Rを開発していた当初から、排気量を大きくする可能性は考えていました。日本のユーザーの方に、普通二輪免許で楽しんでいただけるモデルとして、400ccくらいまでは大きくしたいよね、という話も出ていましたし、車体の剛性も400cc化を視野に入れたものとなっています」
ZX-4Rと言えば、やはりラムエア時80PSというパワースペックに目が行ってしまうが、開発時にはどんな目標を立てていたのだろう? 長瀬さんに尋ねてみた。
「数値的な目標としてはリッター200PSというものを掲げていましたが、スペックの数値や高回転域でのパワーだけにこだわったわけではなく、低中域のトルクをしっかり出しながら、どの回転域でも扱いやすいエンジンを目指しました。もしかしたら、ビギナーの方には25Rより4Rの方が扱いやすいと感じていただけるかも知れません」
RRにはZX-10R譲りのBFRCライトショックが装備されるが、このサスの採用は非常に大きかったようだ。山東さんが語る。
「車体関係はエンジンマウント部に少し補強を加えた以外、基本的に25Rのものを引き継いでいます。BFRCライトを採用したのは、セッティングの幅をより広げることで、街乗りからサーキットまで、色々なステージで楽しんでいただきたかったからです」
パワースペックやRRという車名に注目しがちだが、開発陣が狙ったのは、オールラウンドに楽しめるバイクだったようだ。テスト関係を担当した笹田さんに聞いた。
「もちろん、細かくセッティングできるサスペンションはサーキット走行でも重宝しますが、私たちとしては、吸収性に優れたサスペンションを装備することで、街乗りでも乗り心地のいいバイクにしたい、という想いがありました。スーパースポーツであっても、サーキットを攻める割合は実際少なく、ストリートを走ることの方がむしろ多かったりしますので、そういうところでも気持ちよく走れるバイクにしたかったのです」
400ccという排気量や、街乗りも視野に入れた設定など、ZX-4Rは日本のライダーにジャストフィットする1台のようだ。
「この4Rは、日本市場をメインに考えています。普通二輪免許で楽しめる最上位のバイクですし、性能も装備も1クラス上の内容です。ガソリンもハイオク指定ではなく、レギュラーで大丈夫なんです」(山東さん)
「ビギナーの方でも楽しいですし、リッターバイクに手を焼いたベテランの方にもおすすめの素直なバイクです。休みの日にちょっと峠に行きたいな、と思える1台に仕上げました。ぜひ楽しんで下さい」(成岡さん)
文:オートバイ編集部/写真:南 孝幸、カワサキモータースジャパン