Vストローム1050の弟分といえる800&800DEは、その兄貴分とは別の立ち位置にいる、言わば日本向けのアドベンチャー&ツーリングモデルだ。ロードスポーツGSX-8SGSX-8Rとの兄弟モデルでもあるミドルツアラーでもあり、市街地走行から長距離ランまで難なくこなすオールマイティさが光る。大排気量アドベンチャーモデルは初めて、というライダーからエキスパートまで、誰にでも薦められるツーリングには絶好の一台なのだ。
文:中村浩史/写真:柴田直行

スズキ「Vストローム 800」インプレ(中村浩史)

画像: SUZUKI V-STROM 800 総排気量:775cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:825mm 車両重量:223kg 発売日:2023年10月25日 税込価格:123万2000円

SUZUKI
V-STROM 800 

総排気量:775cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:825mm
車両重量:223kg

発売日:2023年10月25日
税込価格:123万2000円

アドベンチャー的ルックスでストリートランも苦にしない

同じスズキのロードスポーツモデル、GSX-8S/8Rと同時開発された、軽量コンパクトなミドルクラスツアラーがVストローム800だ。兄貴分のVストローム1050/1050DEと同様に、800が前19/後17インチのキャストホイール、800DEが前21/後17インチのワイヤースポークホイールを採用する。両車を比べれば、やはり800DEの方がオフロード適性は高い。試乗したのは、中でもツーリング向けといえる800だ。

まずエンジンは、スズキがこの先10年、20年は熟成を続けていきたい、という新設計の水冷並列ツイン。GSX-8S/8Rと同じエンジンを搭載する。車体までを共通化したモジュールモデルで、基本骨格は同じだ。ただし、ファイナルレシオがショートに設定されて、ライディングポジションが大きく違うことから、まったく違うモデルに仕上がっている。

そしてこの新世代並列ツインはとにかく評価が高い。スロットルレスポンスが鋭く、低回転からスムーズにトルクが出て、高回転側ではさらにパワーが出てくるキャラクター。のんびり走るには振動なく快適で、スポーティに走ろうとすれば、800ccとは思えないパワーが湧き出してくる。

常用回転域は3000回転も回っていれば十分で、キビキビ走りたい時には、5500回転あたりからもう一段、パワーが上乗せされる印象だ。回転域ごとのパワーの盛り上がりがきちんと感じられる、エキサイティングなキャラクターに仕上げてあるのが特長だ。

画像1: スズキ「Vストローム 800」インプレ(中村浩史)

アドベンチャー的なルックスとはいえ、このエンジンキャラクターはシティランもイージーにし、車体のコンパクトさが生きる、小さくクルクルと、扱いやすいスポーツバイクと言えるだろう。

この点が、兄貴分のVストローム1050/1050DEと大きく違うポイントで、兄貴分が活動レンジをハイスピードや超長距離にフォーカスしているのに対し、渋滞路でも苦もなく扱えるのが800/800DEのサイズや重量、そしてシート高というわけだ。

とはいえ、ハイスピードのクルージングもきちんと快適にこなすのが新世代モデルらしいところで、いざ高速道路に乗り入れて、トップギア120km/hでは約5400回転。このすぐ上からはパワーが湧き出てくる回転域となるから、スピードコントロールがイージーなのも、800/800DEの秀でた魅力になっている。

クルージング時のハンドリングは、直進安定性を担保しながら軽快さも持ち合わせたタイプで、これぞミドルクラスならでは。一日に500km以上走るなら1050、一日300kmぐらいというなら800、という役割分担ができている印象で、ロングセラーの1050がカバーする領域を、新世代の800がさらに広範囲に包み込んでいる印象だ。

画像2: スズキ「Vストローム 800」インプレ(中村浩史)

そしてVストローム800は、新世代のツーリングスポーツらしく電子制御スロットルを採用し、加えてスズキ独自の電子制御システムSIRSを搭載している。これは出力特性を3段階に選択できるドライブモードセレクター、トラクションコントロール、シフトUP+DOWN両方向のクイックシフト、そして2段階のABS制御などが主な機能。冒頭に書いた、よりオフロード適性の高い800DEでは、リアタイヤのみABSを解除できるようになっている。

全方位にわたって、これといったウィークポイントが見つけられないほど完成度が高いVストローム800。アドベンチャー&ツーリング的ルックスでありながら、ストリートランも快適にカバーする利便性、そして足着きを含む捌きの良さはリッタークラス以上のアドベンチャーモデルにはない強み。欲を言えば、Vストローム1050に採用されたクルーズコントロールが欲しくなる。Vストローム800は、それほど長距離ランも快適なのだ。

スズキ「Vストローム 800」カラーバリエーション

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  • 画像1: 【レビュー】スズキ「Vストローム800」インプレ|Vストローム1050と役割分担! 軽くコンパクトで扱いやすい日本向けロングツアラー
    パールビガーブルー
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    マットスティールグリーンメタリック
  • 画像3: 【レビュー】スズキ「Vストローム800」インプレ|Vストローム1050と役割分担! 軽くコンパクトで扱いやすい日本向けロングツアラー
    グラススパークルブラック
  • 画像4: 【レビュー】スズキ「Vストローム800」インプレ|Vストローム1050と役割分担! 軽くコンパクトで扱いやすい日本向けロングツアラー
    パールビガーブルー
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    142
  • 画像5: 【レビュー】スズキ「Vストローム800」インプレ|Vストローム1050と役割分担! 軽くコンパクトで扱いやすい日本向けロングツアラー
    マットスティールグリーンメタリック
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    グラススパークルブラック
    14
    64

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