数ある400クラスのスポーツバイクの中からチョイスした3台は、単気筒の390DUKEと、2気筒のMT-03、そして4気筒のZX-4RRという、それぞれ異なるエンジンを搭載した魅力的なマシン。スポーツバイクならではの車体まわりを、連載企画「新橋モーター商会」の店長“目利きのマル”がメカニック目線で解説!
文:丸山淳太/写真:南 孝幸、関野 温

400ccスポーツ3台のユーティリティをチェック!

画像: スポーツモデルはどれも派手カラー&個性的デザインなので、おじさんが枯れ草色のウェア着て乗ると高低差ありすぎて耳キーンってなりそう!? でも、ヨンヒャクだからこそのジャストサイズ感で誰でもしっかりスポーツできるぞ!

スポーツモデルはどれも派手カラー&個性的デザインなので、おじさんが枯れ草色のウェア着て乗ると高低差ありすぎて耳キーンってなりそう!? でも、ヨンヒャクだからこそのジャストサイズ感で誰でもしっかりスポーツできるぞ!

いずれも走る喜びを身近に味わえる

私が高校生の頃にすでに下火になりつつあったレーサーレプリカブームから約30年。拝啓、レーサーレプリカ、そして今、懐メロのようにマフラーから聞こえてくるZX-4RRのサウンドにおじさんはとても興奮しました! 老害グレーゾーンライダーの私から見ると、もっとエンジンはピーキーで良いし、低速トルクがなくても良いし、足つきが悪くて、ハンドル遠くて良いと思うけど、それだとビギナー層は遠ざかるし、もはや出してくれるだけありがたい。

一方、中年男性の日常目線だと、おと〜さんが急にオレンジのド派手バイクを乗り出すとご近所さんがザワつくし、休日に毎夜1万5000回転で帰宅すると、家族の心証も悪い。そうなると、現実ラインとしてMT-03のトータルパッケージの良さが存在感を増してくる。

スパルタンな雰囲気ながら、幅広い層が軽快なシングルスポーツの走りを味わえる390DUKEもすごく楽しくてエキサイティングで魅力的だが、これ一台だと、ある程度バイクの遊び方は限られるのかも。

カワサキ「Ninja ZX-4RR」

画像: Kawasaki Ninja ZX-4RR KRT EDITION 総排気量:399cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:800mm 車両重量:189kg 税込価格:115万5000円

Kawasaki Ninja ZX-4RR KRT EDITION

総排気量:399cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:800mm
車両重量:189kg

税込価格:115万5000円

充実装備と熱い走りはビッグバイクを凌ぐ⁉

エンジンが主役のZX-4Rだが、その中でも最も気に入った点がサウンドだ。特に吸気音が良くて、エキゾーストノートとのハイトーン二重奏は感涙モノ。ZXR400ぶりに対面するカワサキヨンヒャクスーパースポーツだったが、随分と洗練された印象で初心者でもリターンライダーでも意外と普通に乗れるはず。充実豪華装備は兄貴分のZX-6Rにも引けをとらない。

画像: 前後左右もきゅっとコンパクトなエンジン 高回転型ショートストロークエンジンらしくシリンダーもペランペラン。この4気筒エンジンでカワサキのお家芸である派生車祭りして欲しいなあ。新ザンザス見たいなぁ。

前後左右もきゅっとコンパクトなエンジン

高回転型ショートストロークエンジンらしくシリンダーもペランペラン。この4気筒エンジンでカワサキのお家芸である派生車祭りして欲しいなあ。新ザンザス見たいなぁ。

画像: 慣れたレイアウトで落ち着いて見ていられる 一昔前のSSはセンターアップマフラーが流行したり、リアショックが車体センターからどっか行ってしまったりと紆余曲折があったが、今はひと回りして、コンサバな右出しマフラーのレイアウトに。

慣れたレイアウトで落ち着いて見ていられる

一昔前のSSはセンターアップマフラーが流行したり、リアショックが車体センターからどっか行ってしまったりと紆余曲折があったが、今はひと回りして、コンサバな右出しマフラーのレイアウトに。

KTM「390 DUKE」

画像: KTM 390 DUKE 総排気量:398.7cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒 シート高:820mm 車両重量:165kg 税込価格:78万9000円

KTM 390 DUKE

総排気量:398.7cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
シート高:820mm
車両重量:165kg

税込価格:78万9000円

見た目は派手だが実直な造り込み光る

3台の中でも最も装備がスパルタンで身のこなしも軽く、低速でも扱いやすい。ワインディングが楽しいのはもちろん、都市部の渋滞路を走っても苦にならなそう。ただ、個人的にはもっとシングルエンジンらしさが欲しいところ。回転の鋭さは失われるかもしれないが、もう少しクランクが重ければ、トルク感が出て好みかもしれない。

画像: 押し歩きのしやすさは車体のバランスが良い証拠! 他の2台よりも約20mmショートホイールベースで、165kgの車重は3台の中で最も軽い。押し歩きのしやすさは、低速時の取りまわしやすさを想像させるもので、実走してもそうだった。

押し歩きのしやすさは車体のバランスが良い証拠!

他の2台よりも約20mmショートホイールベースで、165kgの車重は3台の中で最も軽い。押し歩きのしやすさは、低速時の取りまわしやすさを想像させるもので、実走してもそうだった。

画像: ステップも豪華! たとえスタイリングが良くても、ペダルがスチールのプレス部品でユニクロメッキ仕上げみたいな簡素なものだと一気にがっかりするものだが、さすがKTMはアルミ鋳造品で塗装仕上げの豪華な造り込み。ステップの剛性感やシフトタッチも実にしっかりしていた。

ステップも豪華!

たとえスタイリングが良くても、ペダルがスチールのプレス部品でユニクロメッキ仕上げみたいな簡素なものだと一気にがっかりするものだが、さすがKTMはアルミ鋳造品で塗装仕上げの豪華な造り込み。ステップの剛性感やシフトタッチも実にしっかりしていた。

ヤマハ「MT-03」

画像: YAMAHA MT-03 総排気量:320cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:780mm 車両重量:167kg 税込価格:68万7500円 ※撮影車両はアクセサリーパーツ装着車

YAMAHA MT-03

総排気量:320cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:780mm
車両重量:167kg

税込価格:68万7500円

※撮影車両はアクセサリーパーツ装着車

走るシーンを選ばずコスパも高い

個性の塊である2台に挟まれると目立ちにくいが、トータルバランスの良さは秀でており、ツーリングからスポーツ走行までおいしくいただける。390DUKEほど高圧縮エンジンではないし、ZX-4Rほど高回転型ではないので、エンジンオイルも超高性能品である必要はないし、他の2台よりもタイヤ代は安く済むので、買ってからのコスパも良い!

画像: たくましいフロントマスクが魅力的! バブル時代の日産車を思い起こさせるプロジェクターヘッドライトが今こそ新鮮。その上の鋭い細さのLEDライトも精悍さを感じさせる。さすが “デザインのヤマハ” なのだ。

たくましいフロントマスクが魅力的!

バブル時代の日産車を思い起こさせるプロジェクターヘッドライトが今こそ新鮮。その上の鋭い細さのLEDライトも精悍さを感じさせる。さすが “デザインのヤマハ” なのだ。

画像: メリハリボディなのでポジションも楽 スチールの燃料タンクに見えるが、樹脂カバーなのが少し残念。上から見下ろすと大ボリュームだが、ニーグリップ部が大きくくびれており、非常にホールド性が良い。

メリハリボディなのでポジションも楽

スチールの燃料タンクに見えるが、樹脂カバーなのが少し残念。上から見下ろすと大ボリュームだが、ニーグリップ部が大きくくびれており、非常にホールド性が良い。

画像: ランニングコストが最も安い、だからガンガン走れる MT-03の前後タイヤはラジアルのHレンジとなるが、他の2台はZRレンジ指定だ。タイヤの銘柄にもよるのだが、前後タイヤを交換すると1万円以上の価格差が出ることも。

ランニングコストが最も安い、だからガンガン走れる

MT-03の前後タイヤはラジアルのHレンジとなるが、他の2台はZRレンジ指定だ。タイヤの銘柄にもよるのだが、前後タイヤを交換すると1万円以上の価格差が出ることも。

画像: 見た目でもっとMT-25との違いを出してよ! その昔、RZは250がシングルで350がダブルディスクという違いがあったが、MT-25/03は特になし。効きは十分なのだが、見た目の特別感の演出としてダブルディスクの方が良かった。

見た目でもっとMT-25との違いを出してよ!

その昔、RZは250がシングルで350がダブルディスクという違いがあったが、MT-25/03は特になし。効きは十分なのだが、見た目の特別感の演出としてダブルディスクの方が良かった。

画像: 高速連続走行時に差が出るラバーマウントハンドル 3台の中ではMT-03と390DUKEがハンドルをラバーマウントしていた。ただ、MT-03はツインエンジンということもあり、体感としてハンドルから感じる微振動は少ない印象だった。

高速連続走行時に差が出るラバーマウントハンドル

3台の中ではMT-03と390DUKEがハンドルをラバーマウントしていた。ただ、MT-03はツインエンジンということもあり、体感としてハンドルから感じる微振動は少ない印象だった。

3台の主なスペック・製造国・価格

MT-03390デュークNinja ZX-4RR KRT エディション
全長×全幅×全高2090×755×1070mmNA1990×765×1110mm
ホイールベース1380mm1357mm1380mm
シート高780mm820mm800mm
車両重量167kg165kg189kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒水冷4ストDOHC4バルブ単気筒水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量320cc398.7cc399cc
ボア×ストローク68.0×44.1mm89×64mm57.0×39.1mm
圧縮比11.2NA12.3
最高出力31kW(42PS)/10750rpm33kW(45PS)/8500rpm57kW(77PS)/14500rpm
※ラムエア加圧時:59kW(80PS)
最大トルク30N・m(3.1kgf・m)/9000rpm39N・m/7000rpm39N・m(4.0kgf・m)/ 13000rpm
燃料タンク容量14L約15L15L
変速機形式6速リターン6速リターン6速リターン
キャスター角25°00′NA23.5°
トレール95mmNA97mm
タイヤサイズ(前・後)110/70R17・140/70R17110/70R17・150/60R17120/70ZR17・160/60ZR17
ブレーキ形式(前・後)ディスク・ディスクディスク・ディスクダブルディスク・ディスク
燃料消費率 WMTCモード値25.4km/L(クラス3 サブクラス3-2 1名乗車時)NA20.4km/L(クラス3-2 1名乗車時)
製造国インドネシアインドタイ
メーカー希望小売価格68万7500円(消費税10%込み)78万9000円(消費税10%込み)115万5000円(消費税10%込み)

文:丸山淳太/写真:南 孝幸、関野 温

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