スズキ・Vストロームシリーズに、SOCS(スズキ・オイル・クーリング・システム)油冷4ストローク単気筒250ccエンジンを搭載したV-STROM250SXが新たに加わった。フロント19インチホイールを採用し、十分なストロークトラベルを有する前後サスペンションを装備。シリーズ屈指の未舗装路アタックも可能にするスペックを誇る仕上がりに。ひと目でVストロームシリーズと判別できる“クチバシ”ルックをスタイリッシュに採用する。
文:山口銀次郎、ゴーグル編集部/写真:柴田直行

スズキ「Vストローム 250SX」インプレ(山口銀次郎)

画像: SUZUKI V-STROM 250SX 総排気量:249cc エンジン形式:油冷4ストSOHC4バルブ単気筒 シート高:835mm 車両重量:164kg 発売日:2023年8月24日 税込価格:56万9800円

SUZUKI V-STROM 250SX

総排気量:249cc
エンジン形式:油冷4ストSOHC4バルブ単気筒
シート高:835mm
車両重量:164kg

発売日:2023年8月24日
税込価格:56万9800円

アドベンチャーモデルでありながらアスリート気質な面もあり

スマートで軽やかな車体は、路面状況に関係なく軽快なライディングをイメージさせてくれるもので、贅肉がなくキビキビと応答性の良いアスリート気質であることが伺える。

車体は芯のある骨太感と、マスが集中したバランスの良い車体作りにより、その高い安定性はクラスを超えた風格さえ感じるほどの仕上がりになっている。

画像1: スズキ「Vストローム 250SX」インプレ(山口銀次郎)

オフロード寄りのキャラクターが濃い印象を与えるが、19インチならではの大らかなハンドリングを提供しつつ、また剛性の高いキャストホイールを採用することで高速域や制動時に車体が乱れることはなく、しっかり落ちついている感じが印象的だ。もちろん、ワインディングにおいても、節度あるスマートな走行を可能にする。

前後共にショックストローク量が多くとられた足回りは、キメ細やかなであり柔軟性のある初期作動性と、ある程度ストロークしてからのコシのある伸縮性により、外乱を優雅に収束させる包容力がある。これは、アドベンチャーモデルならではの快適な乗車環境を整えてくれるので、長距離&長時間走行での疲労軽減にも繋がることだろう。

画像2: スズキ「Vストローム 250SX」インプレ(山口銀次郎)

エンジンは、第一に軽快に回る元気のある印象だが、低回転域の粘りあるトルクは不整地でもとても頼もしく感じるものだった。特に繊細なスロットル操作にリニアに反応し、タイヤの許容を超える様なシチュエーションに於いても、落ち着いて対処できる懐の深さがあり未舗装路走行も臆することのない器用な一面を垣間見た。

もちろん、アスリート気質に仕上がった車体があるからこそ発揮される器用さと言えるだろう。さすがに全くの不整地を走破出来るほどではないが、未舗装の林道やコースなら問答無用に突き進むことが出来るポテンシャルを秘めている。ツーリング先で脇道の林道を楽しむには、なんら躊躇することはないフットワークの軽さを秘めている。

とても元気な印象付ける加速力と伸びは、4スト250cc単気筒のエンジン形式ではかなり良く、市街地やワインディング、高速域といった舗装路では不満を抱くことのないポテンシャルだった。ストリートスポーツモデルに採用されている同エンジンだが、アドベンチャーモデルへの搭載に際し淀みなく一気に吹け上がる特性は、まさしくスポーツモデルと言っても過言ではないだろう。

ボディワークで特筆するポイントとしてシート形状を挙げたいと思う。重点を置いて開発されたというシートは、燃料タンクエンドからタンデムシートとの境まで傾斜が極端に少ないフラットな形状となっており、尻座りが良く自由度が高くなっている。それは、足出しを考慮した前部のくびれ部分から、後端に向かいどっかり臀部を受け止める幅広部分まで、全面で実用性のある形状となっていた。

アクションの大きいライディングから、長時間走行等に於いて使い勝手の良さと疲労軽減など大きな効果を発揮することだろう。特に傾斜を抑えることで得られる、ラフな乗車でも受け止める許容の大きさは、クラスを超えた機能性と言える。

画像3: スズキ「Vストローム 250SX」インプレ(山口銀次郎)

シート高の数値自体は低いものなのだが、通常の着座位置から足を下ろすと、ふくらはぎ内側にステップが当たる形状となるため、立ち位置によっては足着き性については良好ではないように感じた。ただ、リラックスし自由度の高い乗車姿勢を保つには、ベストといえるポジション設定となるステップ位置と断言できるだろう。

Vストロームシリーズで同排気量モデルを設定するにあたり、よっぽどキャラクターの異なるモデルとなるだろうという予想通り、いや予想を遥かに超える個性に面食らいつつ、その魅力を知り尽くそうと、すっかり夢中になり楽しんでいた自分がいた。

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