ハーレーダビッドソン「X350」インプレ｜街中を気軽に楽しめる！ 税込70万円を切った、普通自動二輪免許で乗れるハーレー

ハーレーダビッドソン「X350」インプレ（宮崎敬一郎）

個性と魅力を満載したトラッカースポーツ！

360度クランクの353ccパラツインエンジンを搭載するX350は、トラッカーテイストを持つオシャレなスタンダードスポーツ。そして、このブランドとしては初になる「普通二輪免許で乗れるハーレー」だ。

このパラツインの生産を担当するのは、ベネリなども手掛ける中国のQJモータース。既に世界中で大量に走り回っている、非常に信頼性の高い優秀なエンジンで、X350のキャラクターに合わせたパワーフィールにするため、ECUをオリジナルとしている。

車重は400クラスの中では少々重めの195kgだが、ハンドリングは比較的軽快。大きめのハンドルも作用して、街中でハンドルをコジって強引にフットワークさせるような操作をすると250クラスのように俊敏な機動ができ、ストリートファイター的な扱い方にも対応できる扱いやすさがある。

しかも、しなやかでよく動く足まわりは乗り心地がよく、スタビリティも良好。太めのタイヤ設定や頑丈なフレームとともに、乱暴な機動をさせた時の落ち着きの良さもしっかり確保している。荒れた路面や登りや下り勾配での走りもナチュラルで、足まわりのまとまりもいい。街中でも使いやすいが、ツーリングでも活きるハンドリング特性だと言っていい。ただ、小柄なライダーを想定してだろうか、念入りに肉抜きされたシートは硬く、太ももに食い込む感じも少々気になった。

先行販売されている中国仕様よりスイングアームを少し短くして運動性を向上させているとのことだが、そうした変更による影響は一切感じない。とても素直なバイクだ。

そして最初に述べたパラツインエンジンだが、これがまた面白い。低中回転域からパンチ力があり、その吹け上がりはいにしえの英国ツインにも似た、ダウーンっと吹ける独特の味わい付きだ。それでいて、引っ張ればナチュラルに1万1000回転くらいまで伸びてくれる。6速のままでもストリートで3000回転あたりからノッキングなしでクルマの流れをリードできたりもする。ツインの400なら十分以上の力量だし、面白さもある、キャラクターの立ったエンジンなのだ。

その姿やエンブレムは、まごうことなきスポーティなハーレー。だが、ハーレーの名前にこだわることなく、気楽に乗れるスタンダードバイクとして見ても魅力は山盛り。何しろ、70万円を切るプライスは大バーゲン。無条件にお買い得だ。

ハーレーダビッドソン「X350」カラーバリエーション