満を持して投入された、ホンダ渾身の4気筒ヨンヒャク
CB400FOURが期待よりも売れなかった理由を、ホンダは暴走族問題や環境問題など、当時は2輪車には厳しい状況だったゆえ、と分析していた。
そして後を継いだホーク系2気筒は、免許制度改定で生まれた400㏄クラスのマーケットで成功と呼べるレベルの売り上げを記録した。
だが400㏄クラスのマーケットにカワサキがZ400FXを投入し、続いてヤマハXJ400、スズキGSX400Fが登場した結果、このクラスで初の4気筒を手がけたホンダだけが、そのコマを持たない状況になってしまったのである。
他メーカーの4気筒車が大人気を博するなか、ホンダは当時の持てる技術のすべてを結集して、先行するライバルを蹴散らすべく新型400㏄4気筒を開発。その結実こそが、CBX400Fであった。
クラス最高の48馬力をマークする399㏄の4気筒DOHCエンジンは、当時としてはバルブ挟み角が狭い4バルブのレイアウトを採用。カムシャフトの駆動にはサイレントチェーンを仕様し、メンテナンスの容易さからバルブ駆動にはロッカーアームを介する方式を採用していた。
車体は、このクラスのオンロードスポーツとしては初めて、ボトムリンク式のプロリンクサスペンションをリアに採用。中空のアルミダイキャスト製スイングアームは、世界初の技術であり、いかにホンダがこのCBX400Fに力を入れて開発していたかを、示すひとつの例だった。
またホンダは、CBX400Fの発売と同時に、SS400という新しいプロダクションレースを企画し、RS400RというCBX400Fベースのレーサーを製作した(後にキットパーツとして販売)。
この試みは、後の1980年代国内ロードレースブームの盛り上げのきっかけのひとつとなっている。
なお後継のCBR400F登場後もCBX400Fを求める声は止まず、Ⅱ型として復刻版が1984年に発売されたことは、あまりに有名なエピソードだ。
DETAIL
SPECIFICATIONS
エンジン型式 空冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 399㏄
内径╳行程 55.0╳42.0㎜
圧縮比 9.8
最高出力 48PS/11000rpm
最大トルク 3.4㎏-m/9000rpm
燃料供給方式 キャブレター[VE50A]
変速機型式 常時噛み合い式6速リターン
全長 2060㎜
全幅 720㎜
全高 1080㎜
軸間距離 1380㎜
車両重量 189㎏
キャスター/トレール 26°/97㎜
燃料タンク容量 17L
タイヤサイズ(前) 3.60-18
タイヤサイズ(後) 4.10-18
当時価格 47万(ソリッドカラー)/48万5000円(ツートーンカラー)