全国各地を駆けまわり、風景写真の作品を撮ることをライフワークとしているフォトグラファーの関野温氏。旅の相棒にホンダ「CRF250ラリー」を選んだのは、初期型が発売されてから数カ月後の2018年のことだった。以来、日常生活や取材時にも使いこんでいる。
そんな関野氏が2023年型の「CRF250ラリー」に試乗した。実走1247km、泊まりがけのロングツーリングで分かった新旧モデルのちがいや、このバイクが持つそもそもの特長について語る。
写真:関野 温/以下、文:関野 温
画像1: 【レビュー】ホンダ「CRF250ラリー」1200km走行インプレ|初期型オーナーが感じた2023年型・旧型のちがいと、根本的な魅力

関野 温(せきの あつし)

バイク雑誌などで写真を撮る傍ら、ライフワークとして旅の風景写真を追いかけるフォトグラファー。愛車はホンダ「CRF250ラリー」「モンキーバハ」「XLR80」。webオートバイでは、「関野温の絶景もとめて撮影旅」を不定期で連載中。モツと牛すじが大好き。

ホンダ「CRF250ラリー」2023年モデル|インプレッション

画像: Honda CRF250 RALLY 2023年モデル 総排気量:249cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒 シート高:830mm/〈s〉は885mm 車両重量:152kg 発売日:2023年1月26日 税込価格:76万4500円

Honda CRF250 RALLY
2023年モデル

総排気量:249cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
シート高:830mm/〈s〉は885mm
車両重量:152kg

発売日:2023年1月26日 
税込価格:76万4500円

★特徴

皆さんこんにちは、フォトグラファーの関野です。

今回はホンダCRF250RALLYで1247km走る機会がありまして、その事を踏まえた上でのインプレッションをお届けしたいと思います。

というのも僕はCRF250RALLYのオーナーでして(前のモデルですが)、その視点を交えてお伝えできたらと思います。

画像: 愛車のCRF250RALLY。2018年から乗り続けています。

愛車のCRF250RALLY。2018年から乗り続けています。

ここでいきなりですが、僕は250cc単気筒のオフロード車が大好きです。

プライベートではオフロード走行はほとんどしませんが、オフロードスタイルが好きで、250ccの充分な走行性能と、燃費が良いことが理由です。だって好きなんだもん。

若いころは大型バイクを所有している時期もありましたが、あるときから「燃費が良いほどたくさん旅ができる」と思いました。強大なパワーは自分にとって必要ないし、免許がなくなるのが怖いし、燃費が良くて楽しい250㏄クラスが良いと思い、それ以来250ccバイクを乗り継いでいます。

CRF250RALLYが発表されたときは嬉しかったですね。大好きなダカールラリーのマシンをモチーフにした公道走行できる250ccアドベンチャー。モーターサイクルショーで展示された実車に一目ぼれして、初期型のオーナーとなりました。

画像1: ★特徴

前置きがかなり長くなりましたが、CRF250RALLYはホンダのオフロードモデルCRF250Lをベースに、ダカールラリーに参戦しているラリーマシンCRF450RALLYをモチーフとしているモデルです。

画像2: ★特徴

もっと簡単にいうと、一般道、高速道路はもちろん、林道とかのオフロードも走れ、長距離も快適に走れるアドベンチャーモデルと呼ばれるジャンルの250cc単気筒のバイクです。

そのアドベンチャーモデルの中でもラリーマシンをモチーフにしているため、オフロード性能が他のモデルと比べても高いのが大きな特徴です。

いうなれば、多くのアドベンチャーモデルが「オフロード『も』走れる」のに対し、このCRF250RALLYは「オフロード車」と呼べるほどの仕様なんです。

画像3: ★特徴

★高速道路での走行性能

まずは高速道路走行に関する性能について書きます。

今回の1247kmツーリングでは、高速道路はおおよそ合計で700kmくらい走りました。

画像1: ★高速道路での走行性能

このRALLYのエンジンは250cc単気筒で、決してハイパワーではありません。ただ、日本の高速道路を走行する分には、充分なパワーがあるといえます。

もちろん大排気量車のように余裕があるわけではありませんが、最高速度120km/h区間でも問題なく巡航できます。

画像2: ★高速道路での走行性能

100km/h巡航時の回転数は目測にはなりますが6速で6000rpm。110km/hだと6600rpm、120km/hだと7200rpmくらい。

回転数だとイメージが掴みにくいかもしれませんが、最大出力が9000rpmで発生するので、高速だと7~8割のパワーで走る感じで、120km/h巡航が快適走行の上限という感じです。

さすがに120km/hだと単気筒なのでハンドルからエンジン振動が伝わり、少しピリピリとしますが、これが100km/hだとあまり気にならないレベルです。110km/hを超えてくると振動が出てくるな、という感じ。

ちなみに僕が所有している前のモデルはギア比や装備が少しちがっていて、現行型よりちょっと振動が強く感じます。今のモデルは改善されているので、この点はうらやましいです。

画像3: ★高速道路での走行性能

ハンドル端にウェイトを搭載、シートはラバーマウント化し、振動を抑えています。

そしてもうひとつ大きな要素は、普通CRF250Lなどのオフロードモデルは、特に高速道路とかで風が体に当たりまくりますが、CRF250RALLYはスクリーンやカウルが付いていて、これらがやはり効き、良い仕事をしてくれるということです。

画像4: ★高速道路での走行性能

完全ではないですが、風を防いでくれるは体力的に圧倒的に有利で、特に寒い季節での移動では非常にありがたいです。

ライディングポジションも楽で長距離移動が得意なマシンといえます。給油タイミングと相まって、高速道路250km移動で1回休憩入れたいという感じです。

画像5: ★高速道路での走行性能

★実測燃費・航続可能距離

ここで実測燃費についてお伝えします。今回、総走行距離は1247kmで、給油したのは5回です。
平均燃費は満タン法で33.48km/L。

1回目:28.6km/L(高速)
2回目:34.75㎞/L(一般道)
3回目:36.6km/L(一般道)
4回目:35.8km/L(一般道)
5回目:31.65km/L(高速)

走り方にもよりますが、高速道路で28~32km/L、一般道で33~36km/hくらいのイメージかと思います。

メーターに表示される平均燃費計は満タン法で計った燃費に比べ、1割くらい低く出るようです。例えばメーターで32.5kmと出たときは実際は36.6km/Lでした。

画像1: ★実測燃費・航続可能距離

燃料タンク容量は12L。2020年12月のモデルチェンジで、タンクが新しくなり2L増えました。平均燃費が30km/Lなら360km走れます。

画像2: ★実測燃費・航続可能距離

ガソリン計が点滅し始めるのは、おおよそ300kmを走ったときです。これはオフロードモデルとしては素晴らしい数字で、長距離ツーリングでは非常にありがたいです。

僕はあまり給油で止まりたくない方なので、タンク容量が大きいのは助かります。ただロードモデルなら普通に300km以上いくバイクも多いでしょう。あくまでもオフロードモデルの中では、巡航距離が長いということです。

画像: 写真:編集部

写真:編集部

★一般道での走行性能

続いて、一般道の走行についてお伝えします。

もともと、林道などのダートも快適に走れるよう設計されているため、一般道で使いにくいわけはありません。

一番快適なのは郊外を走る流れの良い幹線道路で、エンジン回転数にも余裕があり、どこまででも行ける気がします。

画像1: ★一般道での走行性能

細い道でもさすがオフロード車、ハンドル切れ角もあり、荒れた路面もなんのそのです。

山間部のワインディングも問題なくというか、軽々走ります。

ただサスペンションがどうしてもオフロード寄りのため、ストロークが長く、攻めるような走りをすると、ブレーキングとかで動き過ぎる感はあるかもしれません。普通の走行だったらまったく問題ないですよ。

画像2: ★一般道での走行性能

★足つき性

体格にもよりますが、どうしても車高が高いので、Uターンや取り回しが大変と思う人はいるかもしれません。

CRF250RALLYは2種類販売されています。シート高830mmの標準モデルと、シート高885mmのハイシートモデル「CRF250RALLY〈s〉」があります。

画像: CRF250 RALLY(スタンダードモデル) シート高:830mm ライダーの身長:174cm

CRF250 RALLY(スタンダードモデル)

シート高:830mm
ライダーの身長:174cm

今回の試乗車は、シート高830mmの標準モデル。僕は身長174cmで短足ですが、ハイシートでも大丈夫です。

足つきに心配の方はこの標準モデルを選ぶのもありでしょう。ただ、オンロードバイクよりは軽いので、足つきが若干悪くても意外となんとかなります。

これは僕個人の勝手な意見です。もし足が着くならハイシートのCRF250RALLY〈s〉を強くおすすめします。

僕も買う前に両方試乗したのですが、普通に走っていても「ハイシートの方が絶対面白い」と強く感じました。

比較した際、子供の頃に竹馬で遊んだときのことを思い出しました。高くすると面白くなりますよね? 少し高い位置にいると、重心が高くなるせいか、普通の交差点とか高速道路とかでも、楽しく感じるんです。

ハイシートはオフロードの段差越えにも有利です。ただ立ちゴケは林道等でしやすくなりますので、その点は注意が必要ですね。

画像1: ★足つき性

シートの座り心地についてもお伝えします。長距離だと正直ちょっと痛くなる感じです。乗って数十分で少し違和感がありました。

ただ1247km走って痛くて痛くてたまらないというレベルではないです。

あとメーター上のアクセサリーバーがスマホホルダーを付けるのに最適で、スマホのナビが非常に見やすいので、これは本当に助かります。

画像2: ★足つき性

★オフロードでの走行性能

今回は林道には入りませんでしたが、砂利道は少しだけ走りました。ダートの走破性についても触れておきます。

前述しましたけれど、このバイクはオフロード『も』走れるではなく、完全に「オフロードバイク」です。

やはりフロントの21インチホイールが効いているのでしょう。僕は愛車のCRF250RALLYでよく林道取材に行くのですが、ツーリングレベルでしたら何不自由ありません。

CRF250Lと比べると少し重いですが、一般的な林道でしたらむしろ積極的に走れる印象です。

オフロードコースや道ではないゲロ道アタックというようなステージはさすがに避けますが、上手い人ならRALLYでも走れると思います。

例えば林道ツーリングで有名な四国の剣山スーパー林道なんかを走るのに、高速移動を含めてものすごく向いている一台です。

以上、いろいろ書いてみました。

★最後に

前のモデルですが自分自身、CRF250RALLYを買って本当に良かったと5年ほど経ったいまも思っています。

個人的にこのバイクを特におすすめしたいのは、オフロードバイクが好きで、長距離や高速も自走でなるべく快適にツーリングしたいと思っている方です。そして大型バイクのパワーはもう必要なく、身の丈の合ったバイクが良いという考えがある方なら、いっそうぴったりでしょう。

ホント、良い相棒になりますよ。

ホンダ「CRF250ラリー」2023年モデル|主なスペック・製造国・価格

※ 《 》内は<s>タイプ

全長×全幅×全高2200×920×1355《2230×920×1415》mm
ホイールベース1435《1455》mm
最低地上高220《275》mm
シート高830《885》mm
車両重量153kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
総排気量249cc
ボア×ストローク76.0×55.0mm
圧縮比10.7
最高出力18kW(24PS)/9000rpm
最大トルク23N・m(2.3kgf・m)/6500rpm
燃料タンク容量12L
変速機形式6速リターン
キャスター角27゜30'
トレール量109mm
ブレーキ形式(前・後)シングルディスク・シングルディスク
タイヤサイズ(前・後)80/100-21M/C 51P・120/80-18M/C 62P
製造国タイ
メーカー希望小売価格76万4500円(消費税10%込)

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