同じ旅バイクとはいえ、タイガーとトレーサーとでは目指す方向性がかなり異なる。果たしてスポーツライディングが大好きな横田は、予想どおり前後17インチのトレーサー9 GTを高評価するのだろうか!?
以下、文:横田和彦/写真:関野 温

ヤマハ「トレーサー9 GT」VS トライアンフ「タイガー900 GT プロ」|深堀りチェック

1.シート高

画像: 【TRACER9 GT ABS】シート高:820mm(左)、835mm(右)

【TRACER9 GT ABS】シート高:820mm(左)、835mm(右)

画像: 【TIGER 900 GT PRO】シート高:820mm(左)、840mm(右)

【TIGER 900 GT PRO】シート高:820mm(左)、840mm(右)

足つき性は大事、でもハンドリングの変化にも注目したいぜ!

嬉しいことに両車とも工具なしでシート高を2段階に調整できる。低い状態は820mmとロードバイク並。両足だとつま先から1/4程度、少し腰をずらして片足にすると身長164cmで足裏の半分ほどが接地する。しかし、高い方にすると両車ともつま先立ちに。う〜ん、これなら低いほうが安心だ。

ところが走ってビックリ! シート高の違いで挙動がぜんぜん違うのだ。より変化が大きかったのはタイガー900 GT プロ。まるでビッグアドベンチャーのように目線が高く、ハンドリングも大振りになって一体感がやや希薄になったように感じた。といってもこれは横田の感想だけど、実は長身185cmのノアセレンもローシートが好みと言っていたからオモシロイ。


2.ハンドリング

画像: TIGER 900 GT PRO(左)、TRACER9 GT ABS(右)

TIGER 900 GT PRO(左)、TRACER9 GT ABS(右)

このハンドル切れ角の差は…ムムムッ!

どちらも倒立フォークを装備しているのだが、ハンドル切れ角はかなり違う。タイガー900 GT プロはしっかりハンドルが切れるのに加え、フロントフォークがよく動くのでUターンしやすい。

ところがトレーサー9 GTは意外とハンドルが切れない。さらに停車状態でフロントブレーキを掛けても電子制御サスの影響でまったくノーズダイブしないため、狭い所で向きを変えるのにかなり苦労した。

横田和彦が選ぶ2台の “極品” ポイント

画像2: TRACER9 GT ABS

TRACER9 GT ABS

バイクは顔が命! お前、イイ顔つきじゃね〜か

最近のヤマハのフェイスデザインはロボット顔というかSFチック。その造形が個人的には大好き。ライトがいっぱいあるが、実はヘッドライトは下の2灯。上の2灯はポジションランプなのだ!


画像2: TIGER 900 GT PRO

TIGER 900 GT PRO

泣く子も黙るアクラポビッチサイレンサー!

タイガー900 GT プロにはオプションのアクラボヴィッチサイレンサーが装備されていた。ボルトオン装着でインジェクション・マッピングの書き換えは不要。1.9kgの軽量化とパワー&トルクアップを実現。

ヤマハ「トレーサー9 GT」VS トライアンフ「タイガー900 GT プロ」|総合評価

画像: ツーリングだけじゃなくプラスαの楽しみを得られるバイクがイイ!

ツーリングだけじゃなくプラスαの楽しみを得られるバイクがイイ!

路面を問わずタフに走破するか、峠道をスポーティに駆け抜けるか

今回の直列3気筒ツアラー対決は、走りたいフィールドがどこかで車種が絞られるように思う。タイガー900 GT プロはアドベンチャー由来なので、ちょっとしたフラットダートでも気兼ねなく入っていける柔軟性が魅力。対してトレーサー9 GTは、ハイパワーを舗装路で使える車体や足まわりを備え、高速道路や峠道をスピーディに走り抜けていく。

実は最初、タイガー900 GT プロにかなり惹かれた。しなやかな挙動は乗り始めてすぐに馴染み、リラックス気分で走れたからだ。直後に乗ったトレーサー9 GTはパワフルで乗り味がハード。これは手強いぞ……と感じたが、意外にも早く慣れた。

両車の差を感じたのは峠道だ。タイガー900 GT プロを一生懸命走らせるのも悪くないが、操作に対して機敏に反応するトレーサー9 GTのスポーツ性は魅力的で思わず「好きっ!」ってなっちゃった。やっぱりボクはスポーツライディングが好きなんだよね〜。

YAMAHA TRACER9 GT ABS

最初は硬質なフィーリングだと思ったが、乗り込んでいくとワインディングでキラリと光るものを感じた。エンジンからちょっと振動が出るがパワーは十分。シャープな挙動は走りの探究心をくすぐる。ダートへは入りにくいが、ロードメインの旅で実力を発揮する。


TRIUMPH TIGER 900 GT PRO

幅広のハンドルを操り、19インチホイールを振り回すように大柄な車体を右に左にバンクさせて走るのはとても楽しい。そんなにスピードが出ていなくても「走ったぞ!」という充実感が得られる。気になるのは価格かな。この値段なら他のバイクも候補に入ってきそう。

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    ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」
  • 画像2: 【比較インプレ】ヤマハ「トレーサー9GT」VS トライアンフ「タイガー900GT プロ」〈横田編〉|フロント17インチと19インチでは乗り味が大違い⁉
    トライアンフ「タイガー900 GT プロ」
  • 画像3: 【比較インプレ】ヤマハ「トレーサー9GT」VS トライアンフ「タイガー900GT プロ」〈横田編〉|フロント17インチと19インチでは乗り味が大違い⁉
    ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」
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    トライアンフ「タイガー900 GT プロ」
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ヤマハ「トレーサー9 GT」VS トライアンフ「タイガー900 GT プロ」|スペック・価格

スペックYAMAHA TRACER9 GT ABSTRIUMPH TIGER 900 GT PRO
全長×全幅×全高2175×885×1430mm2305×930×1410-1460mm
ホイールベース1500mm1555mm
シート高820/835mm820/840mm
車両重量220kg222kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
総排気量888cc888cc
ボア×ストローク78.0×62.0mm78.0×61.9mm
圧縮比11.513.0
最高出力88kW(120PS)/10000rpm79.5kW(108PS)/9500rpm
最大トルク93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm90N・m(9.18kgf・m)/6850rpm
燃料タンク容量18L20L
変速機形式6速リターン6速リターン
キャスター角25°24.6°
トレール108mm102.7mm
タイヤサイズ(前・後)120/70ZR17・180/55ZR17100/90-19・150/70R17
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・ディスクダブルディスク・ディスク
メーカー希望小売価格149万6000円(消費税込み)189万5000円~(消費税込み)

文:横田和彦/写真:関野 温

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