手を入れたら進化するをべースに多くの手法を込める

アラゴスタサスペンションの日本扱い元でもあるガレージモトテック。そのリヤショックが装着された、前後17インチ仕様ですっとしたZX-10。モトテック・杉山さんが言うには、「アラゴスタ・モノショック開発のお手伝いをしてもらった車両です。オーナーの館林さんとは長年の付き合いがあるのですが、作業もガレージの装備もまさにプロ並みなんですよ」ということで、そのオーナー、ヒデズガレージ・館林さんに詳細を聞いた。

「この車両は私が20年ほど前に大型免許を取って、乗れるバイクを探している時に紹介されたものでした。入手して1カ月もしないうちにアクシデントに遭って、新しいのに換えてしまうよりはこれをいじっていこうと手を入れてきたんです。バイクはずっと好きで、ほかに持っているモンキーも自分でパーツを作ったり、何か付ける時にもちょっと加工してみたりしていて、まあ他と違うことがしたいんですね。このZX-10もその流れでいじってきたんですけど、バイクのカスタムが割と普通になった当時でも、ZX-10専用のパーツはない。ですからホイールは後継のZZR用が入るかな、スイングアームはどうかなと、部品を手に入れていきました。でもだいたいはそのままでは付かないので加工して付けています。その繰り返しで、今は外装とフレーム、クランクケース以外はほぼ換わっているという状態です」

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フロントまわり、ステムやフォークはZX-14Rになっていて、車高を合わせるためにトップブリッジをワンオフ製作。エンジンは作りの良さを見てJEピストンを選んでの1108cc仕様を元に、フルメニュー以上の内容を施す。

スイングアームは純正エキセントリックチェーンアジャスターだとチェーン調整した際に車高も変わるので通常タイプのチェーンプラーが使いたいZZR1200純正用を加工流用。ZX-10より4cm長く(同様の通常エンドを持つZX-12R用も候補に上ったが、こちらは8cm長くなってしまうためZZR1200を選択)、ホイールベースが伸びることで直進安定性が強くなり過ぎるかと思ったところ、実走ではよく曲がるようになって納得。冒頭のすっとした印象は、スイングアーム変更の副次的なメリットだった。

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リヤ200幅タイヤほか、多くの新しい、現代的な要素も取り込まれたこのZX-10。館林さんはこれからも手を入れて乗っていくつもりとも続けてくれる。なぜだろう。

「今はほしいバイクがないと言うか、例えば壊れて直すのなら、単に元に戻すだけでなく、進化させたいんです。今のバイクは直すと元と同じになるけど、それだけでは物足りない。ですから、引き続きこのZX-10でやっていくでしょう」

後のモデルのいい点や新しい時代のもの--アラゴスタショックもそのひとつと言っていいだろう--を採り入れる。旗艦でありながらそんな楽しみが残されている。かつてZX-10自身がZZR1100/ZX-11に進化したように、この車両ももっと新しくなっていく。そう思える1台なのだ。

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スクリーンをMRAスモークとしサイドカウル下側をカット、アンダーカウルを変更するがフロントカウルなど外装類は純正ベース。

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ステムはZX-14Rに換装しトップブリッジをワンオフしてアクティブ・ハンドルバーを装着、左右マスターはブレンボ・レーシング。メーターはスタックST700SRと同ST3000×2、アクティブ・デジタルモニタの組み合わせだ。

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シート前下にリチウムイオンバッテリーを横置きし、TGナカガワのHIR(ハイパーイグニッションリーダー)点火ユニットを並べる。

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ダブルタイプのシートは形状を変更。純正パターンをなぞったライムグリーンベースのフルペイントも新鮮に見える。

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1バルブ1ロッカー式のDOHC4バルブ直4エンジンはJEφ78mm鍛造ピストンによる1108cc仕様で、ヨシムラST-1カムやファリコンコンロッドを組み、クランクはダイナミックバランス。スリッパークラッチやビート製クロスミッション組み込み、オイルポンプ強化も行う。ここはショップに依頼しながら勉強したとも館林さん。スプロケットカバーはアグラス、ウォーターパイプも一新された。

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セミダウンドラフトヘッドに応じて純正CVKD36キャブレターに換えてダウンドラフト仕様のFCR-Dφ41mmを使う。

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フロントフォークはオーリンズ倒立のFGRT207で、ワンオフされたアッパーブラケット部で車体姿勢を調整する。フロントブレーキはブレンボGP4-RSキャリパー+サンスター・ワークスエキスパンドディスクの組み合わせ。

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リヤブレーキはブレンボCNC 2Pキャリパー+サンスターディスク。ホイールは純正3.50-17/4.50-18から3.50-17/6.00-17サイズに履き替え、タイヤはピレリ・ディアブロスーパーコルサSCの120/70ZR17・200/55ZR17サイズをセットする。

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リヤショックはアラゴスタ・モノショックPHASE2(フリーピストン内蔵サブタンク別体/リモートプルアジャスターダイヤル/3WAYアジャスター増備仕様)。モトテックがアラゴスタの2輪用モノショックを作る際にはこの車両でも実走テストなどが行われ、煮詰めを行った。

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スイングアームはZZR1200純正スイングアームを加工装着。ZX-10用から単体で4cm延長され、チェーンプラーも純正エキセントリック式から一般的なタイプになった。ドライブチェーンはRK・520XXWでこうしたロス低減パーツを使う点も現代的だ。

取材協力:ガレージモトテック

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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