カワサキ「Z650RS」の車体のルーツは、2006年に登場した水冷4ストDOHC・649cc直列2気筒の「ER-6n/f」。ただ、「Z650」というネーミングとなると、空冷4ストDOHC・652cc直列4気筒搭載した1976年の元祖“ザッパー”にたどりつく。
文:中村浩史

Z650RSのルーツ

Z650RSの発売は2022年4月。Z650、Ninja650をベースとしたネオクラシックカテゴリーのモデルで、Z900RSに続く人気モデルになっていった。ボディカラーはキャンディエメラルドグリーンと、下写真のメタリックムーンダストグレー×エボニー、さらにZシリーズ誕生50周年を記念した50thアニバーサリーカラーとして、通称「火の玉」カラーのキャンディダイヤモンドブラウンも限定モデルとして発売された。

画像: Kawasaki Z650RS 総排気量:649cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ直列2気筒 シート高:800mm 車両重量:188kg 税込価格:103万4000円 写真のカラーは、メタリックムーンダストグレー×エボニー

Kawasaki Z650RS

総排気量:649cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ直列2気筒
シート高:800mm
車両重量:188kg

税込価格:103万4000円
写真のカラーは、メタリックムーンダストグレー×エボニー

画像: カラー:キャンディエメラルドグリーン

カラー:キャンディエメラルドグリーン

画像: Kawasaki Z650RS 50th Anniversary 税込価格:110万円

Kawasaki Z650RS 50th Anniversary

税込価格:110万円

ER-6もザッパーも新世代高回転型エンジン

Z650RSのルーツは、2006年に登場したER-6n/f。それ以前の並列2気筒モデルであるER-5のフルモデルチェンジ版で、完全新設計のエンジン&フレームを使用したオールニュースポーツモデルだった。

ER-5の500ccよりも小さい並列2気筒エンジンは、Vツインより前後長が短く、並列4気筒よりもスリムなことから採用されたエンジン型式だった。

さらに特筆すべきは、この並列2気筒エンジンが180度クランクを採用していること。特に近年は、トラクションのかかり良さを狙って270度クランクを採用している2気筒がほとんどだが、180度クランクを採用する2気筒は、一次振動が少なく高回転型にしやすいメリットがあり、だからZ650RSは、気持ちのいい高回転の伸びを味わうことができるのだ。

厳密にいえば270度クランクのトラクションかかり良さも見逃せないが、これはサーキットでの限界走行でなければ気にならないレベルだろう。

対してザッパー系の空冷並列4気筒は、初代750ccのZ2系に続く、カワサキ750ccモデル第2世代のベースとなったエンジンだ。これは、1972年に誕生した903ccのZ1系エンジンが、1015ccのZ1000MK2まで使用され、1981年にJ系エンジンにリファインされて高性能化したケースとよく似ている。

1979年のZ750FXまでのZ2系のボア×ストローク=46×58mmスペックから、ザッパーは62×54mmのショートストローク寄りとなり、その652ccはボアアップされ、66×54mm/738ccとなって1980年のZ750FX2から使用される。

このザッパー系エンジンはZ2で実現できなかった一体クランクを採用し、Z750FX3、Z750GP、GPZ750/750Fとエンジンが水冷化されるまで使用され、のちにゼファー750用のエンジンとして復活することになる。

画像: ER-6n(2006年) Z650シリーズのルーツは2006年に登場したER-6f/n(※fはフルカウルで、nはネイキッド。写真はER-6n)。新設計の180°クランクの水冷DOHC649cc並列2気筒で、ER-6は海外モデル、国内向けに400cc版のER-4も発売された。

ER-6n(2006年)

Z650シリーズのルーツは2006年に登場したER-6f/n(※fはフルカウルで、nはネイキッド。写真はER-6n)。新設計の180°クランクの水冷DOHC649cc並列2気筒で、ER-6は海外モデル、国内向けに400cc版のER-4も発売された。

画像: Ninja650

Ninja650

画像: Z650

Z650

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