以下、文:ノア セレン/写真:関野 温
ヤマハ「トレーサー9 GT」VS トライアンフ「タイガー900 GT プロ」|深堀りチェック
1.スクリーン
走行中でも操作できてしまうほどカンタン
両車ともスクリーンの防風性能は申し分なく、とくにトレーサーはスクリーンの防風領域が高く感じた。
しかし、ヒサシ付きのオフロードヘルメットとの相性が良かったのは、タイガーのスクリーンだった。高さ調整はレバーを掴んで上下にスライドするトレーサーと、前方に押し込んで上下にスライドするタイガー。いずれも簡単で走行中でもできてしまう。
2.メーター
ギョッとするが使い勝手抜群のトレーサーメーター
豪華だけど起動がノンビリ? のタイガーメーター
より独創的なのはトレーサーで、サングラスをかけたおじさんに見つめられているかのようだけど、こちらもまた表示内容を好みに合わせて工夫することができ、しかも右スイッチボックスにあるクルクルダイヤルは直感的に操作でき非常に使いやすかった。
タイガーは常時表示内容も好みに合わせてスタイルを変更できる。メニューを開くとスピードやタコ、ギアポジなどの常時表示項目が画面上で左側に傾いて各種設定ができる。左スイッチボックスにあるジョイスティック的なボタンで操作するが扱いやすい。ただスイッチオンからの起動に少し時間がかかる感じだ。
ノアセレンが選ぶ2台の “極品” ポイント
車体を軽く感じさせるタイガーの細いリアタイヤ
オンロード定番かつ選び放題の17インチ、リア180幅を履くトレーサーに対して、フロント19インチ、リア150幅と細めのタイガーは、大きなバイクでもタイヤが細めだとヒラヒラと軽く感じさせる。
ヤマハはもともとパニアが得意ダヨ!
アクセサリーのパニアケースを装着するためのダンパー内蔵ステーを純正装着。ヤマハは他機種でもパニアをつけての走行安定性が他社と比べてもとても高い。独自ノウハウがあるんだろうな。
ヤマハ「トレーサー9 GT」VS トライアンフ「タイガー900 GT プロ」|総合評価
舗装路ワンデーならトレーサー、多種路面1週間ならタイガー
今回の2台は悩むな。タイガーは国産/外国産という枠を超えて素晴らしい完成度を持っているから、初めて外国車に乗る人でも違和感なく扱えると思う。付き合いやすいアドベンチャーモデルとしてはとても高いレベルにあって誰にでも薦めることができる。
しかし、裏を返せばそれは他社もやっていることであり、トレーサー以外にもライバルがとても多いから悩ましい。対するトレーサーは前述したとおり、ライバルが思い当たらないオンロードツーリングマシン。快適で軽量でスポーティ、あらゆるシチュエーションを「こなす」だけではなく、ライダーの「その気スイッチ」が入れば即座に応えてくれる楽しさもある。
そういう意味ではトレーサーに傾くのだけれど、距離を走って疲れてきた時に良き脇役に徹してくれるのはタイガーの方な気がする。2台ともハイオク仕様だしなぁ〜でも長距離性能で優位性があるタイガーに1票! 僅差だけどね!
打てば響く120度クランクのトリプルはさすがMT-09の血筋。ハンドリングはツアラーとしてはダイレクト感が強めで、路面が良ければ最高だけど荒れてくるとちょっと気を付ける場面も。シートの着座位置を限定する感覚と、小まわりが苦手なことで快適性はタイガーの方に一票。
はじめTプレーンクランクの印象は個性的かと思っていたけど、走るほどに実用的なフィールに変化。19インチのハンドリングは大らか走りもスポーツ走行も許容してくれるほど絶品。幅広く前後に余裕のあるヒーター付きのシート、アドベンメットでもOKな絶妙なスクリーンで快適性も◎だ。
ヤマハ「トレーサー9 GT」VS トライアンフ「タイガー900 GT プロ」|人気投票
【アンケート】あなたはどちらのモデルが好きですか?
お好きなモデルをポチっとお選びください。投票後、集計結果をご覧いただけます。
ご投票ありがとうございました!
ヤマハ「トレーサー9 GT」VS トライアンフ「タイガー900 GT プロ」|スペック・価格
スペック | YAMAHA TRACER9 GT ABS | TRIUMPH TIGER 900 GT PRO |
全長×全幅×全高 | 2175×885×1430mm | 2305×930×1410-1460mm |
ホイールベース | 1500mm | 1555mm |
シート高 | 820/835mm | 820/840mm |
車両重量 | 220kg | 222kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 |
総排気量 | 888cc | 888cc |
ボア×ストローク | 78.0×62.0mm | 78.0×61.9mm |
圧縮比 | 11.5 | 13.0 |
最高出力 | 88kW(120PS)/10000rpm | 79.5kW(108PS)/9500rpm |
最大トルク | 93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm | 90N・m(9.18kgf・m)/6850rpm |
燃料タンク容量 | 18L | 20L |
変速機形式 | 6速リターン | 6速リターン |
キャスター角 | 25° | 24.6° |
トレール | 108mm | 102.7mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・180/55ZR17 | 100/90-19・150/70R17 |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・ディスク | ダブルディスク・ディスク |
メーカー希望小売価格 | 149万6000円(消費税込み) | 189万5000円~(消費税込み) |
文:ノア セレン/写真:関野 温