姿形やエンジンレイアウトまで非常に良く似た2台に、もしかして生き別れた兄弟車なのでは!? と訝しんだが、実は他人の空似。エンジンフィールも乗り味もまったく異なっており、それぞれ甲乙つけがたい魅力があった! “目利きのマル”が両車の細かい部分を徹底チェック!
以下、文:丸山淳大/写真:関野 温

ヤマハ「トレーサー9 GT」VS トライアンフ「タイガー900 GT プロ」|各部チェック

画像: YAMAHA TRACER9 GT ABS 総排気量:888cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:820/835mm 車両重量:220kg 税込価格:149万6000円

YAMAHA TRACER9 GT ABS

総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:820/835mm
車両重量:220kg

税込価格:149万6000円


画像: TRIUMPH TIGER 900 GT PRO 総排気量:888cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:820/840mm 車両重量:222kg 税込価格:189万5000円~

TRIUMPH TIGER 900 GT PRO

総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:820/840mm
車両重量:222kg

税込価格:189万5000円~

1.エンジン

画像1: TRACER9 GT ABS

TRACER9 GT ABS

画像1: TIGER 900 GT PRO

TIGER 900 GT PRO

ヤマハの直列3気筒エンジンが“Y”? トライアンフの直列3気筒エンジンは“T”?

1回の爆発ごとにピークトルクの変動が2気筒よりも少なくスムーズな直列3気筒エンジンは、直列4気筒よりもエンジン幅がコンパクトに抑えられているし、製造コスト的にも優れている。

通常3気筒のクランク角は120度で、真横から見ると“Y”型となり、クランク2回転=240度ごとに等間隔で点火が行われる。そのため各気筒の慣性トルクが相殺され、バランスに優れている。

ところが、タイガー900 GT PROは、安定の120度クランクを捨て、0度、90度、180度位相のクランクとなり、真横から見ると“T”型に。この“T”が「Tプレーンクランク」の由来だ。不等間隔爆発によるクセのある乗り味かと思われたが、実にスムーズ! もう少し乗ればその個性が腹落ちしたのかも。


2.足まわり

画像2: TRACER9 GT ABS

TRACER9 GT ABS

画像2: TIGER 900 GT PRO

TIGER 900 GT PRO

これからはそれぞれの道を前向きに歩んでいきます

脚長でアップハンドル、3気筒エンジンのツアラーということで、良く似た二台であるが、人の足元を見るのが得意な私はそのゲスい目線で2台の足元を見てみると、そこに違いを発見。

トレーサー9 GTが一般的なロードモデルと同様にフォークのセンターにアクスルが位置するのに対し、タイガー 900 GT プロは多くのオフロードモデルのようにアクスルがフォークの前に出たリーディングアクスルを採用している。

リーディングアクスルにすることで、フロント19インチの大径ホイールでもサスペンションストロークを長く取れるし、お足元の悪い不整地でも良好なハンドリングが得やすくなる。2台の足まわりにはバンドなら解散の理由になるほど「方向性の違い」があった。

画像3: TIGER 900 GT PRO

TIGER 900 GT PRO


3.プリロード&減衰力調整機構

TRAICE9 GT ABS

画像1: メーターの表示

メーターの表示

画像: フロントのプリロード調節部(工具必要)

フロントのプリロード調節部(工具必要)

画像: リアのプリロード調節部(工具不要)

リアのプリロード調節部(工具不要)

TIGER 900GT PRO

画像2: メーターの表示

メーターの表示

画像: フロントのプリロード調節部(工具不要)

フロントのプリロード調節部(工具不要)

画像: リアのプリロ―ド調節部(工具不要)

リアのプリロ―ド調節部(工具不要)

ダイヤル式プリロード調整で我が尻が助かる乗り心地へ

タイガー900 GT プロはソロ、タンデム、荷物積載などに応じた「リアのプリロード調整」や「減衰力調整」を手元のボタンで行うことができる。

一方、トレーサー9 GTの方はIMUの情報を基に減衰力を自動調整する電サスだが、そのモードはスポーツの「A-1」とコンフォートの「A-2」の2段階のみ。私レベルの鈍感さとライディングスキルだと悲しいことに2つの違いを明確に感じ取れるまで至らず。

今回、撮影場所までトレーサー9 GTの自走運搬役を務めたのだが、連続100km走行を超えると尻痛が限界に。どうにも困って試しにリアのプリロードを全抜きにしてみるとウソのように尻痛が収まった。プリロードは偉大だ! ただ、最弱だと路面の凹凸で跳ねた時に明らかにリアタイヤが路面をつかみきれない感覚が出る。ワインディングでは走りづらいだろう。

だからこそ、両車ともに道路脇に停まって工具不要(トレーサー9 GTのフロントは工具が必要)でサクッとプリロード調整できるのは好ポイント。

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