談:坂元誉梨/文:中村浩史/写真:松川 忍
※この記事は月刊『オートバイ』別冊付録「RIDE」2023年11月号で掲載した記事を一部編集し、公開しています。
ホンダ「CL250」初乗りレビュー|坂元誉梨さんにインタビュー
バイクに乗りたい気持ちに火をつけた、ホンダGOバイクレッスン
「最初はレブル250が欲しかったんです。すごい人気なのも知っていたし、注文しても数カ月待たなきゃならない、なんて話も聞いてました」
新しくオートバイ女子部に加わった坂元誉梨。誉梨と書いて「より」と読む。2年ほど前に普通二輪免許を取ったけれど、なかなか乗る機会もなく、いわゆるペーパーライダー。免許は持ってる、けれどバイクを持つのはハードルも高く、なかなかきっかけもなかった。
「それで、今年の春に『ホンダGOバイクレッスン』に参加したんです。そのレッスンがすごく楽しくて、あぁ自分のバイクが欲しいなぁ、って思い始めて」
ホンダGOバイクレッスンは、バイクで公道を走ることに苦手意識のある人を対象にしたというライディングレッスン。免許は持っているけれど公道に乗り出せないライダーや、長くバイクから離れていたリターンライダー向けのカリキュラムだった。
「レッスンの内容は、超初心者向けで、バイクの押し引きや車両の引き起こしから教えてもらいました。走行レッスンも、立ちごけを防ぐ発進や停止の仕方、低速走行のコツとか、もう私向けじゃないか、って内容で(笑)なにより不安を取り除いてくれるんです」
レッスンを受講して誉梨さんが思ったのは、バイクって面白いな、そんなに心配しなくてもいいんじゃないか、ってことと同時に「バイクが欲しい」ってこと。それで、レブルだ。
「それからはあれがいいな、こっちもいいな、こっちもいいかな、あっコレは大型免許がいるのか、なんていろいろ候補を見たり、検索したり。そうしたら、オートバイ編集部さんで撮影の打ち合わせをしている合間に、デスクにカタログがあって。わーなにこれ、カッコいい! っていっぺんに気に入ったんです! それがCLだったんです」
それからは頭の中はCL一色。バイクショップの閉店後にショーウィンドウを眺めては、店内にCLを発見してうれしくなって、ついに後日、そのショップにCLをオーダー! ボディカラーは写真のパールカデットグレー。オレンジやホワイトにしなかったのは、シンプルなカラーが好きだな、って理由。教習所入所のときに買ったアライのフルフェイスも黒だったし、グレーボディならば乗るウエアも選ばないだろう、という思いもあったそう。
「今はオーダーを入れて、納車待ちなんです。納車時にスマホホルダーとUSB電源、ETCをつけてもらいます。もう待ち遠しくて――」
実は誉梨さん、ホンダGOバイクレッスンのあと、乗りたくて乗りたくて、レンタルバイクを借りに行ったことがあるのだという。レッスンのおかげで、心は、もう完全にバイク乗り。
「CLの他にも気になっていた1台、GB350をレンタルしました。最初は250ccがいいかな、ってCLにしたんですが、GBはどんな乗り味なんだろう、って。それまでも、オートバイ誌さんの撮影で都内を走ったことはあったんですが、このGBが人生初ひとりバイクでした!」
免許を取って数年、GBも初めてなら、ひとりで公道に乗り出すのも初めて。あらかじめ検索しておいた「初心者向けのツーリング目的地」に向かおうと思ったけれど、公道に乗り出して、あまりの交通量の多さに緊張がピークに、どこを走っているかもはっきりせずに、公道デビューは終わってしまった。
「GBをレンタルして、街乗りを3~4時間です。クルマだとナビを見ながら目的地がわかるんですが、バイクだとそうもいかないですね。結局、目的地にはたどり着けませんでしたけど、楽しかったからいいかな。途中、きれいな街並みも通ったんですが、バイクをどこに停めていいかもわからないし、通過しちゃいました(笑)。次は自分のCLで行きたいです」
初乗りで感じた乗りやすさ。いつかは宮城まで長距離ツーリング!
そんな誉梨さんに、待望のCLに乗ってもらった。まだ自分のCLは納車前で、今回は撮影用車両だけれど、CLの初乗りを実現させちゃおう。
あちこち眺めて、押したり引いたり跨ったり。ひょいひょいとバイクに触れることに不安がないのもホンダGOバイクレッスンのおかげだろうか。
跨ってみる。誉梨さんは身長があることもあって、足つきに不安はない。レンタルで乗ったGBよりも、レッスンで使ったCB400SFよりもずっと軽い。バイクが軽いし、シート部分も細いから、グラッと来ても不安ないですね――とニコニコ。誰にでも経験があるだろう、自分のバイクに初めて乗る時って、こんなに嬉しいのだ。見ているこっちも、幸せになる笑顔だ。
エンジンをかける。排気音を聞くだけで、えへへへ、と笑っている。
「GBの時は、なにかサウンドが重低音というか、圧倒されちゃって。走っている時はイイ音だな、って思ったんですが、走り出す前のサウンドは太くてなんだか遠慮しちゃうかんじでした。でもCLは静かですね! 軽い音がストトトトト、ってイイ音です。GBはズドドドドでしたね~」
いよいよ初CLで走り出す。発進するところをそばで見ていたら、エンジンかけてワッ、クラッチレバーを握って軽~い、ローギアにいれて、ワッきれいに入る~となんともにぎやかだけれど、これが初乗りってもんです。
交通量の少ない公道を走りだす。レッスンのおかげ、またはGBでの経験が生きているのか、なかなか堂々と、見ているこちらも不安のない走りっぷり。こわごわと乗っている感じもない。
あくまでそろそろ、スピードは出さないけれど、5分、10分、20分と乗っていたら、どんどんスムーズになってくる。スモークシールドの中が笑っているのもよくわかる。そうして、1時間にも満たないけれど、初CLの幸せな時間が終わったのだった。
「CLの初乗りだったんですが、まるで自分のバイクみたいに乗っちゃいました、すみません!(笑)」
――乗った感想はなにかある?
「まずは軽くてびっくりしました。ボディサイズは大きい気がしたのに、細いし軽い。乗るのも停まるのも、すごく不安なくできました!」
――エンジンは力あったでしょう?
「すごく速かった! 軽いからスイスイ走るのかな、ドドドドドー、って進む感じじゃなくてヒラヒラ走る。あと、ギアの入りがスムーズで、GBの時はギクシャクしたんですけど、CLはぜんぜんそんなことなかったです。緊張はしてましたけど、走り出してすぐに不安じゃなくなった、イイですね、CL。もっと大好きになっちゃった」
初乗りでもスイスイ走るCL、不安なく、街乗りでも緊張感も吹き飛ぶCL。これがストリートバイク、トレッキングバイク、スクランブラーだ。
「早く納車されないかな。ツーリングにも行きたいし、いつかはCLで地元の宮城に里帰りしてみたいです!」