文:バイカーズステーション編集部/写真:平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。
カワサキ「Z1R-II (KZ1000-D2)」特徴

Kawasaki Z1R-II
1979年
総排気量:1016cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
シート高:815mm
乾燥重量:250kg
走行性能が大幅に上がったが生産台数は激減した2代目
Z1-Rは1979年、2代目となるZ1R-IIに進化した。同年にモデルチェンジして登場したZ1000MkIIをベースとしながら、前輪を初代の18インチから19インチに大径化、4-1の排気系を4-2に変更。上下方向に厚くなった燃料タンクは13→20Lと容量を増やしている。
Z1000MkIIではエンジンの出力が上がったこともあり、ダウンチューブを補強するなどでフレームの剛性は格段に高まった。Z1R-IIではこのフレームに加えて50mmという専用のオフセットを設定、安定性の向上が図られる。
しかし航続距離が延びる代わりに初期型Z1-Rの美しいシルエットが失われたことにより、Z1R-IIは高い走行性能を確保しながらも人気はいまひとつ上がらなかった。1979年型としてZ1000-D2、1980年はZ1000-D3が販売され、D2は赤と黒をラインアップ、D3では黒のみ。生産数は2年間で3473台と、Z1-Rから激減している。
カワサキ「Z1R-II (KZ1000-D2)」各部装備・ディテール解説

カウルを外すと、メーターまわりの臓物がきれいに収納されているのがよくわかる。このあたりの凝った造りはZ1-Rとほぼ同じだが、ヘッドランプの固定方法を一部変更。ライトはシールドビームとハロゲン装着を併用している。ブレーキシステムはZ1-Rと共通で、レバーからワイヤーを伸ばし、ヘッドライトの左下に横置きされているマスターシリンダーを作動させる。

カウルを外すと、メーターまわりの臓物がきれいに収納されているのがよくわかる。このあたりの凝った造りはZ1-Rとほぼ同じだが、ヘッドランプの固定方法を一部変更。ライトはシールドビームとハロゲン装着を併用している。ブレーキシステムはZ1-Rと共通で、レバーからワイヤーを伸ばし、ヘッドライトの左下に横置きされているマスターシリンダーを作動させる。

車体は1978年6月から生産されたZ1000 MkII(Z1000-A3)を使用。Z1R-IIの生産開始は同年7月からで、1979年5月末までに165台、以降は黒のみが1980年6月までに3308台造られた。初代Z1-Rが1万7291台生産されたのと大きく異なる。
なおZ1R-IIの純正タイヤはフロント:3.25-19 (ダンロップF6)、リア:4.00-18(同K87)。撮影車両が履いているのはメッツラーME33レーザーの100/90-19と、同パーフェクトME99Aの120/90-18。

ステアリングヘッドから伸びるダウンチューブを、25cmほど二重管にして外から補強。この部分の外径は37mm弱で、補強のない部分はΦ31.8mm。Z1R-IIでは同時に、オフセットを60mmから50mmに変更して操縦安定性を高めた。
キャスター、オフセット、トレールの数値をD1(Z1-R)、A3(MkII)、D2/D3(Z1R-II)の3機種で整理してみると、キャスターは全車共通の26度、オフセットが60/60/50、トレールは85/87/101mmになる。

燃料計と電流計を速度/回転計の上部に備える4連メーターのデザインはそのままだが、1979年からアメリカで速度計のkm/h表示が義務づけられたため、mphと併記されるようになる。

Z1-Rと同様に、ウインカー自動キャンセル用の電磁メカニズムを備えているため、左側スイッチは下方に出っ張りがある。一方、ヘッドライトの常時点灯が導入されたため、アメリカ仕様の右側スイッチは退化したが、欧州仕様は従来と同様だ。

Z1-Rと同様に、ウインカー自動キャンセル用の電磁メカニズムを備えているため、左側スイッチは下方に出っ張りがある。一方、ヘッドライトの常時点灯が導入されたため、アメリカ仕様の右側スイッチは退化したが、欧州仕様は従来と同様だ。

Z900以降クラッチレバー基部の厚みが増し、ぐらつきを一掃。

容量を13→20Lとした燃料タンク。Z1-Rではリッドが右側にオフセットされていたが、Z1R-IIではセンターに配置する。

エンジンはZ1000 MkIIと同仕上げ、同仕様。ただし出力とトルクはZ1000MkIIより少し高く、94HP/8000rpm、9.2kgf・m/6500rpmを公称。Z1-R用を改良した4-2の排気系に、北米仕様では加速ポンプ付きのキャブを組み合わせている。

エンジンはZ1000 MkIIと同仕上げ、同仕様。ただし出力とトルクはZ1000MkIIより少し高く、94HP/8000rpm、9.2kgf・m/6500rpmを公称。Z1-R用を改良した4-2の排気系に、北米仕様では加速ポンプ付きのキャブを組み合わせている。

エンジンはZ1000 MkIIと同仕上げ、同仕様。ただし出力とトルクはZ1000MkIIより少し高く、94HP/8000rpm、9.2kgf・m/6500rpmを公称。Z1-R用を改良した4-2の排気系に、北米仕様では加速ポンプ付きのキャブを組み合わせている。

左側にもマフラー。アメリカ人好みの左右シンメトリーに。

フロントブレーキのキャリパーは、Z1000-A2からフロントフォーク後方に設置。ディスクは硬いステンレス鋼に穴を開けるコストを低減するため、穴効果の研究を進めた結果、不等ピッチが考案された。それ以外の数値に変化はなく、外径296mm、厚さは5mm。キャリパーが1ピストンの片押し式なのも同じだ。

リアキャリパーは2ピストン。ディスクはΦ290mm、6mm厚。

Z1R-IIのシートはタックロール。前方の両端を丸くして足着き性を向上させた。Z1-Rと同様、緊急時用のキックペダルが裏面に内蔵される。

テールカウルのデザインも変わらない。
カワサキ「Z1R-II (KZ1000-D2)」主なスペック
全長×全幅×全高 | 2218×805×1290mm |
ホイールベース | 1437mm |
最低地上高 | 125mm |
シート高 | 815mm |
乾燥重量 | 250kg |
エンジン形式 | 空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 1016cc |
ボア×ストローク | 70×66mm |
圧縮比 | 8.7 |
最高出力 | 94HP/8000rpm |
最大トルク | 9.2kg・m/6500rpm |
燃料供給方式 | VM28キャブレター |
燃料タンク容量 | 20L |
変速機形式 | 5速リターン |
キャスター角 | 26゜ |
トレール量 | 101mm |
ブレーキ形式(前・後) | Φ296mmダブルディスク・Φ290mmシングルディスク |
タイヤサイズ(前・後) | 3.25V-19・4.00H-18 |
文:バイカーズステーション編集部/写真:平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。