文:大冨 涼/写真:関野 温
ヤマハが「YZF-R9」を全日本選手権最終戦のイベントブースで公開
2024年10月25日から27日、三重県の鈴鹿サーキットでは、全日本ロードレース選手権が開催。トップレベルの争いが繰り広げられるなか、26日の11時、サーキット内GPスクエアのヤマハブースにて新型車「YZF-R9」のプレスカンファレンスが行なわれた。
先に欧州で発表された「YZF-R9」は、ヤマハの最高峰モデル「YZF-R1」がトラック専用車となったことを受け、公道を走行できる新たなスーパースポーツモデルとして注目を集めている。
展示された車両のカラーは「アイコンブルー」*「テックブラック」*「インテンシティホワイト/レッドライン」*の3色。スペックは未発表だ。
*呼称は海外仕様
発売時期は2025年春頃の予定となり、来年のモーターサイクルショーでの展示も期待できそうだ。価格は未発表だが、欧州仕様モデルに近い価格設定を目指すと発表された。
スーパースポーツモデルでありながらツーリングも楽しめるモデルに
アンベール後は、元MotoGPライダーの中野真矢さん、「YZF-R9」の企画を担当した兎田潤一さん、開発プロジェクトリーダーの津谷晃司さんがステージに登壇。開発の経緯や、注目の装備、レース参戦の有無などを発表した。
「YZF-R9」は、これまでラインナップされていたスーパースポーツモデル「YZF-R1」や「YZF-R6」の性能面や金額面におけるハードルの高さを反省点として開発。スーパースポーツモデルとしての性能はそのまま、「YZF-R7」のような扱いやすさを備えたモデルとのこと。
車両のイメージとしては、"到達する山の頂上は同程度で、急勾配なモデルが「YZF-R6」や「YZF-R1」、なだらかなモデルが今回登場した「YZF-R9」" と兎田さんは語っていた。
今回のコンセプトについて津谷さんは、スーパースポーツモデルに乗ることへの敷居を下げ、気軽にチャレンジできて、かつ無理のない、手が届く価格帯のモデルを目指したと述べていた。
ヤマハ「YZF-R9」の足つき・ライディングポジション・注目の装備
パーツやアライメントはスーパースポーツである事を前提としたつくりで、フレームも専用設計。サーキットを攻め込むライダーのことも考え、車体の剛性やハンドルポジションが調整されている。
ただし、ライディングポジションはこれまでのモデルと比べてゆとりを持たせたスタイルに。ハンドル位置は「YZF-R7」と同程度、下半身も比較的ゆったりめに設計してあるそうだ。
サスペンションは2025年モデルの「YZF-R1」と同じKYB製のフルアジャスタブル。ブレーキはブレンボ製。フロントには大きなウイングレットが装備され、スーパースポーツらしい佇まいとなる。
また、「YZF-R1M」にも搭載されている「Y-TRACK(ワイトラック)」システムを採用。車速やタイムラップ、アクセル開度、バンク角、ブレーキ圧力などといった車両データを、専用のスマホアプリで見返すことができる。
そのほか、スーパースポーツモデルでありながらクルーズコントロールを搭載している点も、ツーリングも楽しみたいライダーにとって魅力的なポイント。
2025年からこの「YZF-R9」のトラック専用モデルでスーパースポーツ世界選手権へ参戦することを発表。これとあわせて、スタンダードモデルに取りつけるレース専用のカスタムパーツが順次ラインナップされる予定だ。
ヤマハ「YZF-R9」のカラーバリエーション
アイコンブルー
テックブラック
インテンシティホワイト/レッドライン
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ヤマハ「YZF-R9」の主なスペック・価格
YAMAHA YZF-R9(欧州仕様) | |
全長×全幅×全高 | 2070×705×1180mm |
ホイールベース | 1420mm |
シート高 | 830mm |
車両重量 | 195kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 |
総排気量 | 890cc |
ボア×ストローク | 78×62.1mm |
圧縮比 | 11.5 |
最高出力 | 87.5kW(119PS)/10000rpm |
最大トルク | 93Nm(9.48kg-m)/7000rpm |
燃料タンク容量 | 14L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 22°35′ |
トレール | 94mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・180/55ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | Φ320mmダブルディスク・Φ220mmシングルディスク |
価格(北米) | 1万2499ドル(≒186万500円) |
文:大冨 涼/写真:関野 温