2024年、自身2度目のSBK=スーパーバイク世界選手権王者となったトプラク ラズガットリオグルは、BMWに初のSBKタイトルをプレゼントすることになりました。2009年からのBMWのファクトリー活動と、今年のラズガットリオグルの戦いを振り返りたいと思います。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事はウェブサイト「ロレンス」で2024年10月23日に公開されたものを一部編集し転載しています。

合計13勝が、2009〜2023年の間のBMWの通算勝利数でした

BMW初のクランクシャフト横置き、並列4気筒エンジンを搭載したスーパースポーツであるS1000RRがデビューした2009年、BMWはSBKへのファクトリー参戦を開始しました(ライダーはルーベン チャウスとトロイ コーサー)。

記念すべきSBK初勝利をもたらしたのは、2012年に英ドニントンパークのレース1で勝利したマルコ メランドリで、同年彼は6勝を記録してランキング3位を獲得しました。

画像: 第1期BMWファクトリー活動期(2009〜2013年)で、もっとも活躍したBMWライダーとなったM.メランドリ。写真は2013年に、ヘレスでのプラクティス時に撮影されたものです。 www.press.bmwgroup.com

第1期BMWファクトリー活動期(2009〜2013年)で、もっとも活躍したBMWライダーとなったM.メランドリ。写真は2013年に、ヘレスでのプラクティス時に撮影されたものです。

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2013年度はメランドリと(ランキング4位)チャズ デイビス(同5位)がそれぞれ3勝ずつマーク。しかしこの年を限りにBMWはファクトリー参戦を停止し、その復活はレース1とレース2の間に10周のスプリントレースである「スーパーポールレース」が行われるようになった、2019年シーズンの訪れまで待つこととなりました。

トム サイクス、マルクス レイテルバーガー、そしてスポット参戦でピーター ヒックマンの3名が起用された2019年は、ジョナサン レイ(カワサキ)とアルバロ バウティスタ(ドゥカティ)の激しいタイトル争い劇のなかに埋没し、未勝利に終わりました。翌2020年はサイクスとユージン ラバティのコンビでしたが、表彰台にも遠いシーズンとなっています。

2021年はヤマハから移籍のマイケル ファン デル マークが加入。ポルトガルのスーパーポールレースで久々の勝利をBMWに届けました(ランキング6位)。しかし2022年、2023年はファン デル マークが怪我で欠場するレースが多く、BMWファクトリーは話題に上ることが少ない2年間となってしまいました。

画像: 2021年、BMWに新加入したマイケル ファン デル マーク。過去の鈴鹿8耐での活躍で、日本でもおなじみのライダーといえるでしょう。 www.worldsbk.com

2021年、BMWに新加入したマイケル ファン デル マーク。過去の鈴鹿8耐での活躍で、日本でもおなじみのライダーといえるでしょう。

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13連勝など、数々の記録破りの成績を残しての王者獲得でした!

2024年、ファン デル マークのチームメイトとしてBMWファクトリーに加入したのは、2021年でヤマハYZF-R1を駆りSBK王者となったT.ラズガットリオグルです。彼の初勝利は3月の第2ラウンド、バルセロナのレース1で、続くスーパーポールレースでも勝利。3勝目はアッセンのレース2でしたが、ここからラズガットリオグルとM1000RRの破竹の快進撃がスタートします。

2つのレースとスーパーポールレース・・・1ラウンドで3勝する「ハットトリック」を、ラズガットリオグルはミサノ、ドニントンパーク、モスト、ポルトガルと4ラウンド連続で達成!! 合計13連勝とライバルたちを圧倒し、92点という大量リードでタイトル争いの先頭を独走しました。

画像: 前年度の王者、A.バウティスタ(ドゥカティ)らを従え、BMW M1000RRを走らせるT.ラズガットリオグル。 www.press.bmwgroup.com

前年度の王者、A.バウティスタ(ドゥカティ)らを従え、BMW M1000RRを走らせるT.ラズガットリオグル。

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しかし好事魔多し。マニクールでの2回目のフリープラクティスでクラッシュしたラズガットリオグルは、2ラウンドをすべて欠場することとなりました。そのためランキング2位のニッコロ ブレガとの差は一気に13点まで縮むことになりましたが、復帰戦となったアラゴンでラズガットリオグルは3つのレースすべて2位を獲得し、ブレガとの差を39点まで拡大。力強いカムバックぶりを披露しました。

続くエストリルでは2つのレースで優勝し、スーパーポールレースを2位でまとめ、ラズガットリオグルはランキング2位に46点差のマージンを持って、最終ラウンドとなるヘレスに挑みました。レース1を2位で走り終えた段階で、ラズガットリオグルは見事自身2度目、そしてBMWとしては初となるSBKタイトルを確定させました。

画像: 最終戦ヘレスの地で、BMWスタッフの前で得意のウイリー走行をするT.ラズガットリオグル。スーパーポールレースは2位、そしてレース2はシーズン18勝目を記録し、有終の美を飾りました。 www.press.bmwgroup.com

最終戦ヘレスの地で、BMWスタッフの前で得意のウイリー走行をするT.ラズガットリオグル。スーパーポールレースは2位、そしてレース2はシーズン18勝目を記録し、有終の美を飾りました。

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画像: チャンピオン獲得記念のゴールド レザースーツに着替え、ポーズをキメるT.ラズガットリオグル。 www.press.bmwgroup.com

チャンピオン獲得記念のゴールド レザースーツに着替え、ポーズをキメるT.ラズガットリオグル。

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ラズガットリオグルが欠場したマニクールのレース1では、ファン デル マークが久々の優勝をあげており、2024年シーズンのBMWは通算19勝、572点を記録しましたが、残念ながらマニュファクチャラーズタイトルは、644点のドゥカティを獲得した譲ることになりました。

BMWモトラッドのCEOであるマーカス フラシュは、2027年の「新規制」導入のタイミングに合わせて、BMWがMotoGPに参戦する可能性を否定しない態度を明らかにしています。1950年代半ばのわずかな期間以外、ロードレースの世界選手権(現MotoGP)にバイクを参戦させてこなかったBMWファクトリーが、本当にGPパドックに戻ってくるのかは今のところ定かではないです。ただ今シーズンのBMWのSBK制覇は、色々な意味で同社のモータースポーツ活動全般への励みにはなったでしょう。2025年のSBKは2月末のオーストラリアが開幕戦で、全12ラウンドが予定されています。

文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)

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