バイクに付属する取扱説明書には必ずポジションの調整方法が明記してあるが、実際に行っている人は少ない。ポジションの合わないバイクは疲れやすくなるし、なにより上手くライディングできないもの。だから調整が必要だ!
文:丸山淳大/モデル:mii/写真:関野 温
※この記事は、月刊『オートバイ』2024年10月号に掲載したものを一部編集して公開しています。

バーハンドル

画像: バーハンドル

バーハンドルは位置調整の幅が大きいが、やりすぎるとスクリーンやタンクに接触する

純正セパレートハンドルはほぼ調整不可だが、バーハンドル車ならある程度の調整が可能だ。

ハンドルクランプを緩めてハンドルを手前に倒せば近くて低くなるし、奥に倒せば遠く高くなる。ただし、手前すぎればハンドルを切ったときにタンクとスイッチボックスが干渉することもあるし、奥に倒しすぎればグリップ部分に角度が付いて鬼ハン状態になってしまう。

ケーブル類の余裕も確認しつつ、過度な変更は危険なので気をつけたい。


【作業のながれ】

画像: まずはハンドルクランプをよく観察。上側に向けて矢印があったり、上ボルト付近に目印がある場合は、緩めるときは下ボルトから。締めるときは上ボルトからという手順になる。

まずはハンドルクランプをよく観察。上側に向けて矢印があったり、上ボルト付近に目印がある場合は、緩めるときは下ボルトから。締めるときは上ボルトからという手順になる。

画像: 多くの機種はクランプの上下が不均等になっており、長いほうの上側を先に着座させ、次に下側を締めることで滑りやすい丸パイプのハンドルを確実に固定する構造となっている。

多くの機種はクランプの上下が不均等になっており、長いほうの上側を先に着座させ、次に下側を締めることで滑りやすい丸パイプのハンドルを確実に固定する構造となっている。

画像: ハンドルの角度を変更したら必ずレバーの角度の調整が必要になる。写真の状態は手首に角度がついてしまっているので、操作性が悪く、手が疲れやすくなってしまう。

ハンドルの角度を変更したら必ずレバーの角度の調整が必要になる。写真の状態は手首に角度がついてしまっているので、操作性が悪く、手が疲れやすくなってしまう。

画像: レバーの角度を下に向けると、手首が真っすぐになった。これが理想的な角度だ。ハンドル位置はノーマルだったとしてもレバー角度だけ調整が必要なこともある。

レバーの角度を下に向けると、手首が真っすぐになった。これが理想的な角度だ。ハンドル位置はノーマルだったとしてもレバー角度だけ調整が必要なこともある。

画像: レバーの角度はレバーホルダーを緩めて行う。ハンドルクランプと同じように上側に目印が付いている場合、緩めるときは下側から。締めるときは上側からとなる。

レバーの角度はレバーホルダーを緩めて行う。ハンドルクランプと同じように上側に目印が付いている場合、緩めるときは下側から。締めるときは上側からとなる。

画像: レバーホルダーのクランプの合わせ面に目印のポンチマークが打ってあることも多い。そこが基準位置となり、転倒などでズレた場合に復元に便利だし、角度変更時の目安にもなる。

レバーホルダーのクランプの合わせ面に目印のポンチマークが打ってあることも多い。そこが基準位置となり、転倒などでズレた場合に復元に便利だし、角度変更時の目安にもなる。

調節したハンドルの位置

画像: (左)一番下げた状態、(右)一番上げた状態

(左)一番下げた状態、(右)一番上げた状態

miiちゃんの場合、ハンドルを手前にした方が安心感は高いようだ。ただし、写真のように限界まで近づけるとハンドルフルロックのUターン時にタンクとの隙間に手を挟みそう。

身長180cmのマルの場合、ハンドルは上げたいが、写真までいくとグリップに角度が付きすぎて操作に違和感あり。最終的にはハンドル交換で理想のポジションを得ることもできる。

\マルのおすすめ/
水が溜まりやすいハンドルクランプはキャップで防御

画像3: バイクのライディングポジションを最適化! レバーやペダル、リアショックのプリロード調節方法を紹介【新橋モーター商会】

ハンドルクランプにヘックスボルトが使われている場合、六角孔の部分に水が溜まって錆びがちだ。

ハンドルクランプはライディング時に常に目に入る部分なので、ドレスアップのキャップをしておくことをオススメしたい(純正でキャップされていることも多い)。

キャップは外すときに割れてしまうこともよくあるので、デイトナの12個入りを工具箱にストックしておくと良いぞ!

画像: デイトナ ドレスアップボルトキャップ  (レンチ対応6mm用)M8(12個入り) 品番:22360/税込価格:660円

デイトナ ドレスアップボルトキャップ
(レンチ対応6mm用)M8(12個入り)
品番:22360/税込価格:660円

リアショックのプリロード

画像: リアショックのプリロード

足つき性は劇的に改善したがやりすぎると走行性能に影響する

プリロードとは、あらかじめスプリングに負荷をかけておくこと。プリロードを強めればスプリングの柔らかい部分が先に縮むので、硬い部分を使うことになる。逆に弱めれば、スプリングの柔らかい部分も使えることになる。

ショックユニットの全長は変わらないので、プリロードを弱めればやや車高が下がる副次的な効果を見込むことができるのだ。ただし、プリロード=車高調ではないので、車高に変化があるかどうかは車種により異なる。


【作業のながれ】

画像: Vストローム250の場合、フロントは調整機構無し。リアはシートを外して車載工具に含まれる工具で調整を行う。調整は7段階で、ショックユニットの横に目盛りがある。

Vストローム250の場合、フロントは調整機構無し。リアはシートを外して車載工具に含まれる工具で調整を行う。調整は7段階で、ショックユニットの横に目盛りがある。

画像: 調整には車載工具に含まれるフックレンチを使用する。

調整には車載工具に含まれるフックレンチを使用する。

画像: アジャスターはかなり硬いので手袋をしたほうが良いかも。リモートダイヤル式より手間はかかるが、アジャスターが上にあるので、地面に寝転がって調整せずに済む点は親切だ。このバイクは大荷物を積んでツーリングすることが想定されるためか、プリロードの幅が大きいように感じた。

アジャスターはかなり硬いので手袋をしたほうが良いかも。リモートダイヤル式より手間はかかるが、アジャスターが上にあるので、地面に寝転がって調整せずに済む点は親切だ。このバイクは大荷物を積んでツーリングすることが想定されるためか、プリロードの幅が大きいように感じた。

画像: プリロードだけでなく、ハンドル位置など調整した後は最後にミラーの調整を欠かさないようにしたい。意外と見え方が変わっているものなので、忘れずに行うようにする。

プリロードだけでなく、ハンドル位置など調整した後は最後にミラーの調整を欠かさないようにしたい。意外と見え方が変わっているものなので、忘れずに行うようにする。

プリロード調節前後の足つき

画像: 標準設定

標準設定

画像: プリロード「1」

プリロード「1」

身長161cmのmiiちゃんの場合、標準設定だと片方のつま先が着くレベル。平地ならまだ良いが、傾斜地だと不安に感じるはず。シートやサスでローダウンしたいところ。

プリロードを全抜き(目盛りを「1」)してみると両足のつま先が楽に着くようになった。miiちゃんの場合、タンデムや重い荷物の積載が無い限りプリロードは「1」が最良だろう。


プリロード調節による車高の変化

画像: 一番下げた状態

一番下げた状態

画像: 標準値

標準値

画像: 一番上げた状態

一番上げた状態

プリロード調整によって車高がどのように変化するか、miiちゃんが乗車した状態で計測してみた。プリロード全抜き「1」は地面からサイドケースのステーまでで82.5cmだった。標準設定のプリロード「3」になると地面からサイドケースのステーまで84cmくらい。プリロード最弱時と比べて約1.5cmの差がある。これはつま先が着くか否かの差になるわけだ。

プリロードを最強にすると地面からサイドケースのステーまで85cm位になる。最弱時と最強時の差は2.5cmもあった。ただ、プリロードは車高調ではないので、本来は走って決めるものだ。

店主 マルの結びの一言

画像: ライポジを調整したら250ccでも乗れそ〜!

ライポジを調整したら250ccでも乗れそ〜!

奥深きライディングポジションを探求しよう!

以前、パーツメーカーの方に伺った話では、小柄体型の人は最適な位置でニーグリップができていないことが多く、それがライディングの苦手意識につながっていることもあるそうだ。だから、ステップ位置を上げることもポジション調整として有効なのである。

それだけ奥深いライディングポジションだが、まずはカスタムせずに元々の調整機構を活用して最適なポイントを探していただきたい。ちなみにマルはバイクより、家庭内ポジションが悪いし、もはや調整不可で泣いてるぞ!

文:丸山淳大/モデル:mii/写真:関野 温

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