文・写真:山ノ井敦司
撮影場所:吉田運送
やりたいことが多すぎて、いつも未完成のまま次なるカスタムへ
10代の頃からカスタムを楽しんできたタカヒロさん。これまでも何台も何台も作っては、バラし、また組んだりと繰り返してきた。今回のマシンは「とにかくやりたいこと、つけたいパーツを装着して、悔いを残さないようにやりたいことはトコトンやり切る」という超絶コンセプトによって製作しており、まだ完成形ではないが、とにかくすごいことになっているので仮の姿だが、一旦撮影させてもらった。パーツや車体の組み込み、オイルキャッチタンクやステーなどのワンオフパーツは茨城県にあるミニバイクカスタムを得意とするあかおぎが担当。
長年カスタムしてきた中で、究極とも言えるパーツをチョイスしているマシンは、もはやモンキーとは思えぬ車体に。ヘッドライトはZRX1200DAEG、タンクはHRCレーサーのRS125、フレームはGクラフト製アルミフレームなど、純正パーツがほぼゼロの状態となっている。
性能にもこだわるオーナーはRS125のフロントフォーク、リアのオーリンズのTTXもGセンスによりディンプルコート仕様というこだわりよう。各所に見える青く輝くボルトは全てチタン製で、車体に使われるほとんどのボルトがチタン製となっている(ボルトだけでも何十万円!?)。複雑な構造となっている車体だが、ブレーキホースやクラッチなどのオイルラインなどはクイックリリースとしていることで、メンテナンス性を高くしているのもポイント。
カワサキのZRX1200DAEGのヘッドライトカウルはスクリーン下から4頭分し縮小化。スクリーン部は社外のスクリーンが使えるようにと純正を残した状態とした。ヘッドライトはいくつものサイズを試したが、TZR250(1KT)の純正が一番しっくりきたそう。内側はワンオフのカバーでフルカバーしており、下側にはオイルクーラーを装備。メーターまわりもワンオフのベースを使い、キタコ製スピード&タコメーターを合わせた。
ハンドルまわりはまるでゲームのコントローラーのようなスイッチに変更することでオリジナリティ溢れる仕上がりに。ハンドル自体はギルズツーリング製で、レバー類はゲイルスピード。左側にマスターが2つあるのはクラッチとサムブレーキ用となっている。トップッブリッジとタンクの限られたスペースにはハイパープロ製のステダンも装備。Gクラフト製のトップブリッジは、ステッカー分だけ削り落としHRCロゴを貼り付けた。如何にも貼りました!! 感を出したくなかったというオーナーのこだわり。
RS125のタンクは大胆にも前側部分をカットし、そこに電装部品をビルドインしタンクに合わせたカバーを製作。こうすることによって配線類を目立たせないようにした。1つ1つのパーツにこだわるオーナーだけにガソリンコックもピンゲル製を合わせているこだわりよう。
こういったフルカスタムマシンの場合はDOHCボアアップキットなど人気だが、オーナーが2バルブ、キタコ製キットの特性が好きでULTRA SEボアアップKITをチョイスし124cc化。ブラックのキャブはガンコート仕上げ。エンジン上のアルミタンクは前側がガソリン、後ろ側がオイルキャッチタンクとなっている。
ジェネレーターカバーはミニアメリカンのホンダJAZZから流用。社外品でアルミの削り出し品などが出ているが、この厚み、張り出しが欲しかったということでJAZZをチョイス。
ホイールはOVERから十数年前にリリースされていたアルミ鍛造ホイールのRHYTHM Burnを装着。当時最先端、早すぎたと言っても過言ではないデザインのホイールは今見てもうっとりしてしまうほど。リアのスイングアームはGクラフト製でトラス形状という他にはないインパクトのある仕上がりに。見た目だけでなく、リアショックの動きを調整するためにスイングアーム側のマウントを1.5cm後方にズラすなど性能にも高いこだわりを持っている。
シートカウルは懐かしの光輪モータースから発売されていたというトラッカーシートをオークションで購入し、車体に合わせて加工。それに合わせてシートレールも新たに作り、裏側もアルミの板を使いカバーしてある。こういった部分はあかおぎとオーナーによる念密打ち合わせによる合同作品。
前後ブレーキはゲイルスピード製エラボレートで、フロントはアキシャル、リアはラジアルを装着。アクスルシャフトもGクラフト×KOODのクロモリ品。三層メッキによって美しい輝きと防錆、耐久性においても最高の品質となっている。
エンジン下からニョキっとスラッシュエンドが飛び出すマフラーはOVER製フルチタンスパイラル。アンダーカウルはGROM用で車体に合わせて長さを詰めてある。バックステップはGクラフト、OVER、TTS、ベビーフェイスといった有名メーカーのパーツを組み合わせたオリジナル仕様。
今回、紹介したマシンはまだ未塗装状態で今後ペイントを予定しているとのだが、まだまだ新たなカスタム、装着したいパーツがあるよう…。“完成”という二文字はこのマシン、オーナーにはないのではないだろうか…。