文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝
BMW「M 1000 XR」インプレ(宮崎敬一郎)
並のSSをブチ抜く実力「M」はダテじゃない!
吟味されたスペシャルパーツをマッチングさせた、BMWが誇るハイグレードモデルの証「M」を冠するモンスタークロスオーバーがM1000XR。M1000R系の201PS直4エンジンを搭載し、前後サスはマルゾッキ製の電子制御。試乗車はホイールを始め、各部にカーボンパーツをふんだんに使い、軽く、頑丈にまとめあげられている。
電子制御ライディングアシスト機構をパッケージで一括制御するライディングモードはスタンダード設定だけでなく、選んだ後にパワーモード、トラコンやサスのモードを好みによって可変できるといったワガママし放題の機能も装備している。
こうした機能は「M」でなくとも「S」でも「R」でもBMWの上位モデルは標準装備しているが、このMの場合、それがずっと細かく、また簡単にセットアップできる。例えば、レスポンスのいい「レース」や「ダイナミック」モードのスロットル応答性を活かしたまま、しなやかでスムーズな乗り心地を実現する「ロード」モードの足まわりセッティングにする、ということも可能。
ちなみにこの「ロード」モードはスムーズで乗り心地がよく、セミアクティブサスの可変力で峠道でもかなりハイレベルにスポーツできる。試乗中は主にこのセッティングで走っていた。
峠道でもっとスポーティな機動を求めるなら「ダイナミック」や「レース」モードにしておけばいい。前後サスが締まってピッチングが減るだけでなく、前下がりの車体姿勢となって、旋回力の立ち上がりなどがダイレクトで強力になる。この時の旋回性は、機動力はさすがにSS並みとまではいかないものの、ツーリングスポーツの域を越えている。「M」の名前はダテじゃないということだ。
公道だけでなく、雨のもてぎでも試乗したが、フロントカウルのウィングは200km/hを少し切るくらいの速度レンジからハッキリ分かるレベルで前輪加重を増やし、優しいタッチでフロントの落ち着きが増す。
こういったクロスオーバーモデルの高速時の弱さは、背が高いことによって過大に受ける風圧でフロントが軽くなること。それに対する対策も万全なのだ。前後ブレーキはSS並みによく効く。これも魅力だ。
ただひとつ、ちょっと気になることがある。それは振動。120km/h・6速でのエンジン回転数は約5500回転。このモデルというか、この直4エンジンを積む「M」シリーズは5000~8000回転の間でハンドルにそこそこ気になる振動が出る。1万4000回転強まで回るエンジンだが、1万回転以上になるとステップまわりに強い振動も出て、そうしたハイペースで30分も乗るとジーンとくる。
M1000XRは、油断しているSSたちを一気にぶち抜いてしまうほどの実力を備えた怪物クロスオーバーだが、高性能でスパルタンな分、しわ寄せもあるということは覚えておいた方がいい。
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