ホンダ「GB350」「GB350 S」ライディングポジションとディメンション
必要にして十分が確実な余裕も作り込む結果に
上掲で述べたような構成に加え、取り回し性を考慮して引き寄せられたハンドル位置。これがアップライトな上半身姿勢を導き、混雑した交通環境下でも周囲の状況にも目を配りやすいGB。この快適で堂々としたライディングポジションでライダーの存在感を強調しながら、安心感のある車体挙動が得られる諸元が設定された。
ホイールベース1440mm、キャスター角27度30分、トレール量120mm、フロントフォークオフセット量45mmという数字。クルージング時のリラックス感を作り出すとともに、大型バイクにも引けをとらない車格を実現した。それでも大き過ぎない点も魅力だ。
この車格に合わせて、サスペンションは、前後ともコンベンショナルな形式を採る。フロントフォークは大径のΦ41mmとしてしなりを排し剛性を高める。リアは窒素ガス加圧封入タイプダンパーによって作動応答性を高める。ストロークも前後120mmと十分な量を確保し、乗り心地を高めている。必要にして十分。それが結果的に乗車時の余裕につながっているのだ。
ライディングポジション&ディメンション
イラストはGB350(赤)とGB350S(緑)のライディングポジションとディメンションの比較イメージ。GB350Sでは荷重入力しやすいようにステップ位置が上/後ろ、ハンドルグリップ位置が遠目/やや低めと、少し前傾気味のライディングポジションとなっていることが分かる。これらでよりコーナリングを楽しんでもらおうという設定でもある。
GB350
ライダーが乗った時に完成する二等辺三角形シルエットによって、しっかりした存在感を放つGB350。今のバイク界で多く見られるネオレトロとも異なるベーシック、あるいはスタンダードというような作り込みをストレートに行った結果、この形が作り上げられた。
GB350 S
基本の構成やコンポーネントを共有しながらリアホイールとリアタイヤのサイズを変え、合わせてライディングポジションも変えたスポーティバリエーションがGB350S。GB350と並べてみると、少し上がったマフラーの角度など、違いが際立つ。それもGBの深みかもしれない。
メインステップブラケット
GB350
GB350 S
乗車時のライダーの存在感を重視したGB350では、ステップバー(メインステップ)の位置を最適化するため、メインステップブラケットをピリオン(タンデム側)ステップブラケットと別体としている。右側メインステップブラケットの締結位置を上図のようにフレームアンダーパイプ内側に設定することで、低重心化を図ったエンジン搭載位置や高い効率を発揮する触媒位置など周辺部品の高密度な配置を可能とし、バンク角を確保した。特許出願中。なお、GB350Sではメインステップとタンデムステップのブラケットは一般的な一体型を使っている。
フレームサブパイプ
写真左側、サイドカバーのキー挿入部。シートレールを支えるフレームサブパイプはこの前、ピボットパイプの中ほどに接合される。鍛造製ブラケットを使い、二人乗り+荷物積載時の荷重入力も考慮した強度を確保しながら、外観をスマートに収めた。
ハンドルステムまわり
多くの部品が集中するステムまわり。メーターとヘッドライトハウジングを凝縮感のある配置とし、フロントフォーク摺動部からボトムブリッジ締結部までの長さや締め付けピッチなどの比率を吟味することで、信頼感や安定感のある外観を作り出した。
GB350
GB350のステムまわり。2023年型(下写真)では数値上では全幅(ミラーを除く最大幅で、普通はハンドル幅に代替される)が800mmから790mmに10mm狭いデータに変わっている。シートはダブルタイプで、表皮の色はブラウンを継続。シート高は800mmだ。
GB350 S
下の写真はGB350Sのステムまわりで2021年型。GB350Sも全幅は2023年型で780mmにと20mm狭い数値となっている。サイドにレッドステッチを施したワディングシートは継続採用され、シート高はGB350に同じ800mmとなっている。