文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ハーレーダビッドソン「ローライダーS」インプレ(宮崎敬一郎)
日本の峠も楽しめる使い勝手の良さが光る
ソフテイルの血統をベースに持つローライダーSはクルーザーファミリーの定番モデルだ。今回試乗した2024年モデルも117キュービックインチ (1923cc)の「ミルウォーキー・エイト」エンジンを変わらず搭載している。フレームのレイアウトもこれまで通り車体の下側にショックを配したソフテイル系。タンクエンドからリアアクスルにかけてのストレートなフレームラインが美しい車体構成を踏襲している。
そのまま乗るにしろ、ここからカスタムするにしろ、このサイズと出で立ちは紛れもなく伝統的なハーレーのものだ。まず、魅力のひとつは、この内容を考えれば、ハーレーにしては抑え気味のプライスであること。
もうひとつの魅力は、すばらしい動力性能と素直なハンドリングに支えられたオールマイティな走りを持っていること。もちろん質量のあるクルーザーであることに変わりはないが、峠道ではゴロリとした手応えながら、従順に応えて自在にコーナリングする。
許容リーンアングルもクルーザーにしては深めで、もし接地してもマフラーやエンジンをいきなり擦るようなことにははならない。かつてのスポーツスター系より格段に普通のバイクになっている。
これも現行モデルの特色のひとつで、この扱いやすさこそがローライダーの、日本の道における扱いやすさの源と言ってもいい。
エンジンは巨大だが、その制御はこのクラスの全てのクルーザーエンジンの中でも群を抜いて丁寧だ。これもローライダーの光るパートになる。
まず極低回転域からモタつくことなく、滑らかにレスポンスできる。良く粘り、1500rpmも回っていれば街中の流れをリードでき、ミドルクラスのバイクにも負けない勢いでダッシュもする。3速だとだいたい40km/h。4速だと50km/hといったところだ。これは素晴らしい。
2500~3000rpmも回っていれば、ここに激しさが加わる。いきなりアクセルを大きく開けても同様に優しく応答するものの、その瞬発力には大きなハンマーでぶん殴られたようなパンチ力が加わるのだ。リッタークラスのスーパーバイクを相手に、ギアホールドダッシュ後、20mくらいはもて遊ぶことができる勢いだ。
ちなみに100km/hは6速で約2400回転。120km/hでも約2900回転。推し量ったように猛烈なトルクを秘めた回転域になる。ストレスの少ないご機嫌なクルージングができるわけだ。
舗装の剥げなどのない普通のギャップなら滑らかに吸収できる足回りがあり、この回転域ならビッグVツインならではのパルスもある。のんびりと愉しみながら走るにはいい演出だ。それでいて、日本で当たり前の峠道も普通に楽しめる。使い勝手のいい本格的なスポーツクルーザーなのだ。
ハーレーダビッドソン「ローライダーS」カラーバリエーション
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