何も悩むことなくバッグを積めるリアシートまわり
2024年4月に販売開始された新たなクロスオーバーモデル「NX400」。400Xの後継機種として、モデルチェンジを機に名称も変更してデビューしました。
シートは一体型タイプ。ライダー側とパッセンジャー側とがしっかり別れているので、荷物も積みやすくなっています。リアシートまわりのつくりは400Xと共通なので、ここで紹介する積載方法はそのまま400Xでも使えるはずです。
まずはシートバッグの取り付けベルトを車体に固定します。
前側はタンデムステップのステーが強度・角度ともにぴったりだったので、ここがおすすめ。タンデムステップの内側にある備わっているガードも肉抜きされているので、利用することはできます。
後ろ側はグラブバーの後部に固定。NX400や400Xはグラブバーが前後でボディと繋がっているオーソドックスなタイプ。これが、ありがたい。後期型のCB400SF/SBなどグラブバーが前側のみで固定されている場合、難儀します。
ベルトが固定できれば、あとはバッグを乗せてバックルを留めるだけ。もっともシンプルな方法で、何も悩むことなく積載できました。
取り付けベルトの設置位置がもっと後方にできたなら、もっと余裕をもってフルにリアシートを活用できるのですが、まあ仕方ありません。それでも最大級のシートバッグを積むことができます。
後ろをがっちり固定できたら、前側のベルトは適度な力で固定します。全力で引っ張ると、バッグが前のめりになりすぎて、逆にバランスを崩してしまいます。固定の力の目安は、バッグを揺らした際に車体も連動して揺れるくらい。
ゆるゆるなのは論外ですが、きつすぎる必要もありません。シートにバッグがめり込むほどベルトを引きすぎると、容量も少なくなっちゃいますしね。
積載したバッグはヘンリービギンズの「HB DH-760 キャンプシートバッグPROII/LL」です。容量は55~70Lの可変式。写真は未拡張の55L状態。テントを含むキャンプ道具一式と着替えをこの中に入れました。
取り付けベルトの余った部分は、いちいちクルクルまとめるのが面倒なので、私は付属のDリングに通してバタつかないようにしています。
Dリングに通すことで、万が一バックルが外れてしまった際の保険にもなっています。ベルト先端の太くなった部分がDリングに引っかかるため、脱落を防いでくれるのです(バックルが走行時に外れたことは一度もありませんけどね)。
以上のように、一般的な取り付けベルト4点留めのシートバッグなら、簡単に積載できます。またロックストラップを使用した積載もほぼ同じようにできるでしょう。
シートバッグ+パックパック、NX400にシンデレラフィットの組み合わせ
ここからはちょっとした応用編です。キャンプツーリングの際、メインのシートバッグとは別に、タオルや筆記用具、撮影機材などすぐに取り出したいものを入れたパックパックを背負っていました。
行きは背負い続けて走っていたのですが、帰りはくたくたでどうにかバイクに固定できないものか、と考えました。
そこで試しにシートバッグにバックパックを背負わせてみることにしました。
これが非常にぴったり収まりました。リアシートの余っていたスペースとテールカウルの上にジャストフィット。テールランプの被視認性を下げることなく、スペースを有効活用できました。
しかもスタイリング的に違和感はありません。同じヘンリービギンズのバッグだから、ということもあるのでしょう。この製品は「HB DH-739 WPバックパック」、容量は16Lです。
シートバッグにバックパックを背負わせる積載方法は、私がかつて在席していたツーリングマガジン『アウトライダー』で菅生雅文編集長が愛用していたテクニックです。私もこうしてたびたび使っているのですが、NX400のハマり具合は過去最高といっていいほどでした。
ポイントは、シートバッグがそこそこ大きいものであることと、バックパックのショルダーハーネスがシートバッグに通せることです。
小さいシートバッグだとショルダーハーネスがすっぽ抜けやすく、固定力も高まりません。逆にシートバッグが大きすぎるとショルダーハーネスの長さが足りないこともあるでしょう。
そういった面からもヘンリービギンズの「HB DH-760 キャンプシートバッグPROII/LL」(未拡張状態)と「HB DH-739 WPバックパック」は、抜群の組み合わせとなっています。
バックパックに備わっているチェストストラップが脱落を防止するのに役立ちます。さらにカラビナを使ってシートバッグとバックパックのグラブループを固定しました。これでまず落ちることはありません。
ちなみにこの状態でもシートバッグに付属の防水カバーはぴったりとかけられました。シートバッグを拡張するとさすがにサイズが少し足りなくなります。
荷物の出し入れは、バックパックはもちろん可能で、シートバッグも側面から行なえます。シートバッグの天面ポケットだけは使いにくくなりますね。
この積載方法で、キャンプツーリングの帰路、寄り道をしながら400km以上走りました。長いワインディングから高速道路まで、問題はまったくありませんでした。身体は手ぶら状態なので、すっごく楽ちん。リュックを背負うツーリングで肩こりが気になっている方にもおすすめしたいです。
レポート:西野鉄兵