6年ぶりに日本の絶対王者が鈴鹿8耐に!
今年は8月1~3日に行なわれる“コカコーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース。春先、ちょうどサイクルショーの時期になると、少しずつ真夏の祭典への体制が発表されるケースが多いんですが、今年は待望のビッグニュースが飛び込んでまいりました。
それはヤマハファクトリーチームの鈴鹿8耐復帰!です!「!」マークたくさんついちゃう!!
ご存知のように、鈴鹿8耐は世界耐久選手権の一戦で、今年の世界耐久はル・マン24時間→スパ・フランコルシャン8耐→鈴鹿8耐→ボルドール24時間の全4戦。
現在の世界耐久はホンダがTSRホンダフランス、ヤマハがYARTヤマハ、スズキがヨシムラSERT、カワサキがWebikeトリックスターレーシング、そしてBMWモトラッドという5大トップチームがしのぎを削っている状態なんです。

2024年のYARTヤマハ 今年は写真中央のニッコロ・カネパの引退で、ジェイソン・オハローランが新加入
ヤマハのトップチームはYARTヤマハ、これはヤマハ・オーストリアを母体としたヨーロッパヤマハのサポートチームで、2024年は最終戦で惜しくもヨシムラSERTにワールドタイトルを持っていかれてしまったものの、23年にはワールドタイトルを獲得したチャンピオンチームです。
そして2025年には、ヤマハは鈴鹿8耐のワンマッチチームとして、ファクトリーチーム「ヤマハレーシングチーム」を結成。19年以来6年ぶりに、ファクトリー体制で鈴鹿8耐に帰ってくるのです! それはつまり、日本の“絶対王者”こと中須賀克行が鈴鹿8耐に帰って来るってことです。
ヤマハのファクトリー体制での鈴鹿8耐参戦は、2015年に中須賀克行/ポル・エスパルガロ/ブラッドリ・スミスが参戦して優勝、16年には中須賀/エスパルガロ/アレックス・ロウズ組となって2連覇、17年に中須賀/ロウズ/マイケル・ファン・デル・マーク組となって3連覇、18年に再び中須賀/ロウズ/ファン・デル・マーク組で4連覇、19年は3たび中須賀/ロウズ/ファン・デル・マーク組で出場するものの、ジョナサン・レイ/レオン・ハスラム/トプラック・ラズガットリオグル組で参戦したカワサキレーシングチームに敗れての2位と、文句ない成績を残してきました。

ヤマハファクトリーレーシングの8耐参戦チーム名は「ヤマハレーシングチーム」 カラーリングはヤマハ伝統の白×赤ストロボで、芳賀紀行時代のYZF-R7を彷彿とさせますね
そして2025年。ヤマハレーシングチームは、まず中須賀の参加が決定! 残りの2人はMotoGPやWSBKのライダーから選抜するとのことで、中須賀/ファビオ・クアルタラロ/ジョナサン・レイ組の結成だって、決して夢物語ではないのです!
早くもヒートし始めた2025鈴鹿8耐ですが、ホンダもTeamHRCを結成して高橋巧を軸に8耐チームを結成する、という話がちらほら聞こえてくるし、スズキは昨年に続いてCNチャレンジでの出場をするでしょう。さらにヤマハファクトリーチーム参戦ともなれば、策士・加賀山就臣がDUCATIチームカガヤマのライダーラインアップに燃えること間違いなし! オートレース宇部のワークススペックBMWにだって、EWC勢以外のBMWトップライダー、つまりラズガットリオグルやファン・デル・マークが名乗りを上げてくるかもしれない――うはー、ちょっとこれが少しでも実現すれば、とんでもなく盛り上がる鈴鹿8耐になるかもしれませんね!

ヤマハレーシングチームを率いるのは全日本ロードレースチームの監督でもある吉川和多留。すっかりチャンピオンチームのマネージャーとしての風格が出てきました
それにしてもヤマハは、MotoGPを25年から2チーム4人体制に戻し、Moto2クラスに「bLUcRUヤマハMoto2」チームを結成。WSBKはレイとアンドレア・ロカテッリをトップチームに、サテライトチームにレミー・ガードナーとドミニク・エガーターを参戦させ、WSSP600へは今シーズンからニューマシンYZF-R9を投入。世界中のカテゴリーに、どんどん注力してくれています。
さらに「bLUcRU」若手育成活動では、YZF-R3を題材としたスカラシップを展開。例えば全日本ロードレースJP250クラスでチャンピオンになると、R3ワールドカップに招待され、ここを勝ち抜くとWSSP300に出場できるチャンスがあり、さらにその先にWSSP600に育成ライダー用のチームも用意してくれているのです。
そのプロジェクトで、24年の全日本JP250クラスチャンピオンの久川鉄平と奥貫翔が、25年のR3ワールドカップに参戦を始めているし、ここで成績を出したらWSSP300に派遣される可能性があるんです。このWSSP300も、24年チャンピオンのアルディ・マヒンドラがWSSP600に昇格しましたしね! さらに全日本JSB1000クラスのチャンピオン岡本裕生も、WSSP600に参戦をはじめました。

全日本ロードレースで頑張って世界へ!のルートを用意してくれているヤマハ 写真は24年全日本JP250ナショナルライセンスチャンピオン久川鉄平 JP250でロードレースデビューするヤングライダーは多いんですが、そこから世界が見えるんです!
頑張って成績を出したら世界へ飛び出せる――そんなレーシングドリームを実現してくれるのがヤマハなんです! さぁ、次のビッグニュースはどのチームだ!
写真提供/YAMAHA 文責/中村浩史