文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事はウェブサイト「ロレンス」で2024年11月13日に公開されたものを一部編集し転載しています。
ホンダによるバッテリー交換サービスは、これで5カ国目。欧州では初です。
ホンダは今まで、日本、インド、インドネシア、タイでバッテリーシェアリングサービスを展開しておりましたが、今回のスウェーデンでの実証実験開始によって5カ国目となります。ホンダと組むGoCimoは、配送および輸送業界のCO2排出量増加と交通渋滞に対処するために2022年に設立された企業で、スウェーデン最大都市のストックホルム(5箇所)と2番目に大きな都市であるヨーテボリ(4箇所)にてバッテリー交換サービスを運営しています。
ホンダとGoCimoの実証実験の場が、スウェーデンで3番目に人口が多いマルメで行われるのは、すでにGoCimoのサービスが提供させているエリアを避けてのことなのでしょう。なおホンダとGoCimoは、今回の実証実験をとおして、欧州市場における長期的なパートナーシップの可能性も含めて検討を開始するとのことです。
同じコンソーシアム仲間なので、大げんかになることはないということで?
バッテリー交換ステーション事情ヲタク? の方であれば、上掲のGoCimoの写真とYouTube動画に映るステーションを見てオヨヨ!! と思うかもしれません? ステーションの筐体と中におさまる交換式バッテリーのそれぞれの形が示すとおり、GoCimoがストックホルムとヨーテボリで展開しているサービスは、台湾のキムコが展開するバッテリー交換サービスシステムであるアイオネックスがベースなのです。
ホンダは、すでにパートナーを組んでいるGoCimoとアイオネックスの間に割って入ったというかっこうなのですが、当然ながらホンダ、GoCImo双方のリリースともに、アイオネックスについてのことは1つも記されてはおりません。
なおホンダ、キムコ、GoCimoはいずれも、2輪用交換式バッテリーのグローバルおよび欧州での「標準化」を目的に誕生したコンソーシアムである、SBMC(スワッパブル バッテリー モーターサイクル コンソーシアム)の構成メンバーです。
SBMCの標準化バッテリーの仕様が決まらない限り、構成メンバーがそれぞれのビジネスに邁進するのはOK・・・ということで、GoCimoがキムコと組むのも、ホンダと組むのも、それはそれで恨みっこなしということなのでしょうね。
まだ電動スクーターの交換式バッテリーサービスが世界の隅々までには行き届いていないので、このような各企業の縄張り争い的なことは今後も起きるでしょう。普及の加速と、ユーザーの利益を考えると、早いところ「標準化」が果たされるべきですけど、各企業の「目の前」の利潤追求を止めることは、自由主義経済の世界では難しいです・・・。なんてことを考えさせられた、今回のニュースでした。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)