現行のホンダGB350シリーズは今の目で見た普遍的なバイクの楽しみを具体化したミドルクラスモデルだ。ただ遡ること40年、1983年にも同じ「GB」の名を冠する単気筒スポーツがホンダから送り出されていた。今のGBはかつてのGBブランドからは切り離された自由な存在とされているが、その名を持つ車両群を知ることで、GBの意味に新たな側面が見えてきそうだ。

ホンダ「GB250 CLUBMAN」(1983~1997年)

マン島TTレースの英国にちなんだかつてのGB

現代GBの40年も前となる1983年に初めて現れたGBの名のバイク。GB250クラブマン。クラブマンは、モータースポーツ好きが親睦を深める紳士の集まりのような意味。むしろ頭に付くGBの方が、当時は珍しく思えた。

ホンダが作る単気筒のロードスポーツだからCBが当然。心臓部はバルブを半球形の燃焼室に沿わせる配置のRFVCをDOHCと組み合わせた、十分なハイメカだった。でも、外観は当時からも20年は遡るクラシカルなものをまとった。それは時代をリードするのではない、懐古的という見方。

ただその1960年代には、ホンダは世界進出と高い自社技術の確認のための挑戦として、イギリス(の属領)、マン島TTレースに挑戦している。マン島は3年目となる1961年には125、250の両クラスで1~5位を独占するほどと世界に名を知らしめた地。

そこにちなみ、イギリス=グレート・ブリテンのGBを冠し、サブネームにクラブマンを加えた。後で紹介するGB400/500TTの末尾のTTは、マン島TT(ツーリスト・トロフィー)から。

新しい空冷単気筒モデルが、1960年代から脈打つ伝統的なスタイルをまとった。これは当時多くの先鋭的なモデルが続出する中で、懐古ではあるがトラッド=伝統的な、本物。つまりここに、オーセンティックとしてのGBが生まれたのだった。

GB250 CLUBMAN(MC10/E型)1983年

画像1: ホンダ「GB250 CLUBMAN」(1983~1997年)

下の写真は純正アクセサリーのシングルシートカウルを装着した例。今で言うカフェレーサースタイルを意識したものだが、当時はむしろトラディショナルスタイルという見方だった。純正アクセサリーにはメーターバイザーなどもあった。

画像2: ホンダ「GB250 CLUBMAN」(1983~1997年)
画像3: ホンダ「GB250 CLUBMAN」(1983~1997年)

当時のカタログ表紙(上)。下の2点は初期1983年型、性能の高さがもてはやされた1980年代にあってテイストというキーワードを前面に押し出した。

画像4: ホンダ「GB250 CLUBMAN」(1983~1997年)
画像5: ホンダ「GB250 CLUBMAN」(1983~1997年)

下の後期1993年型時点ではネイキッドがブームで、時代が追いついた的な表現をした。

画像6: ホンダ「GB250 CLUBMAN」(1983~1997年)

放射状配置バルブDOHCエンジンをトラッドスタイルに組み合わせた

後ろが絞られた形状の燃料タンクやフォークブーツ、バフ仕上げのヘッドカバーやケースカバーなど、1960年代の伝統的なスタイルを継承しながら、DOHC4バルブのRFVC空冷249cc単気筒エンジンを搭載するなど最新の技術を投入したロードスポーツとして登場したGB250クラブマン。「トラディショナルスポーツ」のはしりでもあった。ハンドルバーは一文字タイプ、ステップはやや後ろ、ホイールリムはアルミとして、格好だけでなくスポーツ性も盛り込んでいた。マフラーは左右出しを採用する。

画像7: ホンダ「GB250 CLUBMAN」(1983~1997年)

上の初期モデル(1983-1984年E型。MC10の型式はCBX250RSとも同じ)はシルバー、ブラック(下)、レッドの3色を用意。低いハンドルバーや後ろ目位置のステップは“本物”感を醸し出している。

画像8: ホンダ「GB250 CLUBMAN」(1983~1997年)

GB250 CLUBMAN 主なスペック
全長×全幅×全高:2015×640×1035mm
ホイールベース:1360mm
シート高:780mm
車両重量:145kg(乾燥130kg)
エンジン:空冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
排気量:249cc
ボア×ストローク:72.0×61.3mm
圧縮比:10.5
最高出力:30PS/9500rpm
最大トルク:2.4kgf・m/8000rpm
燃料供給:キャブレター(PH02)
タンク容量:17L
変速機:6段リターン
キャスター角:27°00'
トレール量:98mm
ブレーキ形式(前・後):ディスク・ドラム
タイヤサイズ(前・後):90/90-18 51S・110/90-18 61S

CBX250RS(MC10型)1983年

単気筒の高性能ベーシックスポーツ

GB250よりも7カ月早い1983年5月に登場したCBX250RS。理想的な燃焼効率が得られる半球型燃焼室を、放射状に配置した4バルブで実現した画期的なRFVC(ラジアルフォーバルブ・コンバッション・チェインバー)を採用した、高性能で乗りやすいベーシックスポーツだった。

画像1: ホンダ「GB」の歴代モデルを紹介! 「GB250クラブマン」「GB400TT」「GB500TT」の歴史

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