バイクでは雪上走行未体験の凸凹コンビが駆るのは、 雪上走行の王者「クロスカブ110」と最強の刺客「トリシティ125」。3輪トリシティの走破性に注目だ!
文:ノア セレン、横田和彦/写真:関野 温

ヤマハ「トリシティ125」VS ホンダ「クロスカブ110」|雪上走行

ヤマハ「トリシティ125」フロント2輪、リア1輪、LMWテクノロジーを雪上で試す!

3輪は天下無敵なのか!?

トリシティはクリーンな都会のコミューターという印象があるけど、3輪ということで路面が悪い所や雨天でも強いとされている。じゃあ、雪では最強なんじゃん?

画像1: ヤマハ「トリシティ125」VS ホンダ「クロスカブ110」|雪上走行

これが噂のLMWなのか!

チェーンを装着するにあたり、フロントを浮かせながらLMWテクノロジーをマジマジと観察。確かにフロント2輪は安定感がありそうだな。

画像2: ヤマハ「トリシティ125」VS ホンダ「クロスカブ110」|雪上走行

ノア セレン CHECK

こちら3輪! グリップは1.5倍!? 余裕の勝利か?

チェーンを装着してソロリとスタート。フロントまわりの重さが懸案事項だったけど、チェーンの確かなグリップが確保されるとけっこうなバンク角も大丈夫じゃん!

画像3: ヤマハ「トリシティ125」VS ホンダ「クロスカブ110」|雪上走行

スリッピーな雪道での圧倒的な安定感はさすが

トリシティに限らず、オートマのバイクは基本的に雪が苦手。駆動輪が滑り始めたら際限なく変速してしまい一向に進まない。だからそのままでもある程度イケちゃうカブと違ってトリシティはチェーンを履くのが大前提だ。でも一度チェーンを装着してしまえばアクセルをガンガンに開けて遊べる! ただ乗り方はクロスカブと真逆な感じ。そもそもトリシティはブレーキが前後連動ということもあって、リアだけ掛けてもフロントが流れ出すことがあるので気を付けたい。

クロスカブと違いアクセルを戻すだけでエンブレがかかることもないから、減速はアクセルをスパッと戻さずに、ジワッと戻しながらブレーキもそっと掛けるのがポイント。それさえ理解すれば、あとはフロントの接地感を最大限に活用して、リアを左右に振り出しながら遊び放題! ブレーキターンはできないけど、左右のアクセルターンを組み合わせながらスキーをするように走れてしまう。減速しながらリアスライドができるカブに対して、トリシティは常に開け開けで滑らす感じ。遊び方はカブとは異なるが、楽しさは負けてないね! 

トリシティの実力を思い知ったのは一般道を普通に流しているときで、クルマと同じ速度域で走っていてもフロントが常にしっかりと接地し、横滑りもせずに粛々と走れてしまう。しかもパワーがあるから雪が深くなってもガンガン突き進んでいく余裕もあった。ズリッと滑ったときの重さには注意だけど、フトコロが深かったぜトリシティ!

画像4: ヤマハ「トリシティ125」VS ホンダ「クロスカブ110」|雪上走行

フロント荷重とパワーがタップリ! 一般道もOKだ

かなり雪が深くなってきた一般道を走行すると、トリシティはクロスカブに対して重さはあるが、スピードを出してもフロントの接地感が高いので安心だ。走破性は高いぞ!

スプレーするだけでグリップする!? 魔法の商品をテストしてみたら…

画像3: 【比較インプレ】ヤマハ「トリシティ125」VS ホンダ「クロスカブ110」|雪上最強オートバイ決定戦! 雪道の覇者はどちらだ?

冬季になるとカー用品店などで見かけることも多くなった、スプレー式の簡易滑り止め剤もテストした。「タイヤにスプレーすれば雪道でもグリップ力が上がる」と謳われているが…そんな手軽にグリップ力が上がるのだろうか? で結果だが、少なくともトリシティで試した環境では、残念ながら効果を感じることはできなかったな。タイヤの接地面積が大きいクルマの方が効果あるのかも。

画像: タイヤに一周まんべんなくスプレーして、馴染むのをちょっと待ってからアクセルオンしたら、ツル〜って横向きました。ちょっと頼りないな〜!

タイヤに一周まんべんなくスプレーして、馴染むのをちょっと待ってからアクセルオンしたら、ツル〜って横向きました。ちょっと頼りないな〜!


横田和彦 CHECK

この高い安定感こそLMWテクノロジーが秘めた真の実力だ!

フロント2輪による高い直進安定性はトリシティならでは。振られにくく簡単には滑らないぞという安心感がある。とはいえ過信は禁物。カーブでは慎重な走りが必要だ。

画像5: ヤマハ「トリシティ125」VS ホンダ「クロスカブ110」|雪上走行

フロント2輪がもたらす安定感は絶大だった!

ボクが住む横浜では雪が積もるのは数年に1回あるかないか。そこで小さな原付を引っ張り出しジタバタと足をつきながら走るのはかなり楽しい。でもこれだけの積雪の中を走るのは初めてだから正直ちょっとビビってるけど、1台がトリシティなので気持ちが少し楽になっているのは確かだ。というのも過去に雨の中で試乗し、抜群の安定感があるのを知っているからだ。しかも3輪にチェーンを装着するという心強い仕様。

恐る恐るアクセルを開けると「おおっ、ちゃんとリアタイヤがグリップして前に進む! チェーンすげぇ!」、前輪のグリップ感もしっかり伝わってきて頼もしい。さすが荒れた路面に強いLMWテクノロジーだ。積もった雪をグリグリとかき分けて進む。「予想どおりフロント2輪は安心。これなら雪道も恐れることはないぜ!」と思ったのも束の間。曲がるときに寝かせるとちょっと怖いのだ。チェーンは進行方向へのトラクションはかかりやすいが、横方向はそれほどでもない。そのため曲がるときは寝かせずハンドルで前輪を操舵したほうがいいのだ。ならばフロント2輪の方が安心か? 確かにそうだ。ただしグリップしている間は…である。

見てのとおりトリシティは重心が前にある。そのため一度グリップが抜けると重いフロントが一気に外側に持っていかれてリカバリーが難しい。だからフロント2輪であってもグリップが低下するカーブは少し怖く感じるのだ。しかし、それにさえ注意して操作すれば想像以上に走ることが体感できたぞ!

画像6: ヤマハ「トリシティ125」VS ホンダ「クロスカブ110」|雪上走行

雪道でのすれ違いはメチャメチャ緊張する瞬間!

チェーンを装着していても対向車とすれ違うときに滑ったらヤバい…と超緊張。まぁクルマの中から驚いたようにガン見している人の表情も強張っていたけど。

画像7: ヤマハ「トリシティ125」VS ホンダ「クロスカブ110」|雪上走行

待ちやがれ、このUMA野郎〜!

クロスカブでぴょんぴょんと逃げるノアウサギをトリシティで追いかける。楽しいけど、アクセルを開けすぎるとリアがスライドして引き離されちゃう。もどかしい〜!

画像8: ヤマハ「トリシティ125」VS ホンダ「クロスカブ110」|雪上走行

ゴメンナサイ、もうしません〜

ケラケラ笑いながらアクセルを開けるノアの後ろは超怖いっ! 後輪にトラクションがかかりやすくなるかも…って、誰も雪道で2人乗りなんてしないでしょ! これ誰得なの!?

巻き付け式グリップヒーターをモバイルバッテリーで使用する!

画像: デイトナHOT GRIP 巻きタイプEASY2 USB 税込価格:7700円

デイトナHOT GRIP 巻きタイプEASY2 USB 税込価格:7700円

さすがに雪のロケではグリップヒーターは必需品…なのにこのクラスの車両にはほとんど標準装備されていない。よって取り外しの簡単なデイトナの「HOT GRIP 巻きタイプEASY2 USB」を装着しようとしたのだが、トリシティ125にはUSB電源がない。そこで大容量モバイルバッテリーのUSB端子を使うことにした。我ながらコレはグッドアイデア! これなら冬のロケでも使えるぜ。

画像: モバイルバッテリーのUSBでも十分に暖かくなった巻き付けタイプのグリップヒーター。ヒモで結ぶだけなので取り付けも取り外しも簡単さ!

モバイルバッテリーのUSBでも十分に暖かくなった巻き付けタイプのグリップヒーター。ヒモで結ぶだけなので取り付けも取り外しも簡単さ!

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