文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、森 浩輔
「スヴァルトピレン401」「ヴィットピレン401」インプレ(太田安治)
爽快に回る新エンジンと抜群の路面追従性
ハスクバーナ・モーターサイクルズはオートバイメーカーとして120年以上の歴史を持ち、現在はKTMグループに属している。車名のヴィットピレンは「白い矢」、スヴァルトピレンは「黒い矢」の意味。両車の違いはホイールとタイヤで、ヴィットピレンはキャストホイールにスポーツタイヤのミシュラン・パワー6、スヴァルトピレンはスポークホイールにオン/オフ対応のピレリ・スコーピオンラリーSTRが装着されている。
中回転域で鋭くレスポンスし、トップエンドまでストレスなく伸びるエンジン特性が生む快活な動力性能と、初期作動が良く、リバウンド側ストロークを多めに確保した前後サスペンションによる路面追従性/乗り心地の良さは両車ともに共通。高回転で伸び切る前にレブリミッターが効いてしまう、ストリートでの乗り心地が硬いといったネガ要素も解消されている。
特にヴィットピレンは前モデルの低くセットされたセパレートハンドルからアップタイプのバーハンドルに変更され、シート着座位置も下がったことで上体の前傾度が減り、ストリートライディングと長時間ライディングの快適性が劇的に向上した。ハンドル幅の広さによって切り返しが軽く、タイトコーナーの続く峠道でも自在に振り回せるから、モデルチェンジによってカフェレーサーからストリートファイターに変貌したといえる。
スヴァルトピレンはダート走行を意識したブロックパターンのタイヤを履いているが、ヴィットピレンとの違いは意外なほど少ない。ブロックパターン特有のゴロゴロとした感触が気にならないのは、タイヤ自体の性能と初期作動のいいサスペンションによるものだろう。中間バンク角以上での絶対グリップはスヴァルトピレンに劣るものの、滑り出しが穏やかだから怖さは感じない。もちろん市街地走行やツーリングでは何ら不満なしだ。
普通二輪免許で乗れる400ccクラスのモデルの人気が再燃している現在、この2台の存在価値は大きい。あえて分けるならスポーツ走行が楽しいヴィットピレン、ツーリングも得意なスヴァルトピレンとなるが、デザイン、カラーリングの好みで選んでも後悔はしないはずだ。
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