文:中村友彦
ロイヤルエンフィールド「ヒマラヤ(450)」インプレ(中村友彦)
林道ツーリング好き目線で、絶妙な車格や悪路走破性に感心
少し前に同業者と二輪談義をしていたら、「2024年型でガラッと変わったけどさ、ロイヤルエンフィールドのヒマラヤって、排気量が中途半端で、狙いが分からないよね」という意見が出てきた。その言葉を聞いた筆者は即座に「いやいや!」と返答したものだ。
と言うのも、数年前から林道ツーリングにハマッている身としては、ヒマラヤは唯一無二にして理想的な資質を備えた、貴重なマシンと認識しているからだ。
ヒマラヤの魅力を挙げれば、単気筒エンジンならではの車体の動きの軽さが存分に味わえる一方で、単気筒特有のネガをほとんど感じないこと、アドベンチャーツアラーにしては車格が大きすぎないこと(ひとりで未知の林道に突入できるギリギリのサイズと考える)、エンジンもシャシーもアグレッシブなライディングを強要しないので、マッタリ走行が楽しめることなど。
さらに言うなら、250cc以下の公道用単気筒では実現できない太いトルク、悪路に強い21インチのフロントタイヤ、豊富な前後サスストローク、自由度が高くてリラックスできるライディングポジションも、ヒマラヤの美点だろう。そしてそういった要素をすべて満たすバイクは、残念ながら現行モデルでは他に存在しないのだ。
もっとも、海外では2017年、日本では翌2018年から販売が始まった初代の時点で、ヒマラヤは前述の要件をクリアしていた。ただしそのキャラクターは、どことなくクラシック志向? と思えるところがあって、エンジンパワーや車体剛性に物足りない意見を述べるライダーも少なからず存在したらしい。その問題を見事に解消してみせたのが、2024年から発売が始まった二代目なのである。
その二代目ヒマラヤで最も注目するべき要素は、空冷SOHC2バルブ411ccから水冷DOHC4バルブ452ccへと大幅に刷新されたエンジンと、24PS・32N・mから40PS・40N・mに向上した最高出力と、その最大トルクだろう。
ツインチューブタイプのフレームやテーパー形状のスイングアーム、倒立式フロントフォーク、リンクを下部から上部に移設したリアサスペンション、電子制御式スロットル、モード切り替え機構、TFTメーターなども、初代とは一線を画する新規開発である。
そんなスペックはさておき、ここからはフルモデルチェンジを受けた二代目が、どんな走りを実現したのかを見ていこう。まず、エンジンは格段に力強くなり、車体は明らかにカッチリ感が増しているので、その気になればあらゆる場面で初代を置き去りにできそうだ。
中でも感心させられたのは、ワインディングロードにおける予想以上の速さなのだが、悪路で認識した抜群のトラクションと安定感、そして高速道路での巡航性能の向上にも(初代の巡航速度は100km/h前後が上限だったが、二代目は120km/hが余裕で、条件的に許されるなら130〜140km/hで巡航できる)、目を見張るものがあった。
言ってみれば二代目ヒマラヤは、初代が備えていた旧車的な雰囲気を捨て去り、現代的な動力性能や快適性を獲得しているのだ。それでも冒頭で紹介した同業者のように、ヒマラヤの特性がピンと来ない人はいると思う。
でも最近になって林道ツーリングにはまった筆者に、二代目の特性はドンピシャで、「初代も好感触だったけれど、現代的な速さを身につけたけた二代目なら、行動範囲が大幅に広がるだろう」という印象を抱いた。
そんな二代目ヒマラヤにあえて苦言を述べるなら、40〜60km/hのマッタリ走行が心地良かった初代と比較すると、気持ちいい速度域が10〜20km/hほど上がったことだろうか。まあでも、日本より速度レンジが高い海外マーケット、中でも欧州の状況を考えると、二代目の特性は大正解なのだと思う。
ロイヤルエンフィールド「ヒマラヤ(450)」カラーバリエーション
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