フルカウル仕様のナナハンスーパースポーツの一次代を築いたFZR750。そして2024年登場するや否や80年代を知るライダーの心を掴んだXSR900 GPは「おじさんキラー」と呼ばれるほど話題になった。そんな2台をノアが乗り比べ! 新橋モーター商会・マルの深掘り装備チェックもお届け。
以下、文:ノア セレン、丸山淳大/写真:南 孝幸、関野 温

ヤマハ「FZR750」(1987年)|車両解説・スペック

画像: YAMAHA FZR750 1987年モデル 総排気量:749cc エンジン形式:水冷4ストDOHC5バルブ並列4気筒 シート高:775mm 車両重量:203kg(乾燥) 発売当時価格:84万9000円

YAMAHA
FZR750
1987年モデル

総排気量:749cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC5バルブ並列4気筒
シート高:775mm
車両重量:203kg(乾燥)

発売当時価格:84万9000円

画像: YAMAHA XSR900 GP 2024年モデル 総排気量:888cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:835mm 車両重量:200kg 税込価格:143万円

YAMAHA
XSR900 GP
2024年モデル

総排気量:888cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:835mm
車両重量:200kg

税込価格:143万円

FZR750(1987年)XSR900 GP(2024年)
全長×全幅×全幅2125×730×1215mm2160×690×1180mm
ホイールベース1470mm1500mm
車両重量203kg(乾燥)200kg
エンジン形式水冷4ストDOHC5バルブ並列4気筒水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
排気量749cc888cc
最高出力77PS/9500rpm120PS/10000rpm
最大トルク7.1kgm/7000rpm9.5kgm/7000rpm
変速機形式6速6速
タンク容量20L14L
タイヤサイズ前・後120/70R17・160/60R18120/70ZR17・180/50ZR17

オーナー・イシッチの車両解説

画像1: 【絶版車インプレ】ヤマハ「FZR750」(1987年)と「XSR900 GP」を乗り比べ! DNAはたしかに継承されている

古いバイクだけどロングツーリングでも十分活躍中!

お世話になっているショップで紹介されて巡りあったFZR750。リアのオーリンズサス以外はノーマルで状態も良く、この機会を逃すまいとほぼ即決。古いバイク故に色々と心配ごとはあれど、消耗品は汎用品の流通があるからひと安心。今のところ致命的な故障もなくロングツーリングも不安なくこなせるコンディションです。

画像: 消耗品には困らないぜ!

消耗品には困らないぜ!

ヤマハ「FZR750」(1987年)|インプレ(ノア セレン)

画像1: ヤマハ「FZR750」(1987年)|インプレ(ノア セレン)

各メーカーがそれぞれ追求した「ネオクラシック」の方向性

ネオクラシックって一体なに? カワサキはスタイリングや汎用性の高い車体構成でこの分野を追求し、スズキはスポーティさを前面に出してカタナを復活。また外国車も含めそれぞれの解釈で「ネオクラシック」を展開している中、ヤマハはどうだろう。

XSR900 GPは、その走行性能にこそ「ネオクラシック」が息づいていた。以前の企画でXSR900とXSR900 GPを取り上げた際にも、低いシート高や長いタンクに80年代らしい操作感が表されている、といった感想を書いてきたが、今回FZR750と直接乗り比べることで「これだったかぁ‼」という感動があった。

FZR750は試乗するたびに見直すというか、改めてすごいバイクだなと感激する。絶版車市場においては神格化されているOW-01に隠れてかそんなにメジャーではないし価格も控えめ。FZR1000と共通車体にナナハンエンジンが載っているというのも、イメージ的にパンチに欠けるのかもしれない。

画像2: ヤマハ「FZR750」(1987年)|インプレ(ノア セレン)

ところが乗ってみると本当にイイのだ。高回転域も気持ちよく回る5バルブエンジンを、6速ミッション(1000は5速)を駆使しながら活発に走らせると「打てば響く」という感じで非常に楽しい。国内仕様は77馬力とされているがそれ以上パワフルに感じるし、基本的には1000と共通車体のハズなのにスポーティさは数倍。深く前傾するジェネシスエンジンのおかげもあってか重心が低く、ライダーの着座位置も低いので路面が近くて安心感が高いし、87年製とは思えないほどフォークが太くブレーキも良く効き現代的な安心感がある。

フロント17インチホイールというのも今のタイヤが選び放題という意味で魅力。よく整備されたFZRならとても38年も前のバイクとは思えないほど、今でも夢中でスポーツ走行できるだろう。

今回もまた「コレ、イイんだよなぁ!」と期待しながら試乗に臨んだわけだが、乗ってアレ? と思った。アレレ? XSR900 GPにそっくりじゃないか! なぜ今まで気が付かなかったのだろう。GPが付かない素のXSR900は現代のバイクを旧車風に仕立ててあり、個人的にはそこにちょっとした違和感を覚えていた一方で、GPの方はセパハンになったことと、着座位置がいくらか前方に移ったこと、そしてサスのアップグレードなどにより色んな帳尻が合って好感触だった。

そしてFZRに乗ると「こりゃXSR900 GPだ!」とビビッとキタ。そうそう、この低重心感。このヤマハらしいゾゾゾっていうトルクフルな低回転域、遠いハンドル、ユラッスパッと切れるハンドリング……。腰痛持ちにはちょっとキツめの前傾姿勢までそっくりだ。そうだったか、GPはFZRの血を引いていたのか。

画像3: ヤマハ「FZR750」(1987年)|インプレ(ノア セレン)

ネオクラを作るにあたり正解はないだろうし、各社各様にそれぞれのネオクラを追求している中、ヤマハは走りそのものを重視した作り込みだったのだ。もちろん、XSR900 GPしか知らなくても十分に楽しめるのだが、一方でこのFZRとの共通性を知れば「これがヤマハらしさか。これがヤマハのネオクラに対するアプローチか」と一歩踏み込んだ部分でネオクラを理解し、愉しさも味わえるというわけだ。絶版車を所有するのはそれなりにハードルも高い。

しかし、知ることで現行車やネオクラがますます面白くなる、というのも事実。各メーカーの「らしさ」が息づいていることを理解してネオクラに乗れば、君も立派なエンスージアストである。

画像: しっかりとしたフレーム、太いフォークと現代的なタイヤが選べるホイールサイズ、スペック以上に元気に感じるエンジンは今でも十分にスポーツできる。当時は先鋭的だったろうなぁ! FZ750の時点でかなり速かった80sのヤマハだけど、FZRになると本当に速い。フルパワー化するとなお凄いんだ! ただもう旧いからね、カウルのゴムブッシュ類は全部換えないとガタピシ感が凄いのよ。

しっかりとしたフレーム、太いフォークと現代的なタイヤが選べるホイールサイズ、スペック以上に元気に感じるエンジンは今でも十分にスポーツできる。当時は先鋭的だったろうなぁ! FZ750の時点でかなり速かった80sのヤマハだけど、FZRになると本当に速い。フルパワー化するとなお凄いんだ! ただもう旧いからね、カウルのゴムブッシュ類は全部換えないとガタピシ感が凄いのよ。

画像: XSR900 GPに乗ると、ポジションやカウルの大きさ、ステアリングステムの高さなどに懐かしさを感じる。FZRと乗り比べるとそういった要素がそっくりなのだ。しかしフィーリングが似ているだけでなく、もしFZRが完調なら実力も近いかもしれない!?

XSR900 GPに乗ると、ポジションやカウルの大きさ、ステアリングステムの高さなどに懐かしさを感じる。FZRと乗り比べるとそういった要素がそっくりなのだ。しかしフィーリングが似ているだけでなく、もしFZRが完調なら実力も近いかもしれない!?

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