サーキットもストリートもよく知って手を入れる

スズキの正規販売店として歴代GSX-Rシリーズの新車を販売、油冷車も含め多くのヴァージョンアップコンプリート製作や良質な中古車両の販売を行ってきたテクニカルガレージRUN(以下、TG-RUN)。GSX-Rはまさにショップの中軸をなすバイクだ。同店代表・杉本さんも現行HayabusaなどとともにこのGSX-R1000RL7を所有し、自身がTG-RUNに依頼するかたちで同店のヴァージョンアップ・コンプリート化したものだ。その使い方から、TG-RUNがGSX-Rシリーズにどんな理由からどう手を入れるかも見えてくる。

まずこの車両、稼働率がとても高い。2023年は厳寒期を含めてフル稼働だったと言う。年に10~20回のサーキット走行会で、GSX-Rに乗るお客さんの走りを確認するために。TG-RUNが窓口を務めるアオキ・ファクトリー・コーチングもかなり回数が増えている。青木宣篤さんの先導や追走に合わせて受講者とともに走るセッション数も多い。

サーキットだけでも多いのに、ストリートもよく走る。比較してお客さんの車両の状態を確認するためもあるし、プライベートでも走る。タイヤやオイル、パーツの評価を依頼されることも多くあるから、また走る。

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「今ではスポーツバイクの性能をしっかり味わえる場所というのがサーキットになっています。そこでの安全性、安心感の高い車両コントロールというものも作り込んでいきたい。

一方で、サーキットだけがスポーツバイクのすべてではないんです。それがすべてなのはレーサー。GSX-Rはあくまで市販車。ならばストリートでゆっくり乗ることもあるでしょうし、それができないのは良くない。GSX-Rは歴代のどれも、ストリートで走らせやすくて楽しいんです。実際に軽くてコンパクトですし、トルクもある。ポジションも、それほど厳しくない。その一方で歴代の1000ccモデルはノーマルでも300km/h出せる。そんな凄いバイクなんです。

ですからこっちも手を抜けない。TG-RUNでは青木宣篤、秋吉耕祐、今野由寛といった一流のレーシングライダーがアドバイザーを務めてくれています。彼らの教えてくれる事象、僕らの知りえない限界域での話などを、自分が製作したマシンで理解したい。いかに安全に楽しく快適にスポーツマシンを走らせるかを具体化するには、彼らの存在が私には欠かせません。私のマシンで、彼らはサーキットでは完全なレーシングスピードで走らせます。

そのトップエンドの走りでしか見えないこともあります。装着パーツの性能評価も含め、そこで得られるアドバイスをあくまで自社ユーザーに正しくフィードバックする。もちろん競技車ではありませんから、街乗りを含めての話です」

そのためにヴァージョンアップコンプリートでは各部軽量化や高質化を行っているが、むしろ各部の組み方やセットアップ、作動や操作が高質という面に注目したい。各パーツの選択は、それがあってのことだ。

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「ブレンボレーシングのブレーキシステム、マルケジーニの鍛造ホイール、オーリンズショック。この3ブランドを使うのは、サーキットでも街乗りでも、いかなるシチュエーションにも対応できるから。セッティング幅も広いですし、安全に大きく寄与できる。街乗りの方がむしろ快適であるべきだし、的確なコントロールはレース同様に必要だから使いたい。レース用だから、ブランドだからでなく、そういうメリットがある重要パートの製品だからなんです。

一方で、オリジナルパーツは必要だから作ったもの。ステップはポジションもですが、たわみを抑えてダイレクトに踏んで、車両を曲げる。その強さがほしいからビレットに。トップブリッジやステムキットも、入力を正しくバイクに伝えたいから。先ほども言った通り、ノーマルで不足はありません。そこはメーカー(スズキ)も理解していて、多くの人やシチュエーションでの最大の妥協点を採ってノーマルをまとめているんです。

でも、より的確に入力したいとなればこうしたパーツは要る。アオキ・ファクトリー・コーチングでは、行きたい方向のハンドルを積極的に操作する教え方をします。セルフステアでなく、曲げる。そこに必要なんですね。そんな必要なものをお客さんに合わせてパッケージングし、セッティングして完成するわけです」

元々「GPマシンの高い性能を多くのライダーに味わってほしい」という観点から生まれたスズキのレーサーレプリカ。公道でもレスポンス良く走り、良く曲がり、しっかり止まるというその特性を、各ユーザーの走りや経験に応じてより的確にフィードバックさせ、かつ引き出す。このGSX-R1000Rコンプリートは、冒頭の稼働率、そしてシチュエーションという面からも、その大きな見本になっているのだ。

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スクリーンはマジカルレーシングのカーボントリム(綾織りカーボン製)付きに換装。ヘッドライトやウインカー類は純正そのままの仕様だ。

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超々ジュラルミンフルビレットのTG-RUNトップブリッジGSX-R1000/RはGPマシンタイプとして入力応答性を高め、ブレンボレーシングマスターは操作性を高める。ワイヤ式のクラッチには操作フィールがいいとしてゲイルスピード・クラッチホルダーをチョイス。

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カーボン製モノコックでホールド性を高めるタンクエンド(綾織りカーボン製)、アンダーカウル(綾織りカーボン製)ともどもマジカルレーシングの製品を使う。

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TG-RUNスポーツ&コンフォートシート(ツートーン)も内部フォームや表皮のセレクトによって、その名の通りコンフォート性も持たせ、かつライダーが安心して車両操作できる座り良さを持つ。

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ステップは6ポジションで、たわみを抑えてダイレクトに踏んで車両を曲げる強さがほしいという点から踏力をダイレクトに伝えられるTG-RUNライディングステップキットを使う。

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スズキ・ブロードパワーシステムを持つ水冷DOHC4バルブ999ccの直4エンジンやアルミツインチューブフレームはL7ノーマル。タンクサイドカバーをマジカルレーシング・カーボン(綾織りカーボン製)とし、ラジエーターコアガードを追加。電装も純正で十分とし、そのまま使った。

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フロントフォークはオーリンズのSBK用FGRでマジカルレーシング・綾織りカーボン製フロントフェンダーをセット。フロントブレーキはブレンボレーシングモノブロックキャリパー+サンスター・OMEGAディスクで、確実な制動力とより高いコントロール性を加える。

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リヤブレーキはブレンボ・ビレットキャリパー+サンスター・ワークスエキスパンドディスク。リヤショックにはオーリンズTTX GP2018を装着。

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スイングアームはL7ノーマルでリヤフェンダーとチェーンケースはマジカルレーシングの綾織りカーボン製。マグネシウム鍛造のホイールはマルケジーニM7Rの3.50-17/6.00-17サイズを履く。ドライブチェーンはRK・525XXWだ。

取材協力:テクニカルガレージRUN

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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