以下、文:横田和彦、丸山淳大/写真:南 孝幸、関野 温
ヤマハ「RZ250RR」(1984年)|各部をチェック(横田&マル)
▶横田が選ぶ車両の極品ポイント
1.デザイン


レーサーイメージを高めるパーツを各部に採用!
当時のライダーはレーシングマシンに憧れた。そのためRZ250RRもレーサーのようなパーツを数多く採用。そのひとつがサイレンサー別体式チャンバー。これは各社の定番パーツになったね。もうひとつはフルカウル。まだデザインがこなれてなく、当時はフグみたいだな〜って思っていたけど、今見てもフグっぽかった(笑)。
2.ハンドルまわり

セパハンと3連メーターでテンションUP!
この頃から多くのスポーツバイクでセパレートハンドルが採用されはじめた……といっても当初は高めにセットされていて、街乗りやツーリングでも問題ないレベル。これは現代のYZF-R25にも通じるところがある。センターの一番見やすい位置にタコメーターがセットされた3連メーターは、走る気持ちを盛り上げてくれる装備だった。
▶新橋モーター商会 店主・マルの全方位チェック
1.足まわり

初期型がアイコニックだが後期の方が豪華でお得感あり
特に70年代絶版車の世界では“初期型”がヒエラルキーの頂点に君臨しており、後期になるほど雑に扱われてしまいがち。RZシリーズに関しても赤/白、または青/白カラーで火炎イメージのキャストホイールを装備した初期型の姿があまりにも有名で、それ以降のモデルチェンジについてはマニアでない限り薄ぼんやりした知識しかないものだ。
だが、バイクはモデルチェンジを重ねて装備を拡充していく(コストダウンの時もあるけど)ので、後期型の方がだいたい豪華。RZ250RRもカウルはあるし、前後サスはグレードアップしているし、フロントダブルディスクで何ならYZF-R25よりも豪華だし、もう初期型よりも断然良くなっているのであった。また、RZ250RRには後になくなるセンタースタンドが残っている。


2.エンジン

小さいことは気にするな! 絶版車にはおおらかさが必要
環境意識の高まりにより、下火になってきた2ストロークを再びメジャーに押し上げたのがRZ250であった。バルブ機構を持たないシンプルな2ストエンジンだが、排出ガスやピーキーな出力特性を緩和し、効率的にパワーを得るために排気デバイスの追加などより複雑化して進化していくことになる。RZシリーズも83年のRZ250RからYPVSを採用。それが40年近くを経て、まだ動いているのに驚きである!
ただ、今乗ってみるとどうもエンジンのパンチ感が乏しいような? そんな時は実圧縮をコンプレッションゲージで測ってみれば、エンジンの状況がつまびらかになるが、圧縮が低いと分かったとて修理部品が揃う保証はないわけで、測らない勇気も時には必要なのかも……。そんな刹那感も2スト絶版車の魅力!?


3.テールランプ・メーターまわり

20代の頃よりも30kg増しだからやや窮屈なのも致し方なし!?
ヘッドライトは規格品しかなくて、形状は丸か四角の2択だった80年代以前は、カワサキ マッハの“カマキリテール”とか、スズキGTの“双眼鏡”とかカワサキKR250の“丸”とか、テールランプで個性を出すバイクが多かったように感じる。
そしてこのRZ250RRのものは、その三角の形状から通称“おむすび”テールと呼ばれた。個性的なテールランプはパキッとヒビでも入ったら半泣きでリプロ品か中古を探すしかない。

メーターは3眼のスポンジマウントで、やがてくる2ストレプリカ時代への布石が見え隠れ。速度警告灯もちゃんとアリ。フルカウルの大きめのスクリーンだが大柄体型のオジサンには収まり悪し。80kgを超える体重だと足まわりも心もとない感じなので、バイク側に何らかの対策か人間側にダイエットが必要かも。

文:横田和彦、丸山淳大/写真:南 孝幸、関野 温