文:石神邦比古/写真:森 浩輔
オールドルックの『Z900RS SE』だけどワインディングが楽しい!
ネイキッドバイクの弱点である「走行風」の影響を『Z900RS SE』ならむしろ心地良い!とハンドルにしがみつき、ノリだけでクリアしてしまった高速道路。
早速ワインディングに突撃したのですがやっぱりこのバイク……
めちゃくちゃ楽しいじゃないか!!!!
試乗前はてっきりそのオールドルックなスタイリングから、テイスト振りのバイクなんじゃないかと想像していましたが、ここまでの道中で薄々感じていた通り、中身はガッツリスポーツバイクだ!
まず最高出力111馬力を発揮する948cc並列4気筒エンジン。街中の常用回転域では紳士的で扱いやすい印象でしたが、一度高回転まで回すとパワフルなモンスターマシンに変身します!
というか、公道じゃパワーバンドなんてまともに入れられないくらい……。
その中でもしっかりファーストインプレッションで感じた扱いやすさは残っていて、パワフルなんだけど、しっかりスロットルを開けて楽しめるのがポイント。
100馬力を超えるリッタークラスのモンスター、中でもスポーツ性能に重きを置いたバイク達は、どうしてもワインディングでスロットルレスポンスがセンシティブで、開けるのを躊躇してしまうモデルが多いのですが、948ccのバイクでストレスなく楽しめるのはかなり魅力的です!
ブレンボ製のモノブロック4ポッドキャリパーのコントロール性も抜群で、スポーティーなブレーキングを楽しむことができ、ハンドリングもスッと思い通りに向きを変えます。
ただ、自分にとって馴染みのあるセパレートハンドルのスポーツバイクに比べて荷重が後ろにあるように感じ、フロントから切れ込んでいくというより、リアの荷重移動で曲げる感覚が強く、コーナリングの速度が上がるほどその感覚が強くなる印象でした。
でも、まったりと連続するコーナーを流す分にはスーパースポーツのようにフロントから落ちていく感覚が薄いから、自分の思い描くラインにのせやすくてとっても楽しい!
特に!
リアタイヤで走る『Z900RS SE』だと、リアに搭載されたオーリンズ製サスペンションの良さをダイレクトに感じることができる!
今まで舗装の荒れが目立つワインディングだと「リアが多少跳ねるのは仕方ない」なんて思ってたけど、『Z900RS SE』は後輪がしっかり地面に張り付いて、タイヤがちゃんと路面を掴んでいるのがわかる……気がする!!!!
これは、みんなオーリンズ付けたがるわけだ……
だって、良いものは良いんだもん!
あれぇ、僕の『FZR750』もリアオーリンズなんだけどなぁ……年式とメンテの問題か……
そして、倒立式のフロントサスペンションもしっかり地面を追従してくれていて、多少の減速帯なんかはものともしません!
……性能の高いフロントサスペンションは逆に追従性が高くて、自分程度じゃ接地を探るのも困難ですが(汗)
それでも、決してコンディションが良いわけではないワインディングをトータルでここまで安心して楽しく操れたのは初めてかも!?
重たい4気筒エンジンを搭載しながらスペックで215kgと軽量な『Z900RS SE』ですが、ホリゾンタルバックリンク式サスペンションをはじめとしたマスの集中化による重心位置の最適化によるものか、実際の重量以上に軽く感じるから、せせこましい峠道まで軽やかなフットワークで駆け抜けられます!
オールドルックなスタイリングにちょっと騙されていたけど……
このバイク、めっぽう速いのでは……!?
こんなにカッコよくて、乗り心地が良くて、そして楽しいバイク……人気が出るワケだ!
そうしてワインディングを駆け抜けた私と『Z900RS SE』ですが、一日中走り回って思ったのは、この「バイクである重要性」だったりするかも……?
【文:石神邦比古/写真:森 浩輔】