文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ホンダ「CL500」インプレ(太田安治)
楽しみ方を大きく広げる、しっとり快適な乗り味
2023年5月に市販が開始されたCL250とCL500。ターゲットユーザー層が幅広いCL250に注文が殺到しているというが、僕が気になるのは「要大型免許・車検あり」でハードルが高いCL500のほうだ。
試乗会で乗ったCL250の完成度は想像を大きく超えていて、エントリーユーザーはもちろん、無理を避け、見栄に拘らないベテランライダーの「現実的な上がりの一台」としても相応しい仕上がりだった。だが同時に、250cc単気筒エンジンの限界も垣間見えた。
市街地では充分に力強く、高速道路の100km/h走行も問題なし。しかしシニアライダーの僕が想い描くツーリングは、まだ目にしたことのない景色を眺め、行ったことがない遠くまで…だ。大荷物、向かい風、登り坂といった負荷の大きい状況に遭遇する機会が増えるから、エンジンパワーには余裕が欲しい。CL250の2倍近いパワーを持つCL500なら、これらをクリアできる。120km/h巡航でも高回転キープのせわしなさがなく、追い越し加速も力強い。負荷の掛かる状況が複数重なるほど、優位性を実感する。
ミドルクラスの並列2気筒エンジンは270度クランクでパルス感を演出したものが多いが、CL500は鼓動感よりも回転上昇のスムーズさを優先した180度クランクを採用。グリップやステップに出る振動が少なく、180度特有の偶力振動(車体左右方向への揺れ)も抑えられている。2気筒の味わいは薄いものの、肉体的、精神的な負担が少なく、長距離走行が実に快適だ。
CL250より20kg重いが、幅広のハンドルで押し引きがしやすく、取り回しは意外なほど軽い。このプラス20kgにより、ハンドリング、サスペンションの動きにしっとり感(重厚感ではない)が増し、CL250よりも穏やかな走行フィーリングなのも好印象。
僕がツーリングに使うなら、サイドバッグとタンクバッグ、リアキャリア、ETC、グリップヒーター、純正アクセサリーのフラットシートの装備はマスト。寒い時期はウインドシールドとナックルガードも追加する。これで、車両代を含め100万円そこそこで、市街地から高速クルージングまで快適で扱いやすい万能ロングツアラーができるのだ。
冒頭に書いたようにCL250ほどの手軽さはないが、広がる世界は大きく違う。250の購入を検討中でも、大型免許があるならぜひ一度試乗すべきだと思う。
ホンダ「CL500」カラーバリエーション
CL500のボディカラーはグリントウェーブブルーメタリック(右)とマットアーマードクリーンメタリックの2色を用意。
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