文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、森 浩輔
ハスクバーナ・モーターサイクルズ新型「スヴァルトピレン250」インプレ(太田安治)
個性的なスタイリングと小気味いい走りが光る!
スヴァルトピレンの401はスポークホイールにオン/オフ対応タイヤという組み合わせなのに対し、このスヴァルトピレン250はヴィットピレン401と同じタイプのキャストホイールにセミブロックパターンタイヤという組み合わせを採用していて「250はストリートユース最優先」というコンセプトがうかがえる。
一見すると401のスケールダウン版のように見えるが、エンジンは401シリーズが採用しているDOHCではなく、完全新設計のSOHC4バルブ。カムシャフトが1本になれば付随するシリンダーヘッド廻りの部品点数が減り、フリクションロスの低減と軽量化に貢献する。ピークパワーを絞り出すなら吸排気タイミングを緻密にコントロールできるDOHCが有利だが、開発陣は市街地で使う回転域ならSOHCのメリットが勝ると判断したのだろう。
SOHCとはいえ、31PSを9500回転で発生する高回転型エンジンだけに、気持ちよく回るのは5000回転以上。弾けるような排気サウンドと共に1万回転を超えてレブリミッターが介入するまで軽々と伸びる。
わかる人は少ないだろうが、排出ガス・騒音規制が現在より大幅に緩かった1980年代の250ccスポーツのような小気味いい特性で、標準装備のアップ/ダウン両対応イージーシフトとアシスト&スリッパークラッチを駆使しての高回転をキープした走りが文句なしに楽しい。それでいて5000回転以下でもエンジンが苦しげにギクシャク回る感触が出にくいのは、インジェクションをはじめとする最新電子制御の恩恵。エントリーユーザーでもスムーズに走れる懐の深さがある。
車体剛性が高い割に、ギャップ通過時に弾かれる量は思いのほか少ないのもポイントで、これはKTMの250デュークでも感じたことだが、WP製の前後サスによるところが大きい。フロントは調整機構なし、リアはプリロードのみというシンプルな構成ながら、初期作動の良さと前後150mmという充分なストローク量、リアのプログレッシブレートスプリング、さらに適度な捻れを許容するスイングアーム剛性が一体となって、高い衝撃吸収性と路面追従性を発揮している。
ただ、標準装着のMRF製タイヤはケース剛性が高いのか硬質なフィーリング。舗装路メインならツーリングタイヤかロード用のスポーツタイヤに換えることで、乗り心地とハンドリングの素直さも高まるだろう。
ライバルは日本車ならCB250Rやジクサー。輸入車ならKTMの250デューク、ベネリのレオンチーノ、BMWのG310Rあたり。日常の乗りやすさなら日本車、走りに対する主張の強さなら輸入車だが、スヴァルトピレンは北欧デザインによる個性的なルックスも魅力。ライディングウエアをお洒落にコーディネートできるライダーには最高の一台ではないだろうか。