文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ロイヤルエンフィールド「ショットガン650」インプレ(宮崎敬一郎)
穏やかなのにコーナーも愉しめる絶妙な仕上がり
フレームの基本レイアウトやエンジンは昨年ラインナップに加わったクルーザーのスーパーメテオ650がベース。エンジンにいたっては全くの共通……。今回試乗したこの「ショットガン650」は、いわゆる兄弟モデルだ。でも、単なるメテオのバリエーションモデルなどではない。深いリアフェンダー辺りにクルーザーの面影が残っているものの、残り香はせいぜいそんな程度だ。
試乗車はシングルシート仕様だったので、なおのことリアフェンダーの深さが目立つが、それをカバーするリアのサブフレームとタンデムシートがデフォルトで装備されており、プライスもこれらのパーツ付きの価格だ。そして、これが付くと雰囲気は激変する。まるで70年くらい昔の、英国製ビンテージバイクのような姿になるのだ。
ある意味ロイヤルエンフィールドらしく、なかなか趣があって結構気に入っている。このショットガンの走りっぷりには感心した。まず、そのハンドリングだ。それはこの姿からイメージするよりずっと現代的で、まとまりのいい素直な応答が魅力。
乗り心地がいいし、しっとりした安定感もある。のんびり走るには最高だが、どんなワガママな走り方にも順応できるところがスゴい。もちろん、スポーツネイキッドみたいにキレのいいフットワークなどはしないが、大きさや長さがそれなりに反抗するものの、元気よく走ろうと頑張る。とにかく従順なのだ。
節度が強すぎたり、無駄に柔軟なところはない。重心の低さが生んでいるであろう、手応えとしての身軽さもあるから扱いやすい。扱いやすいだけでなくて、扱っていることそのものが愉しい。
不思議だ…。速い遅いとか、パワフルとか、そんな割り切れる表現でアピールできることは何ひとつない。でも、トルキーなバイクらしく、意のままになる力強いダッシュができ、穏やかにクルーズすることもできる。十分に元気なミドルツインなのだ。
ショットガンには、かつての古い英国車が自然に発していた感触があるように思える。分析したり、スペックの数字で比べたりすることのできない魅力を、たぶん、作り込んだ人たちが解っていて注入している。専用マフラーからの音、270度クランクが揺らす心地よいパルスと吹け、それに現代の素直なハンドリング…。穏やかさと荒々しさなどの絶妙なブレンドなのだ。
味わい深いルックスもそうだが、走ってみて感じる愉しさはこのバイクの最大の個性と言っていいだろう。ドコにその魅力があるのか? と思うライダーにはきっとマッチしない。だが、のんびりと峠道や田舎道のロングランを愉しみたいライダーには遊ぶ要素が山盛り…というか、楽しい要素がにじみ出てくる。ある意味、味の濃いスタンタードなロードスポーツだ。
ロイヤルエンフィールド「ショットガン650」カラーバリエーション
【アンケート】あなたはどのカラーが好きですか?
お好きなカラーをポチっとお選びください。投票後、集計結果をご覧いただけます。
ご投票ありがとうございました。