文:黒田健一/写真:関野 温、南 孝幸
ナナハンコレクションを振り返る!<GPz750F編>
購入時はまともに動かないほどボロボロだった愛するGPz
一人で細々と始めたレストアだったが、気がつけば20代の若手スタッフも加わり、数々のトラブルをみんなで解決してきた思い出深い企画だ。
そんなこの企画が今回で最後なんて…もうトラブルを紹介できる場がなくなってしまった…せめてCBX750Fを車検に通すところで最後にしたかった…。最後はGPz750Fを手に入れた時の話をする。
今も色褪せない秀逸なスタイリングの1985年式のGPz750Fを購入したのは2018年の春のこと。前オーナーの話では、フレームの状態からなんとか走れる状態まで再生したところで断念したとのこと。
じゃ~最後の仕上げは僕が! と言う重大な使命を受け継いだのだが、キャブレターはサイズ違いの水冷GPz750R用をピッチ変更して無理やり装着してあり、二次エアを吸い込んでまともにアイドリングもしない状態。
FCRに交換することも考えたが、セッティングする時間と費用を考慮して中古の純正キャブを装着した。今となってこの判断は賢明だったと思っている。
その他にピストンは新品に交換、リアの足まわりも全バラして組み直し。ボロボロになった純正ショックはYSS製に交換。しかし、ユニトラックサスのスリーブがサビサビだった。新品が手に入らないので紙やすりで磨きまくった。旧車は純正パーツが手に入らないことがネックだと思い知らされた。
これから旧車に乗ろうと考えているなら、まずは頼れるバイクショップを見つけることが先決だ。必ずトラブルは発生する。前回は「メインハーネス交換編」を紹介したけど、不人気車種だとこれすら手に入らないだろう。
この企画でも度々登場しているバイクショップ「コアガレージ」の社長から「エンジンは調子いいから問題ないよ」と言う一言で救われたことを今も覚えている。
カスタム部のメンバーと数々のトラブルを解決してきたおかげで、GPzはすこぶる絶好調だ! あと30年は問題なく走れるだろう。この間にCBX750Fのレストアも終わらせておくぞ!
ハチ黒のGPzをチェック!
今見ても、このデザインを超えるバイクはないね!
純正ハンドルは位置が遠すぎるのでバーハンドルにカスタム…でもしっくりこない
GPz750Fのこのメーターが好きなのよ。大きさの違うアナログ式2連メーターがたまらない。見ての通り、ハンドルは純正のセパレートハンドルからバーハンドルに変更。でもハンドル形状がしっくりこないんだよね。
真横の流れるようなボディラインが一番好き!
フロントカウルから燃料タンク、そしてサイドカバーへと流れるようなデザインが一番萌える。現在のスポーツバイクにはない、前後18インチホイールもデザインとマッチしている。
750とはいえ、昔のリアまわりは細いな〜
このGPzシリーズ(400、750、1100)特有の長方形のテールランプとウインカーデザインがとても好き。リアタイヤは130/80-18と細いので、俺の体がデッカく見えるのがマイナスだな。
セレナにもスッポリ入るGPz750F
全長2190mmもあるんだけど、ミラーさえ前方に向ければすんなりとセレナに収まるボディサイズ。正直、旧車に乗るならトランポは必需品と考えている。何回世話になったかわからない…。
過去の企画のワンショット
20代のスタッフと一緒に企画ができたのは最高の思い出だ!
オイル企画の撮影中に、真夏のあるあるトラブル「レギュレーターのパンク」が発生。新品と交換ついでにもっと冷える位置に場所を変更。ステーはアルミ板で自作。
80年代にプレイバック! お気に入りの一枚
この写真大好きなんだよね。レーサーレプリカ時代に突入する激動の80年代を彷彿とさせる。FZR750も俺の旧車購入リストに入っていた1台。丸目2灯とカラーリングがいいんだよ。
ヤマルーブの最高峰オイル企画編の一枚
1980年代は100%科学合成オイルなんてない時代。それを旧車に入れるとオイル漏れを起こすなんて言われている。だったら検証しようという企画。1年経つけど2台とも絶好調です。
ナナハンコレクションを振り返る!<GSX750S編>
旧車欲しい欲しい病が発病した。1100は高いので750で我慢
GPz750Fが見事に蘇ったことで気を良くし、このままカタナも手に入れようと思い立つ。いざ探し始めると1100は高くて手が出ない。だったらと同じデザインの750を探し始めたが、安いのはたくさんあるけどボロボロな車体ばかり。
その中でもちょっと相場より高額で完璧に整備された車両を広島まで引き取りに行った。これはGPzを手に入れた翌年、2019年の話だ。
前オーナーが売却した理由は「身長が低い自分にはハンドルが遠くてポジションがツライ」とのこと。そんなことは気にもとめず、目の前にあるカタナに跨る欲望を抑えきれないサル状態の俺…。
でもいざ跨ってみると、想像以上にハンドル位置が遠くて低い…これで神奈川まで帰ることを考えるとちょっと寒気がしたが、帰りは四国に寄って讃岐うどんを食べることも目的にしていたので、さっそく出発する。
走り出してすぐに前オーナーの完璧な整備に感謝する。キャブレターのセッティングも完璧でキレイに高回転域まで吹け上がる。荒々しいGPzのエンジンとは対照的でウルトラスムーズなエンジンだ。
昼の12時に広島を出発して自宅に到着したのは午前0時頃。普通だったら翌日もカタナに乗ってツーリング…となるが、あまりのポジションのツラさに怒り爆発で、しばらく乗ることはなかった。
その時から750の純正ハンドルを探し始めた。もちろん新品は入手できないので中古品を探すのだが、状態の悪いものでも高額で出品数も少ない。一年近く探し続けて、やっと状態が良いハンドルをそこそこの価格で入手できた。
幻の耕運機ハンドルを入手
貴重なGSX750Sと1100の純正ハンドルの比較写真をご覧あれ‼
GSX1100Sと750Sの純正ハンドルを比較した貴重な写真。こんな写真を持っている出版社はないだろね。アクセル側が750の耕運機ハンドルになっているけれど、真上のアングルなんて衝撃的。耕運機ハンドルが極楽な理由がわかる。後ろから見るとハンドルのタレ角や高さの違いも一目瞭然だ。
「耕運機ハンドルはダサい!」と言われ続けてきて、実際自分自身もそう思っていた。でも今はこれが一番カッコいいと断言できる!
撮影中にトラブル発生⁉
急にカタナのエンジンが不調に…原因をさぐれ!
今日まで大きなトラブルといえば、チョークを戻し忘れブローバイからガソリンがエンジン内に侵入したくらいで、それ以外問題は発生していない。
やはり、どれだけ前オーナーが整備していたかで、トラブルの発生率は大きく異なってくることを思い知らされた。ぶっちゃけ遠出するならカタナ、家の近くならGPzだな。
文:黒田健一/写真:関野 温、南 孝幸