ちょっと乗るだけで楽しめる魅力的な個性も、ロングツーリングで疲れてくると気になり出すことも。かといって没個性ではつまらない。そんなワガママな要求をクリアする3台のツーリングバイクをじっとりと見ていこう! 連載企画「新橋モーター商会」の店長“目利きのマル”がメカニック目線で解説!
文:丸山 淳太/写真:南 孝幸、関野 温

整備性が良くなきゃツーリングバイクじゃない! 3台の各部を徹底分析

画像: 整備性が良くなきゃツーリングバイクじゃない! 3台の各部を徹底分析

センタースタンドはメーカーの良心だ

ここ十数年は並列2気筒エンジンの全盛時代だ。カムやヘッドといったエンジンパーツが1セットで済むから、コストと性能をバランスさせてそれが正解なのはわかる。でも、良く言えばスムーズだけど、悪く言うと実用車みたいで盛り上がりにかけるものも少なくない。

その中にあってエリミネーターSEのエンジンは低回転の粘りと高回転の気持ちの良い伸び持ち合わせており、非常に好印象。スポーツ向きとは思えなかったポジションだったが、ワインディングもしっかり楽しめるし、高速クルーズも楽そうだ。

GB350Sとハンター350は共にシングルエンジンでキャラクターも良く似ている。バイクいじり愛好者としては、どちらもセンタースタンドを装備しているのが見逃せない。フロントスタンドがなくてもフォークやステムのメンテができるし、大荷物の積載時にも便利。これだけで全肯定したくなった。

ホンダ「GB350 S」

画像: Honda GB350 S 総排気量:348cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 シート高:800mm 車両重量:178kg 税込価格:60万5000円

Honda GB350 S

総排気量:348cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:800mm
車両重量:178kg

税込価格:60万5000円

隙のないパッケージングはさすが!

クラシックシングルの足まわりをモダンにカスタムしたイメージのGB350S。前後キャストホイールや丸型LEDライト、スポーティなリアまわりなど、ネオクラとしての完成度は高い。ただソリッド色のタンクが無印良品的な簡素感で物足りない。色気があるキャンディカラーだと、急にアートに目覚めがちな中年の感性もキャッチしそう。

画像: 左サイドカバー内にバッテリーを格納 GB350Sのバッテリーはサイドカバー内にあり、工具を使わずアクセス可能。出先で上がっても救援車やモバイル型のスターターがあれば現場で何とか対処できそう。

左サイドカバー内にバッテリーを格納

GB350Sのバッテリーはサイドカバー内にあり、工具を使わずアクセス可能。出先で上がっても救援車やモバイル型のスターターがあれば現場で何とか対処できそう。

画像: センタースタンドは正義! 直立したシリンダーも潔い センタースタンドで停車させると空冷シングルエンジンの美しさが良く分かる。センタースタンドがあるし、ホンダ車なら部品の入手も安心。メンテ性は非常に高い。

センタースタンドは正義! 直立したシリンダーも潔い

センタースタンドで停車させると空冷シングルエンジンの美しさが良く分かる。センタースタンドがあるし、ホンダ車なら部品の入手も安心。メンテ性は非常に高い。

画像: シートの表皮の座面にウェルダーパターンがあり 最近のバイクでは省略されるケースが多い、シートの座面のウェルダーパターンが入っていて高級感あり。さらに縫い目が赤いステッチでオシャレなのだ。

シートの表皮の座面にウェルダーパターンがあり

最近のバイクでは省略されるケースが多い、シートの座面のウェルダーパターンが入っていて高級感あり。さらに縫い目が赤いステッチでオシャレなのだ。

画像: フロント19インチホイールでおおらかなハンドリング! 3台のなかでもっとも大きいフロント19インチのホイール径をもつGB350S。ハンドリングのラフさが魅力的。

フロント19インチホイールでおおらかなハンドリング!

3台のなかでもっとも大きいフロント19インチのホイール径をもつGB350S。ハンドリングのラフさが魅力的。

ロイヤルエンフィールド「ハンター350」

画像: Royal Enfield HUNTER350 総排気量:349cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 シート高:790mm 車両重量:181kg 税込価格:65万7800円/66万4400円

Royal Enfield HUNTER350

総排気量:349cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:790mm
車両重量:181kg

税込価格:65万7800円/66万4400円

高い完成度でビギナーにもオススメ

インド製のバイクだとやや斜めに見ていたが、装備も機関も、日本メーカーと遜色なし! ペイントやエンジン外観、メーターデザインなど、むしろ日本メーカーよりもオシャレ度が高く、女子ウケも良さそう。前後17インチらしく素直な応答性のハンドリングなので、エンジンにもう少しだけ弾けるようなパンチ感があれば、さらに楽しくなりそう。

画像: ミッション別体式っぽいエンジンカバーがオシャレ! エンジンとミッションが別体になったようなエンジンカバーのデザインを採用。英国旧車のような雰囲気を漂わせている。しっかりエンジン外観にも気を配っているのが好印象だ。

ミッション別体式っぽいエンジンカバーがオシャレ!

エンジンとミッションが別体になったようなエンジンカバーのデザインを採用。英国旧車のような雰囲気を漂わせている。しっかりエンジン外観にも気を配っているのが好印象だ。

画像: メーカー名を大胆にあしらった手間暇かかったグラフィック バイクの顔である燃料タンクのグラフィックもオシャレ度が高い。最近では外装にステッカーを貼るだけのケースもあるが、ちゃんと上から艶消しクリアペイントされており、クオリティが高い。

メーカー名を大胆にあしらった手間暇かかったグラフィック

バイクの顔である燃料タンクのグラフィックもオシャレ度が高い。最近では外装にステッカーを貼るだけのケースもあるが、ちゃんと上から艶消しクリアペイントされており、クオリティが高い。

画像: ハンター350もGB350Sもアナログはスピード表示のみ おじさんは多機能表示のTFT液晶モニターを前にすると、行き慣れないスタバのカウンターでオーダーする時みたいにドギマギしてしまうので、やっぱアナログメーターが落ち着く。

ハンター350もGB350Sもアナログはスピード表示のみ

おじさんは多機能表示のTFT液晶モニターを前にすると、行き慣れないスタバのカウンターでオーダーする時みたいにドギマギしてしまうので、やっぱアナログメーターが落ち着く。

画像: 3台の中でも一番重いのに取りまわしが一番楽かも!? 車重181kgは、3車の中で最も重いのだが、ハンドル切れ角がもっとも大きいし、車体の重心バランスが良いので取りまわしが最も楽に感じた。低速の扱いやすさも一番良かった。

3台の中でも一番重いのに取りまわしが一番楽かも!?

車重181kgは、3車の中で最も重いのだが、ハンドル切れ角がもっとも大きいし、車体の重心バランスが良いので取りまわしが最も楽に感じた。低速の扱いやすさも一番良かった。

カワサキ「エリミネーター SE」

画像: Kawasaki ELIMINATOR SE 総排気量:398cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:735mm 車両重量:178kg 税込価格:91万3000円

Kawasaki ELIMINATOR SE

総排気量:398cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:735mm
車両重量:178kg

税込価格:91万3000円

銘機をクルーザースタイルに載せて

車名復活ニューモデルが出ると、私を含めご意見番気取りの老害グレーゾーンライダーがわらわら寄ってたかって好き放題言うが、エリミネーターも生まれ変わった新しいバイクなので、昔話はナンセンス。エンジンはミッション含めてZ400そのままだが、クルーザーの車体に載せたらいきなり人気に火が付いた。カワサキの慧眼が冴えわたる。

画像: なんだか3台ともフォークブーツをしている! クルーザースタイル&130サイズのフロントタイヤながら、軽快かつクセのないハンドリングが魅力。ハンドルはラバーマウントされているので疲労を低減してくれるはず。

なんだか3台ともフォークブーツをしている!

クルーザースタイル&130サイズのフロントタイヤながら、軽快かつクセのないハンドリングが魅力。ハンドルはラバーマウントされているので疲労を低減してくれるはず。

画像: アウトローイメージを「排除」、リデザインでスタイリッシュに 旧エリミネーターの痕跡を探してしまう。路地裏の窓、向かいのホーム、と思ったらビキニカウルにらしさあり! 別のバイクに流用カスタムしたくなるくらいスタイリッシュなのだ。

アウトローイメージを「排除」、リデザインでスタイリッシュに

旧エリミネーターの痕跡を探してしまう。路地裏の窓、向かいのホーム、と思ったらビキニカウルにらしさあり! 別のバイクに流用カスタムしたくなるくらいスタイリッシュなのだ。

画像: まめに汚れを落とさないとがっつり焼き付きそう フロントタイヤが巻き上げた雨水がもろにエキパイ、クランクケース、ラジエターを直撃。熱で汚れが焼き付くから厄介だ。ちょっと野暮だけどロングフェンダー化が良いかも。

まめに汚れを落とさないとがっつり焼き付きそう

フロントタイヤが巻き上げた雨水がもろにエキパイ、クランクケース、ラジエターを直撃。熱で汚れが焼き付くから厄介だ。ちょっと野暮だけどロングフェンダー化が良いかも。

画像: 2ピストンキャリパーでリアの制動力もバッチリ確保 リアにフロントと同じ2ピストンキャリパーを採用している。これはZ400も同じだが、リア荷重の大きいエリミネーターこそ、効きやコントロール性の面でよりメリットを感じた。特に低速はリアブレーキをメインで使った。

2ピストンキャリパーでリアの制動力もバッチリ確保

リアにフロントと同じ2ピストンキャリパーを採用している。これはZ400も同じだが、リア荷重の大きいエリミネーターこそ、効きやコントロール性の面でよりメリットを感じた。特に低速はリアブレーキをメインで使った。

画像: マフラーに干渉しなければリアスタンドが使えそう スイングアームもなにかと共用しているのか? 下側にスタンドフックボルト用の座が設けられているのを発見。フックスタンドが使えればメンテナンス時の安定性も高まるはずだ。

マフラーに干渉しなければリアスタンドが使えそう

スイングアームもなにかと共用しているのか? 下側にスタンドフックボルト用の座が設けられているのを発見。フックスタンドが使えればメンテナンス時の安定性も高まるはずだ。

画像: スタイル優先なので整備性が気になる部分も サイレンサーがリアのアクスルナットを覆うような場所に位置しているので、リアホイールを外す時やトルクレンチを使う際は、ややクリアランス不足で邪魔になりそう。

スタイル優先なので整備性が気になる部分も

サイレンサーがリアのアクスルナットを覆うような場所に位置しているので、リアホイールを外す時やトルクレンチを使う際は、ややクリアランス不足で邪魔になりそう。

3台の主なスペック・製造国・価格

GB350 Sハンター350エリミネーター SE
全長×全幅×全高2175×780×1100mm2100×800×1055mm2250×785×1140mm
ホイールベース1440mm1370mm1520mm
シート高800mm790mm735mm
車両重量178kg181kg178kg
エンジン形式空冷4ストSOHC2バルブ単気筒空冷4ストSOHC2バルブ単気筒水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量348cc349cc398cc
ボア×ストローク70.0×90.5mm72.0×85.8mm70.0x51.8mm
圧縮比9.5NA11.5
最高出力15kW(20PS)/5500rpm14.9kW(20PS)/6100rpm35kW(48PS)/10000rpm
最大トルク29N・m(3.0kgf・m)/3000rpm27Nm(2.75kgf・m)/4000rpm37N・m(3.8kgf・m)/8000rpm
燃料タンク容量15L13L12L
変速機形式5速リターン5速リターン6速リターン
キャスター角27°30′NA30°
トレール120mmNA121mm
タイヤサイズ(前・後)100/90-19・150/70R17110/70-17・140/70-17130/70-18・150/80-16
ブレーキ形式(前・後)ディスク・ディスクディスク・ディスクディスク・ディスク
燃料消費率 WMTCモード値39.4km/L(クラス2-1)1名乗車時NA25.7km/L(クラス3-2)1名乗車時
製造国日本インドタイ
メーカー希望小売価格60万5000円(消費税10%込み)65万7800円/66万4400円(消費税10%込み)91万3000円(消費税10%込み)

文:丸山淳太/写真:南 孝幸、関野 温

This article is a sponsored article by
''.