文:北岡博樹/写真:岩瀬孝昌
ZX-4RRでパワー以上に『スゴい!?』と感動したものとは?
数年ぶりに乗ったカワサキのバイクは、排気量こそ400ccだけどカワサキが本気で作ったスーパースポーツのZX-4RR。
ワインディングに至るまでの道すがら、興味本位で高速道路で実験した『ローギア1速で何キロ出るの?』は【中編】でお伝えしたとおり衝撃的な結果となりました。
今朝、出発する時点で感じていた『400ccだし、まぁ何とかなるでしょ!?』という気持ちは、この時点で消し飛んでいます。絶対に油断してはいけない、と私(北岡)のライダー本能が警告を発している……
そうしてついに、ワインディングへ到達!
上の写真ではそれっぽくキメている様子ですが、実際にはこの前に『めちゃくちゃ準備運動をしっかりやる』というプロセスを挟んでいます(笑)
でもそれは「そうしないとダメだ」と本能的に感じたから。
排気量が400ccということに対する油断はありません。いつの間にか、気分的にリッタークラスのスーパースポーツに乗るのと同じ心構えになっていました。
路面温度も下がってくる頃合い……入念にタイヤの具合を探りつつ。ちなみにタイヤが新品だったので皮むきもしつつ。
アクセルオン/オフでのフィーリング、ブレーキのタッチ、ステップのホールド感、シッティングポイントなどなど、ひとつひとつを確認。準備万端!
って……本当に「スーパースポーツに乗るときの儀式」を自然にやっていました。
ローギア1速の速度レンジは承知していますが、まずは様子見で2速を使って。
ブレーキ!
……完璧。
ブレーキ効力の立ち上がり具合、そしてコントロール性が抜群です。これにはブレーキパーツだけでなく車体側の剛性なども関わってきますが、文句のつけようがない。高い速度レンジでも冷静にブレーキを操れる……乗り手側にそういう『自信』をくれるフィーリングでした。
そこからコーナーへ進入。
これもスゴい。視線を向けるだけでスッとバイクが動き出します。しかもそれが速度域を問わずに綺麗に鼻先が入っていくんです。
バンク中の安定感・スタビリティも盤石。前後のタイヤが路面を捉えていることが確実に伝わってくるので気持ち的に安心感がものすごい!?
というかこのバイク、リヤサスペンションにとんでもないのが入ってるんですよね……
ライムグリーンが主張するリアサスペンションはSHOWA製「BFRC lite」。これガチで200馬力級のスーパースポーツに採用されてるやつですよ……しっかり感があるのに、しなやかに動く。
性能に関して言えば、間違いなく最上級クオリティだと断言できます。
対してフロントですが、こちらは同じくSHOWA製のSFF-BP倒立フロントフォークでした。
SFF-BP自体は他メーカーでも多数採用されていて、その性能はお墨付きのようなものなのですが……ZX-4RRが採用しているのは恐らくその中でも最上級。プリード・圧側減衰・伸び側減衰の調整機構が揃ったフルアジャスタブルタイプです。
市販車でフルアジャスタブルのSFF-BPを搭載しているバイク、私が乗った中でははじめてかも……。
というか、この調整機構でフロントの味付けを自分好みにセットできれば、ZX-4RRは無敵になるだろうと予想しています。
多少荒っぽく扱っても一切、バイクの姿勢が乱れない。タイヤに強めの負荷が掛かっている状態でも繊細に路面をトレースする。こんなにも接地感を感じられる400ccのバイク……過去に乗ったことないんだけど!?
勘違いも甚だしいですが、様子見の段階では『バイクを支配下に置けている』という感覚がものすごく強くありました。
で……あまりにも安心感が高いものだから、ちょっと写真映えを意識した大げさめなフォームで(笑)
エイッ!
うわぁ……ダメだこれ!?
ふざけてるとあっさりヒザがアレになるやつです……お手軽に深くバイクが寝すぎる!? 公道でそんなことしちゃいけません……ので走りに合わせた自然なフォームに切り替えて!
それにしても……
とにかく『身体の収まりがいい』のに驚きます。
バイクに吸い付くようなライディングフォームが自然に取れる。頭の位置も思い切り低くできる。バイクとの一体感がものすごく強い……徐々にバンク角を深くしていっても、その一体感のおかげで不安は一切感じません。
なんなら軽く『全能感』すら湧いてくる!?
あ……思い出した……
このバイク、数年前に乗った『アレ』にそっくりだ!?