文:ノア セレン、横田和彦/写真:南 孝幸
スクラム 411 プレミアム VS キャバレロ スクランブラー500デラックス|スポーツランチェック
峠道をキビキビと駆け抜けるか! 郊外をユッタリと流して楽しむか!
スクランブラーの定義はスポーツバイクがベースモデルなので、ワインディングでその性能を体感してみた。ここでも2台の個性がハッキリと分かれそうな予感…。
ノア セレン CHECK
約45万円の価格差がスポーツ性能に直撃!
2台を乗り換えながら走っていると、その対照的な性格が本当に面白い。活発でグイグイ行けるキャバレロに対して、ホントかい? というぐらいノンビリなスクラム411。ハイグリップタイヤで無理が効くキャバレロに対して、スクラムはズシーッと狙ったラインだけを正確になぞる。サーキットなんて行ったらキャバレロ圧勝は目に見えている。
ところがワインディングを流しているときは、あまりペースが変わらないから面白い。一定のリズムにハマってしまえばスクラムもズンズンと進み続け、どんな外乱にも侵されず、まさに貨物列車的な頼もしさがあったのだ。約45kgも重たい車体は、むしろそれが慣性力を生んで安心につながるような感覚すらあった。もちろん、常にエキサイティングなキャバレロと淡々と走るスクラムでは例えペースが似ていてもライダーのメンタリティには大きな差があるけど!
ストリートではキャバレロの軽さと意外なほど大きなハンドル切れ角が好印象。キビキビ走ってスポーツ走行が大好きな僕としては6速ミッションのダイレクト感も魅力。スクラム411はゆっくり走るには良いけれど、クラッチの繋がりのファジーさやアクセルレスポンスの緩さがアクティブな人には向かないかも。一方で絶対エンストしなさそうな低回転域トルクは初心者にはありがたいと思う。
バイクとしてのモダンさや性能で言えばキャバレロに軍配だろう。スクラム411は完全に旧車的な味付けなのだが、しかし、それも良いんだよなあ!
横田和彦 CHECK
異なる2台のキャラでも走る楽しさは互角
似たような排気量の単気筒エンジンを搭載したスクランブラーモデル。共通点は多いけど、味付けがまったく異なる。市街地ではピックアップが良いエンジン特性を活かし機敏な走りを見せるキャバレロは高速でのクルージングもハイペースでこなせる。長時間アクセルを大きく開け続けていると微振動が気になるシーンもあるが、高回転域までパワーが出る単気筒エンジンなので妥当なレベルか。その代わりワインディングに入るとシャープなハンドリングとパワフルさが見事に調和し、水を得た魚のように身を翻しながら駆け抜けていく。このフィーリングはたまらない!
一方、全回転域でフラットなトルク特性を持つスクラム411は、アイドリング付近でクラッチをつないでもエンストの気配を感じさせずに重量感のある車体をグイグイ押し進める。早めにシフトアップしてトルクが豊かな中回転域を常用すると振動も少なく、いたって平和。ストレスを感じることなく市街地を流していける。
エンジンを高回転まで回すと振動が出やすいためハイスピード巡航より回転を抑え気味に一定速度で淡々と走る方が得意。ハンドリングは安定志向なので、旅先のワインディングでもリラックス気分で景色を楽しみながらゆったりとコーナーを走り抜けていくことができる。
対象的ともいえるキャラクターを持つ2台のスクランブラー。それぞれの特性から「走ること」を楽しむキャバレロ、「バイクで旅すること」を堪能するスクラム411という違いを感じた。