文:北岡博樹/写真:岩瀬孝昌
数年ぶりに乗ることになったカワサキは400ccだけど……
うちの会社(モーターマガジン社)ではいろんなWEBサイトをやっていて、その中でも断トツに規模が大きいのがこの『webオートバイ』です。
私(北岡)は普段、ホンダやスズキに乗ることが多いんですが、今回はひょんなことから『webオートバイ』に出張することに。ちなみに事の顛末は「ある日かかってきた後輩(石神クン)からの電話」でした……
石神クン「夜にすんませんセンパイ……ゴホッ……ちょっと相談が……ゴホゲホッ」
北岡「どうしたー? あれ? なんか体調わるい感じ?」
石神クン「そうなんですスミマせ……ゴホッ。それで、今ちょっとwebオートバイ編集長の西野サンから「カワサキの400に乗って感想聞かせてよ!」って頼まれてまして……撮影が明日だったんですが……代打を頼めないでしょうか……」
実のところ私はカワサキのバイクに乗るのが数年ぶり……しかしカワイイ後輩の頼みとあらば無下にすることなどできません。
北岡「体調不良はお互い様だから大丈夫! で、バイクは何に乗ればいいの?」
石神クン「それがボクもよくわからなくて……なんか思わせぶりに「会社のガレージにカワサキの400は1台しかないから見ればわかる」とだけ言われてて……」
北岡「あ、わかった。ガレージにあるカワサキの400ね。オッケーまかせとけ!」
※やりとりには多量のフィクションが含有されています
カワサキの……400ってこれ?
そうして急遽乗ることになったカワサキのバイク。体調不良(←ここは実話)の石神クンには悪いけど久々だから楽しみ!
そうして翌朝、会社のガレージにて……
え? カワサキの400って……これのこと?
ガレージに1台だけあるカワサキ車は『Ninja ZX-4RR KRT EDITION』というバイクでした。詳しい人なら知ってると思うけど、カワサキが本気で作った排気量400ccの4気筒スーパースポーツです。
最高出力は実に80馬力(ラムエア加圧時)だとか……ちなみに私は普通のツーリングライダーなのでスーパースポーツはちょっと苦手なんだよナァ……
しかし!
私とて200馬力級の『隼(二代目)』を愛車として所有する身です。いまさら後には引けないし、400ccで超高回転型の4気筒エンジンなら(普通に走らせるぶんには)鬼トルクってこともないはず……まぁ、なんとかなるだろ!?
それにしても……
『キミはずいぶん……ワルそうな顔してるな……』
形態を機能を現す、を具現化したスーパースポーツに対して「顔がワルそう」というのは相応しくない表現かもしれませんが、初見で本当にそう感じたのでお伝えしておきます。
ちょっと警戒感を覚えつつも気を取り直して……いざ、ZX-4RR!
セルボタンを押してエンジンスタート!
フォンッ! と警戒に目覚める4気筒エンジン……でも、あれ?
サウンドがけっこう大人しい?
400ccとはいえカワサキのスーパースポーツということで威圧感バリバリで来るかと思ってたけど、すこし拍子抜け。でもアイドリングはカワサキの4気筒エンジンらしくゴリゴリ感があって、それはちょっと好き。
これならイケそうかな。そうは言っても400ccだもんな!
警戒感も薄れたところでクラッチミート……ソロリと会社のある東京都・新橋の街へ走り出して
……絶句。
走り出して5秒。エンジン回転数はせいぜい4000~5000回転くらい。
……エンジンが、消えた。
正確に言うとアイドリングで感じていたゴリゴリ感がスッと消えて、エンジンの振動がまったく感じられなくなって。そのうえで重量バランス、あるいはマスの集中化の妙なのか、股の下に『エンジンがある感じがしない』状態になったんです。
あ……これヤバいやつかも……
この感覚を私(北岡)は知っています。本当によくできたリッタースーパースポーツで感じたことがある超精密な機械感。専門的な言い方だと『エンジンのフリクションを感じない』という感じ。
そして、メーターをよく見たらレッドゾーンは15000回転から……いちまんごせん!?
ですが街中でのZX-4RRは従順そのものです。クラッチミートの回転数はすこし高めだけど普通に安心して乗れます。乗り心地だって悪くない。
これはちょっと……どうなんだろ?
真相を確かめるべく高速道路に乗ってワインディングを目指してみたのですが……その前に高速道路で『とんでもない事実』を知ることに。続編では『それ』をお伝えします。
ねえ?
このバイク……ギア1速での最高速、何キロ出ると思う?