1089.9ccのエンジンにフューエルインジェクションシステム“dfi”を組み合わせたZ1100GP。流麗なハーフカウルをはじめ、エッジが効きつつも流れるようなデザインが特徴だ。
文:バイカーズステーション編集部/写真:平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。

カワサキ「GPz1100 (ZX1100-A1)」特徴

画像: Kawasaki GPz1100(ZX1100-A1) 1983年 総排気量:1089.9cc エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 シート高:800mm 乾燥重量:244kg

Kawasaki GPz1100(ZX1100-A1)
1983年

総排気量:1089.9cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
シート高:800mm
乾燥重量:244kg

シリーズ最終にして最強の空冷2バルブZ

1981年開催の第24回東京モーターショー。カワサキのブースに展示されていたのが、国内4メーカーで最後発となるターボチャージャー車、750ターボのプロトモデルだった。リベット留めのアルミ製ハーフカウルと、そこから流れるように燃料タンク、サイドカバー、テールカウルへとつながる斬新なスタイリングは、ジェット機をイメージしたもの。そして、この要素を初めて量産車で具現化したのが、1983年発売のGPz1100である。

開発コンセプトは“空冷2バルブの性能を限界まで引き出したフラッグシップ”で、4バルブの他メーカー製ライバルに引けをとらない120PSを発揮。もちろんZシリーズ最強だ。翌年には前述の750ターボや、新設計の水冷4バルブ並列4気筒を搭載するGPz900Rが登場したために、1985年を持ってGPz1100は静かに生産を終了。これにより、1972年秋に華々しくスタートした空冷2バルブZは終焉を迎えることとなった。

カワサキ「GPz1100 (ZX1100-A1)」スタイリング解説

画像: それまでの無骨なイメージから一転、流麗なフォルムを採用したGPz1100。このスタイリングはシリーズ化され、250ccモデルにまで拡大していく。サイドカバーの上端に並んでいる5個のグロメットは飛行機外板のリベットを模したものだ。 写真のファイアークラッカーレッドはA1~A3の全年式にあり、A1はそれ以外にポーラホワイトを設定。A2とA3にはギャラクシーシルバーに赤紺ラインを入れたタイプと、側面をノクターンブルーとした計4種類が存在。なお、A3はヨーロッパ向けのみだ。

それまでの無骨なイメージから一転、流麗なフォルムを採用したGPz1100。このスタイリングはシリーズ化され、250ccモデルにまで拡大していく。サイドカバーの上端に並んでいる5個のグロメットは飛行機外板のリベットを模したものだ。

写真のファイアークラッカーレッドはA1~A3の全年式にあり、A1はそれ以外にポーラホワイトを設定。A2とA3にはギャラクシーシルバーに赤紺ラインを入れたタイプと、側面をノクターンブルーとした計4種類が存在。なお、A3はヨーロッパ向けのみだ。

画像: GPz1100は、1983年登場の初期型A1、1984年の2型A2、1985年の3型A3がある。A2ではフレームのヘッドパイプを下方に延長して剛性を高め、カウリングや燃料タンクの肉厚を増やし、フロントカウルの内側にインナーカウルを追加するなどの改良を実施した。この年、次世代の旗艦であるGPz900Rが発売されたが、GPz1100は翌年のA3まで生産が続けられた。

GPz1100は、1983年登場の初期型A1、1984年の2型A2、1985年の3型A3がある。A2ではフレームのヘッドパイプを下方に延長して剛性を高め、カウリングや燃料タンクの肉厚を増やし、フロントカウルの内側にインナーカウルを追加するなどの改良を実施した。この年、次世代の旗艦であるGPz900Rが発売されたが、GPz1100は翌年のA3まで生産が続けられた。

画像: GPz1100がそれまでのZシリーズと大きく異なるのがシャシーだ。フレームはダブルクレードルという形式こそ従来と同様だが、パイプワークすべてを改めた完全新設計となっている。 さらに前後サスも、フロントフォークにアンチノーズダイブ機構を組み込んだり、リアにはユニトラックと呼ばれるボトムリンク式モノショックを新採用するなど、耐久レーサーKR1000で培われたノウハウが積極的に盛り込まれた。これらは次世代のフラッグシップ、GPz900Rにも採用された。

GPz1100がそれまでのZシリーズと大きく異なるのがシャシーだ。フレームはダブルクレードルという形式こそ従来と同様だが、パイプワークすべてを改めた完全新設計となっている。

さらに前後サスも、フロントフォークにアンチノーズダイブ機構を組み込んだり、リアにはユニトラックと呼ばれるボトムリンク式モノショックを新採用するなど、耐久レーサーKR1000で培われたノウハウが積極的に盛り込まれた。これらは次世代のフラッグシップ、GPz900Rにも採用された。

カワサキ「GPz1100 (ZX1100-A1)」各部装備・ディテール解説

画像: バックミラーの鏡面デザインはZ1000RやZ1100GPらと共通だが、ハンドルではなくカウルマウントとされる。カウリングは1984年型のA2から肉厚が増し、合わせてインナーカウルが追加された(そのための黒いビスがフロントカウル外側に見える)。

バックミラーの鏡面デザインはZ1000RやZ1100GPらと共通だが、ハンドルではなくカウルマウントとされる。カウリングは1984年型のA2から肉厚が増し、合わせてインナーカウルが追加された(そのための黒いビスがフロントカウル外側に見える)。

画像: メーターはハンドルマウントとされる。260km/h(160mph)表示の速度計を左側に配置。やや小径な回転計は9500rpm以上をレッドゾーンとし、中央にあるボタンを押すと電圧を表示する。ハイビームやウィンカー、ニュートラルなどのランプはトップブリッジの上に集約。その中央にキーシリンダーを置く。

メーターはハンドルマウントとされる。260km/h(160mph)表示の速度計を左側に配置。やや小径な回転計は9500rpm以上をレッドゾーンとし、中央にあるボタンを押すと電圧を表示する。ハイビームやウィンカー、ニュートラルなどのランプはトップブリッジの上に集約。その中央にキーシリンダーを置く。

画像: 燃料タンク上面に、バーグラフ式の燃料計をはじめ、サイドスタンド、オイル、電圧、燃料噴射の各警告灯を表示するマイコン制御の液晶パネルを設置。燃料タンクはA2で肉厚が増加。

燃料タンク上面に、バーグラフ式の燃料計をはじめ、サイドスタンド、オイル、電圧、燃料噴射の各警告灯を表示するマイコン制御の液晶パネルを設置。燃料タンクはA2で肉厚が増加。

画像: エンジンは、72.5×66mm(1089.9cc)のボア×ストロークなどZ1100GPと共通だが、GPz1100ではZ1000-S1で開発された多くのメカニズムが惜しげもなく採用された。

エンジンは、72.5×66mm(1089.9cc)のボア×ストロークなどZ1100GPと共通だが、GPz1100ではZ1000-S1で開発された多くのメカニズムが惜しげもなく採用された。

画像: 多球形の燃焼室やインナーシム化されたバルブリフター、ミッションのシフトドッグのアンダーカットなどがそうで、クランクやコンロッド、ピストン、シリンダーヘッドも完全な別物だ。車体も含め、モデル末期の空冷2バルブZにこれだけの手を加えたことからも、開発陣の思い入れが伝わってくるだろう。

多球形の燃焼室やインナーシム化されたバルブリフター、ミッションのシフトドッグのアンダーカットなどがそうで、クランクやコンロッド、ピストン、シリンダーヘッドも完全な別物だ。車体も含め、モデル末期の空冷2バルブZにこれだけの手を加えたことからも、開発陣の思い入れが伝わってくるだろう。

画像: KYB製のΦ37mm正立式フロントフォークは、加圧エアによるプログレッシブ効果を応用した設計で、イコライザーチューブによって左右の空気圧が均等に保たれる。 さらに、減速時における車体姿勢の変化を抑えるアンチダイブ機構を導入。ブレーキ作動時の油圧でフォーク内部の流路を閉じる仕組みで、ギャップ通過など突き上げに対しては流路を開いてショックを吸収する。この機構は下端のダイアルによってアジャスト可能だ。

KYB製のΦ37mm正立式フロントフォークは、加圧エアによるプログレッシブ効果を応用した設計で、イコライザーチューブによって左右の空気圧が均等に保たれる。

さらに、減速時における車体姿勢の変化を抑えるアンチダイブ機構を導入。ブレーキ作動時の油圧でフォーク内部の流路を閉じる仕組みで、ギャップ通過など突き上げに対しては流路を開いてショックを吸収する。この機構は下端のダイアルによってアジャスト可能だ。

画像: フロントΦ280mm、リアΦ270mmのソリッドディスクは新デザインに。キャリパーは前後とも片押し式シングルピストンだ。

フロントΦ280mm、リアΦ270mmのソリッドディスクは新デザインに。キャリパーは前後とも片押し式シングルピストンだ。

画像: シート高は800mmを公称。サイドカバーとの側面のつながりをスムーズにするなど足着き性に配慮している。仕向け地によりシートベルトを装着。シートはキーロックにて取り外し可。

シート高は800mmを公称。サイドカバーとの側面のつながりをスムーズにするなど足着き性に配慮している。仕向け地によりシートベルトを装着。シートはキーロックにて取り外し可。

画像: グラブバーのほかに、テールカウルのデザインと一体化させたグリップを左右に設けており、センタースタンドがかけやすく、荷物を積載しやすいなど使い勝手は優秀。 また、キーシリンダー付きのヘルメットホルダーを左右に設けている点も非常に親切といえるだろう。GPシリーズに共通する角型のテールランプは、外側がスモーク、内側がレッドの二重構造とされる。

グラブバーのほかに、テールカウルのデザインと一体化させたグリップを左右に設けており、センタースタンドがかけやすく、荷物を積載しやすいなど使い勝手は優秀。

また、キーシリンダー付きのヘルメットホルダーを左右に設けている点も非常に親切といえるだろう。GPシリーズに共通する角型のテールランプは、外側がスモーク、内側がレッドの二重構造とされる。

カワサキ「GPz1100 (ZX1100-A1)」主なスペック

全長×全幅×全高2320×740×1275mm
ホイールベース1565mm
最低地上高140mm
シート高800mm
乾燥重量244kg
エンジン形式空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
総排気量1089.9cc
ボア×ストローク72.5×66mm
圧縮比9.5
最高出力120PS/8750rpm
最大トルク10.2kg-m/8000rpm
燃料供給方式dfi
燃料タンク容量20.4L
変速機形式5速リターン
キャスター角27.5゜
トレール量116mm
ブレーキ形式(前・後)Φ280mmダブルディスク・Φ270mmシングルディスク
タイヤサイズ(前・後)110/90V18・130/90V17

文:バイカーズステーション編集部/写真:平野輝幸
※この記事はモーターマガジンムック『空冷Z伝 完全版』に掲載した記事を一部編集し転載しています。

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