アルデゲルが不運の連鎖を断ち切り母国GP制覇!
ヨーロッパラウンド初戦となる今大会。予選では開幕3戦で速さを見せながらも結果に結びつけることができなかったアルデゲルが今季初のポールポジションを獲得した。2番グリッドにはアルベルト・アレナス(QJMOTOR Gresini Moto2)が続きスペイン勢が並ぶ中、イギリス人ライダーのジェイク・ディクソン(CFMOTO Aspar Team)が3番グリッドに入っている。
日本勢は小椋藍(MT Helmets - MSI)がQ2に出走も振るわず17番グリッド、佐々木歩夢(Yamaha VR46 Master Camp Team)は2日目の転倒が影響し出場は見送られた。前戦では腕上がりの手術を行い、今回が復帰戦だったが、アメリカズGPに引き続き欠場となっている。
21周で行われた決勝レースは、予選4番グリッドスタートのマニュエル・ゴンザレス(QJMOTOR Gresini Moto2)が好スタートを切り、トップでターン1を通過。ゴンザレスに先行を許したアルデゲルは、3番手にポジションを上げたセルジオ・ガルシア(MT Helmets - MSI)とバトルを展開したこともあり、ゴンザレスが早くもギャップを築く格好となった。
理想的なスタートとはいかなかったアルデゲルだったが、ガルシアを退けるとゴンザレスを追撃。大きく話されることなく2番手のまま周回を重ねていった。
レース序盤に早くも先頭を射程距離内に定めたアルデゲルはゴンザレス攻略に動く。しかし、自分よりアルデゲルのペースが優れていることを理解していたゴンザレスは前に出さまいと抵抗しトップを死守しようと奮起する。
しかし、勢いに乗るアルデゲルが7周目にゴンザレスをパス。前に出たアルデゲルは着実に2位以下との差を広げにかかり、終盤には1秒ををつけることになった。
41秒1から5というラップを毎周安定して出し続けたアルデゲルは最終的に3秒差をつけトップチェッカー。開幕4戦目にして今季初優勝を挙げた。
一方、2位争いには動きがあった。予選11番グリッドスタートだったジョー・ロバーツ(OnlyFans American Racing Team)は残り9周でガルシアをパスし3位に浮上。さらに2位のゴンザレスをも捕えようとスパートしていたのだ。
絶好調のロバーツは残り3周でゴンザレスを攻略し2位に浮上。その後、ゴンザレスを引き離すことはできなかったが、グリッドから大きくポジションを上げたロバーツが2位でチェッカーを受けた。素晴らしいスタートを切ったゴンザレスは地元で3位表彰台を獲得、こちらも予選順位からポジションを上げてのフィニッシュを果たしている。
週末を通して転倒が多かった今大会。Moto2クラス決勝では特に最終コーナーであるターン13で転倒が相次ぎサバイバルレースとなった。そんな難しいコンディションの中、予選で下位に沈んでしまった小椋は、着実にポジションを上げていき6位入賞。ポジションを11上げる力走で開幕4戦全てでポイントを獲得している。
2024 Moto2 第4戦スペインGP 決勝結果
大本命が今季初優勝する中、チャンピオン争いはロバーツが首位に
シーズン開幕が始まる前に最高峰クラス昇格が決まったアルデゲル。昨年はペドロ・アコスタが強さを見せチャンピオンを獲得した。そしてアコスタの次に注目されたのは、チャンピオン争いを繰り広げたトニー・アルボリーノではなく、アルデゲルだった。
アルデゲルはイギリスGPで初優勝を上げると、フライアウェイに入り成績を上げていった。特にタイGPから最終戦バレンシアGPにかけての4連勝は強烈なインパクトであり、最高峰クラスのシートを射止めた最大の要因と言えるだろう。
MotoGPへの昇格を前に、なんとしてもMoto2クラスでのチャンピオンを手に入れたいアルデゲルだったが、今シーズンの開幕3戦は、速さを見せながらもミスや不運も重なり、決勝レースでの結果に結びつけることができずにいた。
しかし、母国スペインでの第4戦で本来のスピードと強さをみせ、ついに今季初優勝を上げたアルデゲル。勢いに乗れば同クラスで最も強力なライダーであるだけに、ここから一気に勝ち星を積み重ねていく可能性は大きい。
まだ開幕4戦が終わった段階とはいえ、これまで異なるウィナーが誕生していることもあり、シーズン終盤戦までもつれる可能性もある。開幕4戦終了時点でのポイントリーダーは69ポイントを獲得したロバーツ。まだ優勝がないロバーツだが、古巣であるAmerican Racingに復帰し調子を上げており、安定して上位フィニッシュし選手権をリードしている。
第3戦でMoto2クラス初優勝を上げたガルシアが64ポイントで2位、今大会優勝のアルデゲルが54ポイントで3位につけている。また、日本人ライダーの小椋も着実にポイントを稼ぎ43ポイントでランキング5位。これまでシーズンスタートに出遅れる傾向にあった小椋だが、移籍初年度にも関わらず幸先の良いスタートを切っている。
アルデゲルという絶対的なチャンピオン候補がいる中で、Moto2クラスに順応し始めている若手や、タイトルを狙う2〜3年目、そして同クラスでのキャリアが長いベテラン勢も含め皆が成績を出している今シーズン。昨年のような一騎討ちではなく、タイトルコンテンダーが乱立する予測不可能なシーズンになることを期待したい。次戦は5月10日から12日にかけて行われるフランスGP。ヨーロッパラウンドでどのようにランキングが推移していくのか楽しみだ。
レポート:河村大志