BMWが誇るGSファミリーのミドルモデル、F850GSがフルモデルチェンジを果たし、F900GSとして生まれ変わった。排気量をアップしたエンジン、新設計の車体に加え、各種電子制御も充実。スパルタンなビッグオフローダーに仕立てられている。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:森 浩輔、南 孝幸

BMW「F 900 GS」インプレ(宮崎敬一郎)

画像: BMW F 900 GS 2024年モデル 総排気量:894cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:870mm 車両重量:224kg 税込価格:209万5000円

BMW F 900 GS
2024年モデル

総排気量:894cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:870mm
車両重量:224kg

税込価格:209万5000円

しなやかな足まわりとパワフルなエンジン!

BMWのミドルクラスのアドベンチャーモデルのネーミングはちょっとややこしい。旧型のF850GSとF750GSは性格こそ違えど、同じ853ccエンジンを搭載していたが、今回もF900GSとF800GSという、味付けの異なる894ccツインを搭載するアドベンチャーモデルが登場した。

今回試乗したこのF900GSは、今現在BMWの中では最もオフロード志向の強いアドベンチャーモデルだと言っていいだろう。

大柄なR1300GSでは行けないような苛酷な悪路にも入れるサイズで、比べれば車重も軽い。前後サスにも大きくコストを割いて快適性と悪路走破性を重視している。フロントはSHOWAのフルアジャスタブル倒立でリアはザックスの油圧プリロード調整式。ともに作動性に優れたハイグレードショックで、走破性のバロメーターにもなるトラベル量はフロントが230mm、リアは215mm。そのせいでシート高は870mmと高くなったものの、オフロード志向の強いライバルに互することのできるスペックだ。

画像: BMW「F 900 GS」インプレ(宮崎敬一郎)

本格的に悪路をいろいろ試せたわけではないのだが、深いワダチのある低速林道や、フラットな農道のダートくらいは走ってみた。まず、そこで感激したのが、その快適性。前後サスはソフトな味付けだが、強い減衰力が非常にしなやかに作用するところがすばらしい。「流す」程度のペースで走る限り、ドカンと突き上げられることはまずない。

衝撃吸収力もさることながら、動きも滑らかなので快適で心地いい。強いバネをバランスさせて悪路をブッ飛ばすことに狙いを定めたタイプでないのは間違いない。少し剛性を上げたという新フレームとのバランスも良さそうだ。オンでもオフでもクセのないハンドリングで、非常に扱いやすいのも魅力。

オンロードにある凸凹などにもしなやかな対応をする。あまりに上手く乗り越えるので、気がつくと、わざとそんな箇所を選んで走っていたほどだ。タイヤはオフ志向の強いメッツラーのカルー4を履くが、ダートだけでなく、オンでもグリップがいい。ウエット以外は普通の感覚で走ることができた。

エンジンも扱いやすい。感覚的な話だが、排気量が上がったのにメカノイズがマイルド。トルクは2500回転ほどからふたまわりほど強力で、よく粘るし、ピックアップも程よくダイレクト。街中はもちろん、オンでもオフでも神経質なところがまるでない。

そして、最もスポーティな「ダイナミック」モードで、6000回転以上でのコシの強さなどはF850GSとは全くの別物。プラス10馬力に加え、大きくなったエンジンには心地よい伸び感まで生まれていた。

F900GSはこのクラスのオフ系スポーツアドベンチャーの中では車格は標準的。一般的なツーリングでも活きるすばらしい足とトップレベルのパワーを持った、背伸びせずに使える魅力的な一台だ。

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