文:横田和彦、オートバイ編集部/南 孝幸、オートバイ編集部
125cc・原付二種モデルとは?
2024年11月13日に国土交通省から発表された最新の区分によると、すでに販売されている排気量50cc以下の車両に加えて、総排気量が125cc以下かつ最高出力が4.0kW以下のものを「第一種原動機付自転車」、最高出力が4.0kWを超えるものを「第二種原動機付自転車」、125cc越えて250cc以下が「軽二輪」、それ以上が「小型二輪」となる。
免許制度と違うので混乱しそうだが、「原付二種」とは、排気量125cc以下で最高出力が4.0kWを超えるバイクのことだと覚えておけば間違いない。そして、これを公道で運転するには「小型限定普通二輪免許」以上の免許が必要だ。
また原付とそれ以上の排気量のバイクとではナンバー登録する場所も異なる。個人売買で名義変更する時など注意が必要だ。
魅力1.実用的で趣味としても楽しめる優秀なクラス!
原付、普通・大型二輪にはないメリットが多数!
現在、125ccクラスはかつてないほど盛り上がっている。それは国内外のメーカーが多くの車種をラインアップしていることからもわかるのだが、その理由をあらためて考えてみたい。
日本では、小型限定普通二輪免許以上の免許を取得すれば125ccのバイクに乗ることができる。取得可能なのは16歳以上。ひと昔前に比べると教習時間も短くなっており、費用も時間もかからない。詳しくは後述するが、免許の取得が簡単になったことが盛り上がりの理由のひとつであることは間違いない。
もうひとつの理由は、公道での制約が少ないこと。現在、原付免許で乗れる125cc以下・最高出力4kW以下のバイクは、どんな道でも最高速度が30km/hに制限されている。実際に走るとわかるのだが、交通量が多い幹線道路だと追い越していく車との速度差に恐怖を感じることもある。
ほかにも2人乗りが禁止されていたり、片側3車線以上の道路では直接右折せずに、まずは交差点を直進して左に寄って止まり、次に交差する信号が青になったら進むという「二段階右折」などのルールがある。近くの駅などに行く程度なら十分かもしれないが、行動範囲を広げようとすると不便に感じるシーンは増えてしまう。
対して小型限定普通二輪免許で乗れるバイクと大型バイクとの違いは高速道路と自動車専用道路に乗れないくらい。最高速度は道路の表示通りでOKだし、大きな交差点で二段階右折をする必要もない。免許取得から1年経過すれば2人乗りだってできる。
さらにはよく駅前などにある「125cc以下の原付に限る」と書かれた駐輪場に停めることができたり、フェリーに乗るときの料金区分が格段に低いなど原付と普通二輪のイイとこ取りという面もある。
現在は車種が豊富で、価格もそれなりに抑えられている。また燃費も良く、毎年支払う税金も安い。自家用車を所有していれば任意保険に割安で入れるなど、実用面でみてもナンバーワンと言える存在なのだ。
魅力2.バリエーションが豊富で用途にあわせて選べる!
豊富なラインナップから自分に合った1台を選ぼう!
市街地で使い勝手が良いスクーターからコミカルなレジャーバイク、レーシーなフルカウルスポーツ、アドベンチャーモデル……。現在の125ccクラスにはさまざまなカテゴリーの車両がある。これだけ多くラインアップされているクラスは他にはない。ここまで成長したのは海外市場の影響が大きい。
というのも国によっては車の免許で125ccまでのバイクに乗れたり、市民の交通手段の主力が125ccクラスだったりするからだ。今までは国ごとに適するバイクを製造していたが、近年はもっと広い範囲を市場と捉えてバイクを設計するようになり、日本もそのひとつに加えられている。
つまり現在の車種の豊富さは、メーカーのグローバル戦略の副産物でもあるのだ。
3つのカテゴリーを紹介!
ストリート
市街地をメインステージとして開発されたアップライトなポジションのモデル。混雑した幹線道路や裏路地などを軽快に駆け抜けられる。コンパクトなモデルから積載に向いた実用的なモデルまで幅広くラインアップ。実用性と趣味性が半々のカテゴリーだ。
スポーツ
まるでレーサーのようなフルカウルをまとっているモデル。ルックスだけじゃなく、走行性能もスポーティで、中にはサーキットで活躍している車両もある。本格的な作り込みがなされていて、ビギナーのみならずベテランライダーをも虜にする趣味性が高いモデル。
スクーター
シティコミューターとして役立つ実用的なモデル。アクセルを開けるだけで走らせられる気軽さに加え、シート下やフロントカウルの内側に収納スペースがあるなど使い勝手にも優れている。実用性重視のモデルだが、週末のツーリングなども十分に楽しめる。
魅力3.ホビーとして楽しめるクオリティもある!
楽しみ方は無限大!!
ひと昔前の125ccクラスは通勤通学や普段の買い物などに多用されるため、実用性が重視されていた傾向にあった。しかし近年は趣味の対象としても捉えられるようになってきた。
市場が世界中に広がっているため各メーカーは開発に並々ならぬ力を入れ、高性能で趣味性が高い125ccモデルを次々にリリースし、そのバイクをカスタムするパーツも続々と発売されている。バイクの走行性能を高めたり、自分好みにドレスアップするカスタムパーツの価格がリーズナブルなことも盛り上がる理由になっている。
また高速道路を使わずに下道でのツーリングを楽しむライダーも増えた。SNSでは大型バイクを所有していながら、あえてセカンドバイクの125ccに荷物を満載してキャンプツーリングに行くというライダーも見かけるほど。それだけ魅力的で可能性に満ちているのが現代の125ccクラスなのだ。
文:横田和彦、オートバイ編集部/南 孝幸、オートバイ編集部